蠅の王

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

ブートキャンプか何かの飛行機が墜落して無人島にたどり着いた少年たはホラ貝派と狩猟派の2つのグループに分裂。
ホラ貝派はメンバーの発言を平等に聞こうとする。眼鏡をかけた少年がいて、そのレンズで火を起こすことができる。
狩猟派はリーダーに統率された垂直指向のグループで、人数が多く集団で狩りをする。火を起こして肉を焼くため、ホラ貝派の少年の眼鏡を奪う。

グループが分裂することにメリットはありません。

にもかかわらず分裂したのは？　狩猟派のリーダー、ジャックの心理状態によるものです。プライドなのか、逆のプライドである劣等感の裏返しなのか、日頃親しんでいた映画や漫画から吸収した価値観の反映なのかetc何でも考えられますが、描き方がよく言えば寓話的、言い方を変えれば心理描写が手薄であるため、その辺はわからないです。もちろん観客が想像をたくましくするのも映画の楽しみ方の一つではあるんですが。
しかし、原作ではジャックも最初は野生のブタを仕止めることを躊躇する少年だったというところから描いているのに対して、映画では内面のドラマは描かれません。

ジャックの悲劇は、狩りをすること（サバイバル）が生きて島を出るための手段であることを忘れ、それ自体を目的化するという誤謬に根差しています。

狩りについて政治的な論理を展開するジャックに対抗して彼の誤謬を指摘するのは眼鏡の少年ピギーです。しかしピギーは暴力によって発言を封じられます。
本作品は人間心理の映画というよりは、政治哲学の映画だと思います。その意味で韓国映画「われらの歪んだ英雄」と併せて見ることで、より広い視野での鑑賞が可能となるでしょう。

「われらの歪んだ英雄」がテーマを深掘りした点で芸術だとするなら、本作品はアクション主体のエンターテインメントだと言えます。芸術作品が高尚というわけではありませんが、本作品は主題の掘り下げが今一つとの印象があります。
暴力の起源について流行りの心理学的な解釈も可能かもしれませんが、顔に模様（ブートキャンプで教わった？）を描いたり、火の周りを踊り狂ったりは、それにしてはありきたりというか、その辺を描き切ったとはとても言えません。

本作品が原作よりも成功しているのは、ラストのジャックの表情です。ジャックは最初いたずらっぽい少年として登場し、次いで狂信的なリーダーになった。その彼がラストで、安堵と同時に自分の王国が終わったことへの寂しさがない交ぜになった複雑な表情を見せる。それが原作にはない独特の印象を与えます。

ちなみに原作者は英国人。

TSUTAYA DISCAS＞レビュー広場＞2010年01月23日 土曜日 午後07時31分

意味不明だった。どこから集まった少年たちなのかわからず、ひとりだけいた大人の説明も全くなされない。あんなに毎日はしゃぎ回る体力を維持できるほど食料確保ができていたのかも謎。捕まえた豚を切り刻んだり頭だけ取ったり、子どもだけであんなにすんなりと出来るものなんだろうか。だいたいいじめみたいなことをする前に、限られた食料の取り合いをするんじゃなかろうか。…というように作品設定ばかりを考えてしまって、作品の訴える部分まで行き着かなかった。

人間にとって今最も大事だと思われる問題を取り上げています。
訂正します。何百年も前から最も大事だった問題です。

この映画にカタルシスが訪れないように、
その問題に解決の時は訪れないのでしょうか。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

冒頭から漂流して、すぐに無人島生活になるので、彼等がどうして、こういう状況になったのか？一緒に流れついた機長みたいな大人は誰？（服装から機長かなと思うのですが・・）リーダーの少年をサーと呼んでるのも、どうやら年齢が似たりよったりなのに階級がある？もう少し墜落前のシーン等で彼等の繋がりを説明して欲しかった。

極限状態で、あのようなヒステリックな行為に及ぶのは致し方ないとしても、それが子供だと思うとゾッとする。眼鏡のピギー君は眼鏡がなくなると、泣いたり、悪チームに寝返ろうとする。皆、精神的に大人な子供たちなので、ちょっと子供らしさを感じてホッとする・・・。

映画としては、もう少しストーリーに波があっても良かったように思います、ちょっと物足りない。サイモンという繊細な役を24の�Vシーズンでキムの相手役だったチェイスが演じています。子供の頃は可愛いな〜〜。

子供は、時に大変残酷なものであるが、
その残酷さを見事に表現した作品であると思います。

少年が４人で冒険に出れば「スタンド・バイ・ミー」となり、
少年が集団で冒険生活をすれば「蠅の王」となってしまう…。

たいへん衝撃的な作品ですが、おすすめ度はかなり高いです。
ただし、子供にはおすすめできません。
自己採点は４つ星。