ロッキー・ザ・ファイナル

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泣けた。
シルベスター・スタローンが，その人生観をうまく封じ込めた作品といってよいでしょう。
「目標や夢がある限り，倒れても起き上がる。それが人生。」とのメッセージがこめられているように思います。
だから，６０歳くらいの老ボクサーであるロッキーが，現役の無敗のヘビー級チャンピオンに挑むことは，一見絶対にありえないと思われるが，ロマンがあって，ここでは必然と言えることなのだ。
自分が自分に勝った場面を見事に描いている。とても爽快です。判定の結果を聞かずして，堂々とリングを去っていく，そんな姿に目頭が熱くなります。

それにしても，相手のボクサーがちゃちい。存在感薄。腹筋なんか全然割れてないじゃん。ほんとに３３連勝無敗？
ロッキーも，さんざんダウンしているけれども，立ち上がってはすぐに復活。ちょっと非現実的では？
これらは減点。

夢や誇りがあるって，いいなあ，と思いました。日頃から「頑張るだけ無駄。適当にやればいい。」と私は思っておりまして，夢なんて大それたものはもはやなくなっています。自分なんかただの社会の中の一歯車と思っているので，誇りなんてものはこれっぽっちもありません。この作品を見て，なんか，そんな自分が恥ずかしくなったというか，悲しくなったりしました。
一方，最近，なんだか自分は涙もろくなくなったな，と思っていたのですが，こんなにも熱く泣けて，なんだかとてもうれしかったです。まだまだ自分も捨てたもんじゃない。

サービスシーンはありません。暴力シーンは血くらいです。お子様はもちろん，すべての人におすすめします。

私的評価：★★★★☆（４点）

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（ネタバレしないと書けないので・・・・）
　　実を言うとロッキーシリーズをまともに観たことがない。かろうじて「ロッキー4」は観たが、おそらくはシリーズ最悪の出来だろうし、ガキのお守りで行っただけだし。

　　ま、結論から言っちゃうと、本作はアチキみたいな人間は観ないほうが良かったのね。


　　ともあれあまり期待しないで観た。

　　息子から疎んじられるロッキー、レストランを経営し、過去を引きずるロートル・・・・　そんな情景が、意外とうまく描けている。もっとしみじみ、ウェットになっちまうかと思ったが、結構淡々としてていい。
　　ちょっと長い、しつこいのが玉に瑕だが、ま、そこはファンサービスもあるしね。

　　ロッキー復活のプロセスもまあ無理なくまとめてる。アメリカってプロライセンスに年齢制限ないのね、それともそこはフィクション？
　　復活後いきなしチャンピオンと対戦、ってのも無理があるよなぁと観る前は思っていたけど、なるほどね、そういう手があったか。いや、もちろんこじつけではあるけど、それなりに屁理屈は通っている。

　　もうちょっとトレーニングシーンに重点が置かれるかと思ってたけど、そこはあっさり。
　　っで、試合となる。ここまでで半分強。

（以下、完全ネタバレします）

　　どつきあい開始、おおっ、結構迫力あるじゃん。
　　当然といえば当然なんだけど、とにかくボコボコにされるロッキー。こ、これはもしかして・・・・

　　命を落とすかもしれない・・・・

　　まさか、な。でも「夢」を追い続けた男、そいつの最期はリングがふさわしいのかもしれない、でも、そんなラストだったら耳に入ってくるはずだよなぁ、でも、でも、でも・・・・

　　ところがどうもおかしい。スタミナ疑惑のあったチャンピオンではあるが、それにしても切れのないファイトだよなぁ。
　　って、あれ？　チャンピオン骨折って？

　　ま、細かく書いてもしょうがない。判定にもつれ込んだ試合、ロッキーはしかし結果を聞く前にリングを降り出口へと向かう。その姿に送られる大歓声。試合の結果はロッキー、僅差での敗退だが皆に手を振るロッキーには満足の表情が・・・・


