ブレードランナー　ファイナル・カット

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古い作品がBD化されると、SFXの粗が見えてしまい返って興醒めしてしまう事が多い。
ゴーストの出るアナログTVのザラっとした画面で見た方が良い作品も有るのかも知れない。
本作に関しても冒頭のガス塔のシーンで「大丈夫か？」と言う不安が過ぎった。
しかし、これは「ファイナルカット」版。
キチンとリマスターとエフェクトが掛けて有った＾＾；。
まだ若いハリソンフォードの肌の質感とルトガーハウアーの強烈な個性が始めて劇場でブレードランナーを観た時と同じ感動を呼び覚ましてくれる。
この映画はこんなに美しかったんだ！。
当り前の様の吸われる煙草の紫煙の中に蠢く生きとし生きるモノの欲望と報われぬ愛、そして「死」が表出しては雲散霧消して行く。
公開時は「吊具」の目立ったポリススピナーの幻想的とも言える飛翔も何の如何わしさも無く再現されている。
「四つくれ！」
と言っていた「うどん玉（？）」が実際には不味くて口に合わないのか「ニチャクチャ」と箸でカップを混ぜるデッカード…と言うかハリソンフォードが御茶目だ。
DVD版でも、かなりの満足度が有り、遂に購入に踏み切ってしまったがBD版の実力もかなり高い。
ストーリーと世界観が秀逸な作品なのでザラっとした質感が有っているかも知れないが「話のネタ」にBDで鑑賞するには十分過ぎるクオリティーを備えた作品だと思う。

1982年の公開から25周年を記念し、リドリー・スコットにより編集された本作だが、間違いなく今までの「ブレード・ランナー」でベスト。
画像処理により作品自体のクオリティもアップしているし、なんと言っても、音声解説がおもしろい。

音声解説は３種類。
�@ 監督リドリー・スコットによる解説
�A 脚本／製作総指揮ハンプトン・ファンチャー＋脚本デヴィッド・ウェッブ・ピープルズによる解説
�B 美術・特殊撮影スタッフによる解説

これらの音声解説はより作品を理解する手助けにもなるし、なんと言っても「はたしてデッカードは人間なのか？レプリカントなのか？」という長年の疑問にもはっきりとした答えが見つかる・・・ここでは敢えて書きませんが(笑)

本作の魅力として退廃的な近未来都市像が挙げられるが、それ以上にこの作品を名作たらしめているのは、間違いなくそのキャスティングだろう。
まずは「デッカード」のハリソン・フォード。
それにもまして光るのが、レプリカント「ロイ」のルトガー・ハウアー。
この二人の存在がなかったら「ブレード・ランナー」はただのカルト映画に過ぎなかったかもしれない。

「ヒッチャー」同様、ルトガー・ハウアー演じる「狂気」の演技は凄い。
こいつに狙われたらもう逃げ切れない・・・って観る者に思わせる演技。
この映画の後半の緊張感は、やはりこの二人の役者の存在感の生み出すもの。

ちなみに、このルトガー・ハウアーが環境保護者として有名で、他方では、エイズ研究所も設立しているというから、人は見かけによらないものである(笑)

たいへん哲学的なテーマを扱った作品として知っていましたが、はじめて観ました。
テンポが遅いのと画面が終始ダークなのとで少々滅入ってしまいました。同じ原作者の作品で、テーマも似ている『トータル・リコール』とはだいぶ作風が違いますね。
レプリカントにとっては人間は創造者(神)。しかし、自分たちが創った被造物だからといって、心ある者の寿命を自由に決めてよいのか、勝手に処分してよいのか−と主張されてるわけですよね。
もし、神が人間に対してまったく敬意を払わず、人間がレプリカントを扱うように人間を扱ったとしたら　・・・。
それにしても、レプリカントを簡単に人間と区別できるようにしなかったのはなぜなのだろう。

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過去の作品群から余計な夾雑物を取り除き、純粋な上澄みのみで再構築した、監督が真に目指した究極の「ブレードランナー」なのでしょうか。

私が本作を語る上で外せないキーワードは、『記憶』と『生命』。ただ生きるだけであれば、人類もアンドロイドも電気動物も、見かけ上は同じ生き物。しかし、そこに記憶が、誕生より連綿と時を刻みつつけてきた証しが加わることにより、初めて生命は輝きを放つ。
劇中、レプリカント（アンドロイド）が持っていた１枚の写真を精査する、レプリカントを“狩る”ブレードランナーである主人公デッカード。彼はその写真からレプリカントの居場所を突き止める。そして、その写真を心配するレプリカントの発言。それは、居場所を確認されることを恐れたのではなく、彼等にとっては写真が記憶の証しとなり、自らのアイデンティティの証明となるからなのだろう。他人の記憶を植え付けられたレプリカントにとっては、記憶という意思の中にしか存在しないあやふやではなく、確固たる実在する物としての保障を求める必要があるからなのだろう。
そして、記憶の積み重ねで生まれる人口生命。しかも、その輝きは激しくも短い。生まれた瞬間に幾年もの時を過ごし、人類の思うように使われ消耗する彼等レプリカント。その宿命ゆえか、彼等はF・K検査による動物虐待の質問に激しい嫌悪を見せる。自らの創造主達に戦いを挑み、打ち倒す彼等。そして絶望を理解し、細やかなる希望をデッカードに託すことになる、ロイの終盤での選択。

