ザ・ロイヤル・テネンバウムズ

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例えば私は
どこかに自分を見つけた映画を簡単には忘れなかったりする。

手からこぼれ落ちた砂をかき集めても
割れた花瓶を貼り合わせても元に戻らないことは薄々気付いていました。どんなに息を殺して引きこもっても、うるさい時計を叩き壊してもその手でカーテンに火をつけたとしても
止まることはなく、ましてや消えて無くなるなんてことがないのは当たり前だのクラッカー。
上手く歩けないのは自分だけじゃあないのでしょうか。手をつないで欲しいのはあなたと同じさ。
苦しかったよ。あなたを許さない自分を許すことが何よりも。あれから今日まで楽しかったよ。どんな下らない会話さえも。
いつだって思ってる。良くなりたい って思ってる。何となくだけど。
ほんの僅かなきっかけで、その足は歩ける気がしたよ。

とてもあなたの気持ちが伝わりました
あれからどうですか？

もしあなたが「許されざるもの」よりも「ブロンコ・ビリー」や「スペースカウボーイ」が好きならば・・・

「髪結いの亭主」や「仕立て屋の恋」よりも「タンゴ」や「ルコントの大喝采」が好きならば・・・

「紅いコーリャン」や「ＨＥＲＯ」よりも「秋菊の物語」や「初恋の来た道」が好きならば・・・

「もののけ姫」よりも「となりのトトロ」や「紅の豚」が好きならば・・・

この作品はどんな「名作」よりもあなたの心に残るでしょう

劇場で予告編を見たときは、「また奇をてらっちゃって。ただ変人奇人で映画作れば個性的だとでも思ってんじゃないの？」と、好感を持ってませんでした。でも。

わたしが間違ってました！

ヘンな人たちにはヘンな人たちなりの、わかりにくいけど一生懸命な生き方があるのですね。変だから大変なのか、頑張りすぎちゃうから変になるのか？一見無気力な乏しい表情や動きのなかから、彼らのひたむきに生きようとする不器用さや痛みがジワジワ伝わってきました。

ちっちゃな写真だから分かりづらいですけど、そうそうたるメンバー・・・
恐れ入りましたｗｗｗ

シュールの極地にあたるホーム・コメディです

ウェス・アンダーソン監督が合う合わないは別として（ズバリ合わないんですけどｗ）
この大所帯キャストをどうさばくのか！？
正直言って、キャラ説明とか、過去話に
延々とナレーションが続くってのが、苦手なんです
恐ろしく睡魔に襲われる・・・(汗)
でもって、そのナレーションに、アレック・ボールドウィンときたもんだ！
どこまでキャストに金かけるんじゃいｗｗｗ

結局はみんなブロークン・ハートで
タバコとか、テントとか、ワンちゃんとか
心のシェルターを持ってるんですよね
なかなか暗いお話なんです・・・
で、だから、なんだったんだっ！？
てなるのが悲しいところで
あぁ〜頑張って観たのに、この報われない虚しさを一体どうしたら・・・

テネンバウム一家が、とんでもないモヤモヤを残していきやがりました♪

「ホーム・ドラマ」です。ロイヤル・テネンバウムという男（ジーン・ハックマン）が妻エセル（アンジェリカ・ヒューストン）と結婚して持った家庭の中のドラマ。多くのレビュアー諸氏が「メッセージが無い」「何を言いたいのか分からん」と評するのは、監督（ウェス・アンダーソン）の「文体」（paroleさん）、「世界」（みみあてさん）の特徴ということもあるんでしょうけど、物語の舞台を「家庭（ホーム）内」に限定して、その構成員（家族）同士の間に生じる「ドラマ」を描く「ホーム・ドラマ」の必然だとも言えるのですね。そして、家庭の中で家族同士が演じる「ドラマ」は例外無く「悲劇」にならざるを得ないこともまた必然なんだと思います。この作品「悲劇」として観ればかなり良く出来てるし、それなりに「メッセージ」性も十分あると思えます。少なくとも、映像や音楽やテンポの良さが「スタイリッシュ」だから「空っぽ」でもイイ、という片づけ方は私には出来ませんでしたねぇ。

「家族であることの悲劇」は「家族とは愛し合っていることが当然である」という「信憑」に発します。「愛すること」も「愛されること」も相手が家族であれば「当然」などという命題には何の根拠もありません。また、物理的、経済的に親に「支配」される子の側に「愛される権利」「愛する義務」の観念が生じやすいのですが、本来的に「愛」は「権利・義務」とは相容れないものですから、そこには最初から「無理」があるんですね。
このオハナシの主人公ロイヤルは家族との「愛」について「権利・義務」観念を全く持たない男です。しかし長男のチャス（ベン・スティラー）は逆に家族愛を殆ど100%「権利・義務」で捉えてしまう男に育ってしまった。この父と長男の関係は「家族であることの悲劇」の典型です。
長女のマーゴ（グウィネス・パルトロー）は養女です。「家族」でありながら「家族」であることの唯一の「根拠」である「血の繋がり」が無いことを「権利落ち」の理由だと思い込んでいるから、反面「愛する義務」も無いと思っている。そのこと（家族愛を「権利・義務」で捉えること）自体が「家族であることの悲劇」なんですが、そこには気がつかない。グウィネスの好演もあって、マーゴの哀れさには胸を衝かれます。
二男のリッチー（ルーク・ウィルソン）は兄と姉の「悲劇」を見て育ったし、早くから「家庭」を出て「外」から家族を見て来たので最も「まとも」です。しかし彼もまた、愛するマーゴを始めとして誰一人として「悲劇」から救い出すことが出来ないことを悟った時自殺を図る。これもまた「家族であることの悲劇」そのものです。

同じ「家族であることの悲劇」を描いた「その土曜日、7時58分」や「ギルバート・グレイプ」に比べて、ウェス・アンダーソン監督の「スタイリッシュ」な語り口が作品のテーマ性、メッセージ性を隠蔽しているのかもしれませんが、元来「家族であることの悲劇」そのものが非常に普遍的で、程度の差こそあれ誰もが経験しているから、「悲劇」として認識されていないことも事実なんでしょう。それとも私がヒネクレ者だから深読みし過ぎたのかな？