　　うーん、不完全燃焼なアチキ(^^ゞ。試合後に悠々と歩いて帰れるなんて、ロッキーも不完全燃焼なんじゃないの。それでは観てるほうにカタルシスは訪れないぜ。結局マジなファイトじゃなかったんじゃないの？
　　ただね、エンディング見て思った。エンディングロール流れる横で、ピョンピョンはねて喜んでいるファンの皆さんの映像。そっか、これはファンのための、ためだけの映画だったんだ。
　　映画としてそれはあまり褒められたことではない。ただこれは「ロッキー」なのだ、そこにピリオドを打つ作品なのだから、これくらいのわがままは許されるのかもしれない。
　　なにより原題が「Rocky Balboa」じゃないか。

　　アチキにとっては観る価値はあまりなかった。ただ、そういう映画であることを確認した意義はあったね。それにこういう映画があってもかまわないとは思う。
　　押し付けがましくはなかったからね。

試写会で観て、劇場にも足を運びました。

不滅の名画、シリーズ1作目『ロッキー』に対するオマージュがたくさん詰め込まれた作品です。シリーズ完結のパート6の位置づけですが、逆に5作目とのつながりは、全く無し。（そこがいい）
スタローンに神が舞い降りて脚本を書かせた作品は1作目だけ。
だから、1作目だけ復習してから、この作品を観てください。
（観終えた後、↑のエピソード書いた私の『ロッキー』レビューも読んで頂ければ、さらに楽しめるかも（笑））

で、このファイナルでは、戦うことの最大のモチベーションであったエイドリアンがいない。（タリア・シャイアは出演希望したが、スタローンがきっぱり断った…らしい。正解！）
そこが、単なる思い出映画ではなく、今を生きている映画になっていて、妻を亡くしたロッキーと、残された息子との葛藤ドラマが生まれるんですね。

試合始まったら、1作目の『ロッキー』と全く同じ感情移入。
結果なんて、もう、どうでもいい。
あの時と同じく涙涙涙…。

今作のロッキーは、ロッキーファンだった観ている私のために戦ってくれたんだと思う。
「そこの父さん、おまえもがんばれ！」って…。

Ｐ.Ｓ.
エンディングになっても、すぐに席を立たないでください。
「私も生きているうちに1度でいいから、あの場所で、あのポーズをしてみたい！」のおまけシーンをたっぷり観せてくれます。

想像以上の感動に、こちらまで驚いてしまった作品。

ロッキー1作目とファイナルに関しては、これほど主人公と演じる役者の人生がリンクした作品て、僕は知らないと思う。本人が脚本を書いているので、当たり前といえば当たり前なんだけど。
肉体的な老いをイヤというほど自覚しながら、それでも“心は歳をとらない”という愚直なメッセージが、切実に力強く響く。
物語のシンプルさはシリーズ通しての魅力だと思うけれど、込められた熱量が他の続編とは圧倒的に違う感じ。本作のそれは、スタローンを一夜でスターダムに押し上げた１作目に匹敵するだろう。
その中にも、エイドリアンを故人とすることで、ロッキーの哀愁がより際立ったり、取り巻く人間関係に深みがあったりと、スタローンの映画作家としての円熟も感じられる。個人的には、これが『ロッキー』唯一の続編だと捉えている。

ただ評価で困るのが、作品に感動しているのか、スタローンそのものに感動しているのか、途中から分からなくなってしまう点。
映画単体として鑑賞できているのか自信がないので、ひとまず☆は半個減らしておくことにした。

