ロープ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　ヒッチコック監督としては割りと地味目な部類の作品ですが、イントロダクションにあるように、劇中の時間と現実の時間を同じ進行速度で撮っただけでなく、１カットで１本の作品を撮ったという点でも実験的な作品です。（アパートを外から写したカットがあるので厳密な意味では１カットではないのですが。）
　今だってキャメラに入るフィルムの長さに限界があるので本当に１カットで１つの作品を撮るなどということは不可能ですが、画面が柱の陰に入るなど一瞬、暗くなるところでフィルムをつないで、あたかも１カットのように見せたというのが種明かしです。
　言われてみるとなーんだという所謂「コロンブスの卵」ですが、ヒッチコックという人は、こういう誰もやったことがない撮り方が好きな人でした。多分、ヒッチコック・ファンはこうした茶目っ気も好きで、その作品を見ていたのだと思います。
　無論、サスペンスを盛り上げる腕も一級でした。ただ、この作品では実験の方に神経を使ったのか、ヒッチコックにしてはイマイチ盛り上がりに欠ける気がします。俳優もジェームズ・スチュワート以外は、今ではあまり知られてない俳優なので、その点でも損をしている気がします。
　物語は一種の到序物です。（『刑事コロンボ』とか『古畑任三郎』などの犯人をまず明かしておいて、探偵がどうやって犯人を追い詰めるかという形のミステリーです。）二人の若者が自分達の有能さを証明するために友人を絞め殺してチェストかなんかに詰め込んで、その部屋でパーティーをしているところへ昔の恩師が訪れ、彼らの犯罪を暴くというものです。
　先にイマイチと書きましたが、そこは腐っても鯛というくらいで、ヒッチコックですから退屈はさせません。一度、ご覧になってみてください。

密室で、リアルタイムで進行するサスペンス。
繰り出される膨大な台詞、全編ワンカットのカメラワークと、まるで観劇しているような錯覚に陥る。（事実、舞台劇の映画化だそう。）
80分超のコンパクトな尺に、ストーリーは無駄なく展開し、一時も観客を飽きさせない。
70年近く前の作品なのに全く古さを感じさせないのは、さすがヒッチコックと言うべきだろうか。
ファッションやヘアスタイルもノスタルジックで素敵だ。

優等種と自惚れる勘違い青年ふたりの「完全犯罪」が、徐々に暴かれる物語。
ふたりは友人を絞殺したアパートでパーティーを開き、死体を隠したチェストに料理を並べ、首を絞めたロープでプレゼントの本を結わえるふざけよう。
ブランドンは終始傲慢を貫くのだが、しかしフィリップは犯行直後から怯え、落ち着きを失っていく。
会話の端々、些細な態度に疑惑を感じ始める招待客ルーパート。
ブランドンは確信的自惚れから、フィリップは小心者の怯えから（断じて「良心」では無い）自ら墓穴を掘り、ルーパートに追い詰められていくのだ。
ルーパートばかりでは無い、被害者の婚約者にまで異常を指摘されるていたらくも演じてみせる「優等」な男たちは滑稽にも見えた。
冷静に、正義感を持ってふたりを追い詰め、留めをさすルーパート。
あれほどよどみなく続いた会話が途絶えるラストが、また何とも言えずすごい。
「実験作品」で賛否が分かれているらしいが、私は好きだ。

これは「倒叙形式」＝『コロンボ』スタイルの先駆けだったんだろうか。

ヒッチコックには珍しくヒロインがブロンドじゃ無く、彼女が「被害者」にもならなかったのは、別に大した意味は無いのだろう。

愚か者三人のお話です。
ネチオ（ネチネチ男）
オドヲ（オドオド男）
うすらバカ
何してんねんって話です。
バカ三人。
犯罪に向いてない二人。
それぞれの理由で向いてない二人。
一人は自覚アリ。
一人は自覚なし。
自覚なしの勘違い男って、うすらバカだから手に負えない。
なんでオドヲと犯行に及んだのか。
最初から墓穴を掘っていることに気付いてないんですよね。
失笑に次ぐ失笑。
きっとこれは笑えないコントだ。
笑えないし、つまらないし。
でもって腐った古畑みたいにネチネチと犯行の臭いを嗅ぎ付けるネチオ。
どうでもええわい。
お前のネチネチ戦法なんか。
飽きてきます。
ビシっと決まってないので飽きてきます。
計画も稚拙なら。
それを行う人間も稚拙で。
ラストにそれを暴く人間も「できる男」気取ってるけど、それがさむい。
うすらさむい。
うすらバカと大して違いなし。
でも、だけど、最終的にはうすらバカですね。
うすらバカが、どうしたって一番の愚か者です。
気付いてないから。
嘆かわしい。
かわいそう。
キャステキングは見事。
うすらバカは「この人じゃなきゃダメ」って感じで似合ってます。
笑顔の感じとか。

で、やっぱり「おばはんのコソコソ話」って危険度高しってことですよね。

ボクにはヒッチコック作品を観る上で致命的なハンディがある。
それはジェームス・スチュアートが苦手だということ。

とても地味な映画だと思います。場面展開も無く、ハラハラ要素も少ないです。ただ、メイキングを観ると、全て納得。この映画の良さというか価値がわかる気がします。つまらないなー、と思った方は必ずメイキングも観てみましょう。

実話をもとに中々無い展開で意外と面白い！
ブランドンは、自らを歴史に残る天才と確証を得るために、学友のフィリップを誘い完全犯罪の殺人計画を実施する。
そして学友のデイヴィッドをロープで首を絞めチェストに放り込む。
ブランドンは更にスリルに飢えエスカレート！
そのチェストの上にオードブルを載せ、パーティーを開催し、何とデイヴィッドの両親、フィアンセ、学生時代の恩師である教授をも招待する。
しかし、この教授を招待したことが･･･。
個人的には、ヒチコックの映画で教授役に大好きなJ・スチュワートが出演となれば観ないはずはない。。。十二人の怒れる男みたいに、その部屋のみの映像に何故か親しみが湧いた。