酸性雨をもたらす大気汚染により、陽光の射すことはない薄汚れ汚濁に満ちた近未来のL．Aを舞台に、レプリカントとブレードランナーのアイデンティティを問う戦い。ここで繰り広げられる男と男、男と女、人類とレプリカントで交わされる意思を、決して説明過多ではない、終始降り止まぬ雨と深い影と人口の光により、詩を詠うかの映像描写で情緒に訴える。
そして、ついに向えるラスト。
このラストは思いを馳せる勢いを絶つことはなく、また幾年もこの映画の魅力を引きずることとなる予感に溢れていた。


記憶とアイデンティティの関係は、原作者ディックの他作品にもしばしば用いられるテーマです。
私の曖昧な記憶とは懸け離れ、ゆっくりと力強いテンポでしっかりと語られるストーリーと、これ見よがしではなくキッチリと作られた映像は、云十年の時を経て、また劇場で観たくなる素晴らしさでした。
思い違いも結構ありました。冒頭で、デッカードが食事するのは鮨屋だったんですねぇ。てっきり、うどん屋だと（恥）。色々見つかって、見直す個所も多々あり、実に有意義な再会でした。
本ビデオは勢い余ってアナログ・ツタヤで借りてきました。ごめんねDISCASさん、の★４．８個。

ブレードランナー・・・すでに２０年以上も前の作品ながら映画「２００１年宇宙の旅」同様、圧倒的な根強い人気を誇る作品である。この作品には多数のバージョンが存在するが、この作品は監督であるリドリー・スコットが再編集を行ったファイナルカット版である。その他のバージョンはＤＩＳＣＡＳでもいくつかレンタルできるので興味のある方は一度レンタルすると良いだろう。僕はこの作品をセル版ＢＤでみた。何故ならいつまでも手元に置いておきたい作品で、しかもＢＤとなり映像がより鮮明になり公開当時やＤＶＤ版よりも映像をより堪能できると考えたからである。

この狙いは大正解だった。映像は今までのどのブレードランナーよりも美しく、細部にわたって見ることが可能となっていた。ビル群の数多くある窓の一つ一つがクッキリと明確に識別できるほど、その画質は向上していた。有名な芸者風東洋人美女の「強力わかもと」の看板もとても美しく再現されていた。初めてこの作品を見たときの衝撃が蘇ってくるようだった。僕はリドリー・スコット監督の作品が好きだ。「エイリアン」で初めてリドリー作品と出会い、松田優作の遺作となった「ブラックレイン」「グラディエーター」に「ロビンフッド」・・・いずれも好きな作品である。彼の作品には共通した何かがあるのだ。何かとは何か？うまく説明できないが、そのひとつには映像美があげられると僕は思っている。彼独特の映像美がどの作品にもあるのだ。だからついつい映像に見入ってしまい、ストーリーそっちのけになってしまうことが多くある。この作品では公開当時とても驚いた漢字や日本語の多用がある。今では別に普通というか驚きに値しないが、当時の時代背景を考えると驚くべき演出だといって良いと思う。

そして今現在作品を見ても古さを感じさせないところがすごい。コンピューターのディスプレイを見るとさすがに古さを感じざるを得ないがそれでも２０年以上前にこの世界観を描き出したと言うことが僕はすごいと思う。作品内容は人間とレプリカントとの戦い・・・こう書くと語弊があるか（＾＾；）・・・人造人間であるレプリカントを取り締まるブレードランナーを描いた作品だ。何度見てもすごいと思わせるのは作品が持つ世界観とレプリカントであるロイ役を演じたルトガー・ハウアーーの演技だ。僕はルトガー・ハウアーとこの作品で初めて出会った。強烈な印象だった。怖ささえ覚えたものだ。その怖さの中にあるレプリカントである悲哀がにじみ出ていてとても印象に残ったのだ。それが何年ぶりか蘇ってきた。彼の存在感、演技は主役であるハリソン・フォードを完全に凌いでいた。いやはやなんとも懐かしい作品だ。そして素晴らしい。そしてハリソン・フォードとの不仲が噂されていたレイチェル役のショーン・ヤングの美貌はよりいっそう引き立ち、その美しさは群の抜いており、やはり印象に嫌でも残る。

良い作品はいつの時代であってもこよなく愛されるということをまさに実証している作品だと思う。