僕はラジオ

ずっと観たい観たいと思っていたのに、いつの間にか忘れていた作品でした。
やっと観ることができた今は、何故、もっと早く観なかったのだろうと心底思っています。

コーチ・ジョーンズが“ラジオ”にどうしてあそこまで深く関わろうとするのか？
それが不思議だったのですが、その理由については、娘への告白の形で語られます。
多かれ少なかれ、私たちは「見て見ぬふり」をした経験がある筈です。
それを時の流れとともに記憶から消し去っていけるのか、ずっと心の中に澱として残していくのかは、人それぞれでしょう。
“ラジオ”の母の「どうしてここまで？」の問いに「正しいことだから」と答えたコーチですが、正しいことであっても、それを貫くことは簡単ではありません。
何よりも家族の理解と協力、そして犠牲も要求することになります。
時にはコーチ・ジョーンズ自身の自己犠牲も必要になってきます。
そんな葛藤の中で彼の出した答えは、終盤での理髪店で語られる決意です。
過去の出来事への懺悔とか“ラジオ”への中途半端な気持ちでは、ここまでできないと思います。
そこには“ラジオ”に対する友情の他に、“ラジオ”への信頼や尊敬の念もあったのではないでしょうか。
コーチ・ジョーンズの決心に多少驚きつつ、卒業式のシーンで「アメリカって国は・・・」とプチ感動、エンドロールでの本人たちの登場に初めて実話だと知り、又驚いたのでした。
感動を要求してくるような押し付けがましさがなく、素直に心に届いてくるものがありました。
コーチ・ジョーンズを中心に感想を述べてしまいましたが、“ラジオ”ことジェームズ・ロバート・ケネディの誰よりも真っ新な心が、彼に注がれる色々なものを素直に吸収し、それを彼自身の輝きに変えたのだと思います。
彼の母が「ジェームズは、ひとよりも頭の回転が遅いだけ。それ以外は普通よ」と優しく見守り育てた結果だと思います。
人は一人では無力だけれど、理解され受け入れられて、少しの手助けがあれば、多少のことは乗り越えていけるのだと、勇気をもらうことができました。
どうぞ、ご自分で観て感じてください。
お勧めします。

評価を見て借りたが思っていたような内容とは違ってた
始めからストーリーに入って行けなかったからか途中は長く感じた
段々と良くなって来るが良くなってからは、かなり短い
ラストは良いが感動するほどでは無かった
進める程の作品では無い

これは掛け値なくいい映画でした。
「彼からわれわれは学んでいる」という映画での台詞の通り、「ラジオ」の純粋な心から学ぶものは多いと思います。
実話であるということも重い。
１９７６年という時代を考えるともっとすごい。
いい映画でした。
特典映像のメイキングもどうぞ。
お勧めします。

コーチ・ジョーンズのラジオに対する気持ちは何なのだろうか、ということを、ずっと考えながら観ていました。
もちろん同情じゃないし、コーチ自身が語った「正しいことだから」というのとも違うんじゃないかな、と思ってました。新聞配達をしていた子供時代の出来事も、つながりはあるのだろうけど、それが理由でもないな、と。
もっと簡単なことなんじゃないか、でもなんだろう、と思っていたら、メイキングに答えがありました。「友情」ですよ！　コーチはラジオに友情を感じ、ラジオもそういうコーチに友情を感じ、その友情が周囲の人たちにも伝わっていったのだと思います。
「同情」や「正しいこと」は、身構えます。でも「友情」は身構えません。コーチとラジオの町の人たちがラジオに対して、そして障害者に対して身構えていないのは、そういうことなんじゃないでしょうか。
素晴らしい映画です。

　人を１人幸せにしてあげるって、けっこう簡単なようで大変なこと。同情するのは誰でもできるけど、行動に移して、それを実現したということに驚かされる。と同時に、勇気づけられたような気がした。
　エンドで流れた実在のラジオの活き活きとした表情が、頭から離れません。