セレブの種

黒人であることをバネにして社会を鋭く斬って見せてきたスパイク・リーも歳をとったと言うか、社会のほうが速く変り過ぎたと言うか、黒人であることも、セレブであることも、レズであることも、精力絶倫であることも、そしてスパイク・リーであることも、全てブランド化してしまって、ちっとも「社会を鋭く斬る」材料にならなくなってしまって、ダラダラと冗長な映画になってしまった、という老監督の気弱な諦めのニガ笑いが全編に漂っている感じが何とも良くて、140分退屈せずに観ることができました。

私の中では『ジャングル・フィーバー』、『マルコムＸ』の印象で、人種問題を取り扱う監督だと思っていた。
それが、もう最近では人種を超え、性別や、はたまた既存の倫理すらも超えようとしている。アメリカの１０数年の流れが見える。
そして本作では、もっとさかのぼり、７０年代の倫理的破壊事件、「ウォーターゲート事件」にまで触れている。
信じられるのは結局、個人と個人との繋がりと感じた。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

１４０分って表示を見た時は、仰天。な、ながい・・・
これから２時間以上も縛られるのかぁ〜と思いつつ、観始めたけど、
いろんな問題が勃発して、けっこう退屈せずに観られました。

自社の不正を内部告発したが為に解雇される有能なビジネスマン、
生活費を捻出するために、レズビアンとなった元彼女に精子を提供する。
それがビジネスとして成立し、高額な対価と引き換えに次々にレズビアンたちとＳＥＸ。
結局、１９人の子供の父親になるんだけど、これ倫理的に問題らしい。
どうなの？やっぱり、ビジネスにしちゃうと問題なのかなぁ・・・
システム的にやり方は違うけど、精子バンクとさほど変わらない気がする。
あたしの友達のレズの子は、弟の精子を貰って彼女の卵子と受精させ、
自分の子宮で育てて産みたいって言ってたなぁ〜。
やっぱり、自分の遺伝子を継ぐ子供ができるなら欲しいだろうし。
そういう気持ちを非難することって出来ないと思う。
精子を提供する側も、提供される側も納得して、
子供を不幸にしないのなら、それでいいんぢゃないかなぁ。

この作品の面白い点は、愛情って男とか女とかっていう壁を越えて、
家族として愛し合える新しい形が描かれてることかな。
子は鎹っていうけど、ジャックたちはまさにそれ。幸せそうで何より。

一番意味不明だったのは、モニカ・ベルッチがマフィアの娘で、
双子を身ごもってっていう展開ね。あそこら辺、超いらない。
すっごい無駄な気がする。あそこカットすればもっと観やすかったのに。
ネームバリューの為だけに、付け加えられた感が否めない。
配役的に良かったのは、「アンジェラ」「アメリ」でお馴染みのジャメル・ドゥブーズ。
この人のイケてないっぷりが、最高にコメディ！！
あと、ケリー・ワシントン。超美しいー。初めて、モカブラウンの肌に憧れた！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

風刺コメディにしては、始まりが企業で働く有能な
ビジネスマン姿だったから、どうコメディーになる
のかな？と楽しみに観ていたら、人が無残に亡くな
るし、えっ？！笑えない！とリアルな表現に固まっ
てしまいました。

コメディーだと思えたのは、おたまじゃくしの絵と
その表情！や「種」を提供することは出来るけど、
相手の女性は決して選べないってところかな。
主人公ジャックの正義感や、葛藤はよく描かれて
いたと思った。高齢になってきた親の介護問題や、
再就職の厳しさ、生活費の捻出、人種の壁・・・
そこに大金５０００ドルの「子作りの協力」は、
監督なりの風刺なのでしょうか。

ジャックがハーバード大学でＭＢＡを取得してい
なかったら？とか、もし違う大学や職業だったら
？と違う展開も想像しました。
これも監督の投げかけなのかな。

子供が欲しい！って集まってきた、たくさんの女
性たち。その後ちゃんと育てられるのかな？子供
がなにより幸せに生きていける環境にしてあげて
ねとそこが一番気になりました。

CMを見て想像してた映画とは違った。
面白いことは面白いんだけど、えーと、なんていうか、うーんと、ワサビと辛子をサンドイッチみたいにした感じの映画だった。
２つの大きな柱である出来事が平行して走ってて、で、それぞれ一応社会風刺というか、テーマ性を持ってる。
でも、お互いに根本が同じ。
うー、だから、テーマをどっちかに絞ったほうがよかったんじゃないか？という感じが残りました。