手刀どころか、その男そのものがそこから忽然と消えた。
しかし、それは３秒後にどすんと、僕らの後方７ｍほどに折れ曲がった人間が現れたことで消えたのではないとわかった。
いや、正確には上から落ちてきた。
もう一人の後ろの男はあわててその男にかけよった。
落ちた男は声ひとつ立てない。
何が起きたのか？
妹は携帯の男と楽しそうにしゃべっている。
妹の足下の砂塵が舞っていた。
こいつ、まさか…
「おい！」
「うん、そうなの。うん、うん」
「おい！」
「うん、ちょっと待ってねー何よ！うるさいなぁ」
「うるさいなじゃないぞ。お前あれお前の仕業か？」
「別に」
「別にじゃないよ。お前約束忘れたのか！」
「正当防衛じゃん」
「あれのどこが正当防衛だ」
完全に男はやられてる。
「とにかく逃げるぞ、まずいことになった」
「なんで逃げんのよ」
いいからと妹の腕をつかんで走り出した。
「ごめんねぇ、ちょっと取り込んでて、また電話するから。今度はちゃんと１コールででるからね、うふ」
妹は走りながらもまだ携帯電話で彼氏に甘えた声で話している。
ロッキーの着メロで何が１コールだ。わけわかんねぇ。
妹はロッキーが好きで全作観ていた。
５作目で打ち止めと思っていたら、ファイナルが出た。
これじゃ、ドラクエと双璧のRPGゲーム、ファイナルファンタジー（最後のファンタジー）が１０作以上出てるのと同じじゃないか。
ロッキーよ永遠にという主旨はわかるが、あとは、プレデターぐらいしか相手がいない。実はランボーの続編も、相手をプレデターにしようかという企画話があったということだから驚きだ。それならいっそ、政治を越えて、シュワルツネッガーと対決してほしい。
「ねぇ、どこまでいくつもり」
「彼氏との電話は当分おあずけだな」
「彼氏じゃないよ」
「誰なんだ」
「誰でもいいでしょ」
もう一人の男は介抱を諦めたのか、僕たちを追いかけてきた。
と、前方の木々がわらわらと動き出したかと思ったら、それは人だった。
あいつらの仲間だ。制服を着てる。僕らの前に立ちはだかった。
おいおい、いったいなんだっていうんだ。僕が何をしたっていうんだ。
リーダー格のような男が口をひらいた。
「一緒に来てもらいます」
妙に冷たい口調だ。
「なんなんですか、あなたたち。僕らはまったく関係ないですよ。人違いでしょう」
「一緒に来てもらいます」
不気味な奴だ。
「だから違いますよ。何かの間違いですよ。僕はハムスターのぬいぐるみを買ってきただけなんですから」
緊張すると余計なことまでしゃべってしまう。
「一緒に来てもらいます」
突然、妹が
「あんた、オウムか！」
余計なつっこみするなよ、まったく。
「…仲間がやられた以上、多少の覚悟はできてるでしょうね」
初めて別の言葉をしゃべったが、内容的にひっかかる。どうするつもりだ？
「安心してください。命はとりませんから」
当たり前だろうが、なんなんだこいつら！
すると突然、妹がびっくりするぐらい大きな声でほえた。
「みなさーん！保険入ってますかぁー！」

全員固まった…心なしか、奴らのなかでずりっとずっこけるような感じを受けた。

しかし…しかし、まずいことになった。

彼らは知らない。

これは妹が臨戦態勢に入った宣言なのだ。

リーダー格の男は不敵な笑みを浮かべ、手下らしき一人に合図を送った。
合図を受けた男は下から上まで妹を舐め回すように品定めするように近寄ると、
さっと妹の手を掴んだ。
確かに掴んだ。
そう見えた。
次の瞬間、男の顔面に鉄棒が突き刺さったかと思うと、男は平行移動しながらぶっ飛んだ。
普段の生活では聞かない種類の不気味な音がした。何かくだけるようなくぐもった音。
地球上では通常、重力の関係から物体は放物線を描きながら地面に落ちるものだが、男は平行に飛んだ。そして、奴らにつっこんだ。奴らから悲鳴のような声が聞こえた。リーダー格の顔色も変わった。
男の顔面に突き刺さったのは鉄棒ではない。

鉄棒のように見えた、それは妹の右手だった。

「ごめんなさーい、私が聞いたのは医療保険じゃないの。私が聞いたのは、せ・い・め・い・ほ・け・ん！ねっ」

実は僕は妹とは血がつながっていない。異母兄弟なのだ。
そして、彼女は筋金入りの格闘家であった。しかも単なる格闘家ではない。
義父と妹二人とも、ある政府機関から隠密に指名手配を受けている、平たく言えば、その道のスペシャリストなのだ。

技さえ封印すればどこからどうみてもただの女子学生にしか見えない妹である。
だからどんなことがあってもそれを使わないように約束していた。
こいつらは理由は不明だが、妹ではなく僕が目当てなんだろう。
それはそれで困るが妹が見つかるのはもっと厄介だ。
北の空からヘリの音が聞こえてきた。