ミザリー

世にストーカーと言うものの存在を知らしめた傑作
広くてゆったりした劇場より狭い貴方の部屋で、出来れば
電気を消してみることをお薦めします　本当に怖くていやな女
キャシーベイツにオスカーは当然　

映画の導入部って、あきることがあるけど、この映画は最初から最後まで、飽きることなく、どきどきはらはらが続きます。
タイタニックでキャシー・ベイツという女優さんがなぜか印象に残って、それから結構気になる脇役さんだったのですが、こんなすごい主役をやってる映画があったんですね。
文句なくアカデミー主演女優賞ですね。
ジェームス・カーンの情けない悲しそうな顔も良かったです。
とてもよく出来た怖い映画です。

何事においても、過ぎたるは何とやら・・・
ファン心理も度を越すと、こういう恐怖をもたらすというのが実感できるだけに怖いです。
ポールにしてみれば、アニーは自分の命の恩人でもあるし、身動きもままならない身にとっては、唯一の支えでもあるのです。
吹雪で道路が開通したら救急車が迎えに来てくれる。
電話が繋がるようにようになったら、エージェントや娘と連絡が取れる。
ポールは、アニーの言葉を信じ、恩人のアニーに対する感謝の気持ちとして、書き上げたばかりの原稿を最初に読む権利を進呈します。
そして、読後の感想を聞いたところ、突然のアニーの豹変！
その時から、少しずつアニーの狂気が垣間見えるようになり、ポールが感じているのと同じ恐怖を観客も体験していくことになるのです。
終盤を迎えての“足折の刑”は、あからさまな恐怖ですが、希望の光が見えた後の絶望は、心理的にかなり追いつめられます。
やっと電話で助けを求めることが出来る！と思った瞬間、その電話が中味のない外側だけだと気づいたり、保安官が見つけてくれた！助かった！と、喜ぶ間もなく保安官が射殺されてしまったり・・・
アニーがワインのグラスを倒して計画をおじゃんにしてしまった時は、ポールだけではなく観客も、希望の光をすっかり見失っていたと思います。
アニーの狂気のスイッチが入らぬように、表面上は従順を装い、アニーの意のままに“ミザリー”を復活させるポールのタフな内面の演技もさすがですが、やはりキャシー・ベイツの狂気のon/offを巧みに切り替える演技が秀逸でした。
いよいよのラスト。ポールが最終戦を仕掛けます。
何気ない冒頭のシーンが、全く違ったシチュエーションで再現されます。
命がけの復讐にも見えます。
ポールが原稿をタイプで打ちながら、タイプライターを頭上に上げ下げしていたのは、このためだったのか・・・と気づきます。
原作はスティーヴン・キング。
霊でもなく、超能力でもなく、夢オチでもなく、生身の人間の狂気や異常だからこそ、この「ミザリー」は心底怖いのだと思います。

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キャシー・ベイツは好きな女優さんです。いつも深みのある演技にドップリとハマってしまいます。印象に残っている作品には『黙秘』があります。
この映画、最初は監禁物でありきたりのストーリーなのかと思って観てましたが、ちょっと違いました。
『ミザリー』とはシリーズ物の小説の題名で、監禁されるのはこの小説を書いた作家のポール・シェルダー(ジェームズ・カーン)です。
ポールを監禁するのはアニー(キャシー・ベイツ)です。小説ミザリーの大ファンで、ポールのことは何でも知っている自称NO.1のファンなのです。しかし、実はストーカーだった！？
とにかくキャシー・ベイツ演ずるアニーの１つ１つの動作や目の動きが鳥肌が立つほどリアルで恐怖でした。ペットの可愛いブタちゃんの物まねには笑ってしまいましたが・・・。ポールも泣きわめいたり暴れることを極力抑えてアニーの言い成りになるところが、観客としてはイライラしましたが、そこに奥深いものを感じました。アニーの留守に古いアルバム見て彼女の過去を知ったポールは、なんとか逃げ出そうと知恵を絞る。クライマックスは死に物狂いの戦いとなった。
ラストで、アニーとの日々がなかったらこの新作は書けなかっただろうと語るポールの言葉が印象に残りました。。。

原作とはかけ離れた作品になってしまう作品が多い中で、これは原作の持つ怖さをそのまま移行できている気がしました。

まあ、皆さんが異口同音におっしゃられてるように、とにかくキャシー・ベイツがはまり役の演技で、怖い。
はまり役すぎて名前を失念してしまい、女優名を“ミザリー”って名前で思い出す始末で。

最近で言うと、この役を出来るかなって思う女優は「モンスター」の主演女優シャーリーズ・セロンあたりかな…
でも、アカデミー賞ともなると、キャシーのガブリ寄りでの勝ち（失礼!）って感じです。
最近って言えば、最近の作品に「ソウ（ＳＡＷ）」がありますが、例の残酷シーンのお手本がここにあったというかＳ・キングが種を蒔いていた気がします。