ファントム・スレッド

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観をわったあと　これほど　感じ方が変化した映画はなかった気がする。
後半になるにつれ　アルマに嫌悪感と　怒り　不快感で　ただただ歪んでいる！
許せない気持ちでいっぱいになった。
でも　これも愛し方の一つの形なのか？と・・でもやっぱり許せない。
こんな愛し方は本当の愛じゃない！・・歪んでる　こんな展開か！最悪だとも・・・
相手を尊重する気持ちが本当の愛で　自分の思い通りにすることは本当の愛ではないといえるのか・・
誰でも自分だけを見ていてほしい・・自分の愛し方を受け入れてほしいと思っているのではないかと・・だからといって　何をしてもいいわけでもない！
どれだけ完璧で偉大な人でも時代の流れや　周りの環境が変われば　状況は変化する。
彼にとってそれは受け入れがたいものだったけれど　アルマに身をゆだねることにより
間接的に現実を受け入れたのかもしれない。
完璧に尽くしてドレスを仕立てた顧客さえも時代の流れで離れていく中　歪んだ愛し方でも
そばにいてくれる女の方が　今の彼には必要だったのかもしれないとも思った。
でも私はアルマのような愛し方は間違っていると言いたい。
こういう愛を受け入れたときは　人はきっと　自分で何かをしたいという情熱を失って
依存しているだけのようなっ気がするからである

「ファントム・スレッド」（2017年、ＵＳＡ映画、カラー、130分）。

「Phantom Thread」の意味が気にかかります。「Phantom」は「幽霊」、「Thread」は「縫糸」。
どうも、よく分かりません。

冒頭、モデルの若い女性が、出ていくとき、「愚かなり我が心（My Foolish Hear）」がインストルメンタルで長く流れます。

レイノルズ・ウッドコック（ダニエル・デイ＝ルイス）は、オートクチュール（手縫い仕立て）の英国の職人です。

彼は、ある日、絶好のモデル・アルマ（ヴィッキー・クリープス）に出会う。

この女優のカメラテストの絞り込み映像が、ＤＶＤの特典として、ある。
レンズは、昔（今は無き）「コンタックス」のボディに装備されていた、カール・ツァイスの「Ｊｅｎａ　85ミリ」。そして、「65ミリ」。
さらに、ニコンの「55ミリ」を「ローコントラスト・フィルター」で撮った。……どれも、今は生産されていない古いレンズだ。
このカメラ・テストを「撮影開始の１週間前まで続けた」という。
「すっぴん」でも、美しく撮るために。

デジタル撮影、デジタル補正に頼らない、アナログ監督なのだ。29ミリ、50ミリ、55ミリ、65ミリ。場面ごとにレンズ、フィルターを変えている。
これは、映画撮影用のカメラなのであることが分かる。手持ちできる一眼レフに、こんな細かい刻みはない。

昔のレイノルズの愛人で、今は相談役（秘書ではない）として欠かせないシリル（レスリー・マンヴィル：1956年生：かなりの老けメイク）が階段下から運んでくる白いティーポットに、
Ｐ・Ｔ・Ａ（ポール・トーマス・アンダーソン）は、「駄目だ」という。

ふだん、僕の見る映画にまったく興味のない、女房「ちゅく」も前半のファッションの場面は、目を生き生きさせていたが、
後半、肝心の人間劇になると寝てしまった。
「ほら、肩幅の広い、胸の小さな、あんたみたいな人が、こんなに美しいのやわ。」と言うと、一瞬、目覚めたが、
「こんなドレス買って。」と言って、また眠ってしまった。


レイノルズが「美しい」と言うとき、それはアルマ自身ではなく、彼女が着ているドレスのことなのだ。それが彼女に分かるときは、すぐ来る。
シリルは、それが分かっている。
中身を、私自身を見て欲しい、というアルマの願いはことごとく撥ねられる。

レイノルズの意識の中心は、美である。
彼が病気をし、アルマと結婚したあとも、朝食のとき、音をさせて食べる女房を、獣であるかのように、彼は見つめる。
そのくせ、夢をみて、母のような女性に「そこにいるの？　声が聞こえない。」に囁きかける。

Ｐ・Ｔ・Ａの作品は、毎度、設定素材は異なるのだが、人間をしっかり描いている。だから、飽きは来ない。重い、と思いながら、いつも最後まで見てしまい、納得する。

1900年代の黒澤、フェリーニ、タルコフスキー、アンゲロプロスなどの「巨匠」とは異なり、もっと職人的に映画を極める「作家」なのかもしれない。

シリルとレイノルズの真剣な喧嘩場面は、結局、本編に採用されなかったが、映像特典として、このＤＶＤに残っている。
シリルが彼の頭に砂糖をかけ、さらにサンドイッチを投げる。
これは、いつ終わるのかと思ってしまう。顔がぐちゃぐちゃになり、「マスタードが目にしみる」と言いながら、レイノルズは新聞を読む。監督は「カット」と言わない。
ダニエル・デイ＝ルイスは、演技し続ける。

ちゅく

愛とは不可思議なもの

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ずっと見たかったこの映画やっと見れました！
映像が綺麗なのと、音楽も素敵で良かったです。

だけど、、、正直、一言で言って、ただの頭がオカシイわがまま女と、偏屈のマザコン親父の話じゃないですかぁ〜‼
結局それがメインですよ。

女はちっとも美人じゃないし、スタイルも悪い。そして、頭もいかれポンチなのですよ。
元ウエイトレスで、ファッション業界の事もビジネスの事も全く理解出来ないど素人ちゃん。
男は、仕事一筋で、こだわりが強く、かなり変人の寂しがりやのおっさん。ファッション以外の一般常識も、近頃の話題もなーんも知らない。
そんなトンチンカンな2人が何故か恋に落ちるのですが、女のワガママと、嫉妬が凄い！ドン引きです！私が男だったら、普通におんだすけどな〜。
毒キノコ食べさせて、超ひ弱になった所を思いっきり優しくマリアさまみたいに看病。。。
まさか、そのマリアさまみたいに面倒見の良い女が毒キノコ食べさせたなんて疑う余地もなく。。。なんて可哀想なおじさん。

最後がイマイチ理解出来なかったのですが、来世でまた、、とかって言ってたとこを見ると、遂にお亡くなりになったのですよね？

これはサイコの映画なんですか？ホラーのカテゴリーに入れた方がいいのでは？
ファッション業界の綺麗な話かと思いきや、ヤラレました。。。。

しっかし、この女、半端なく面倒くさい、男の最も苦手なタイプの女です。見ていてイライラしますよ〜！

　言わずもがなかもしれないし、レビューに書くことではないのかもとも思うけれど、説明の必要を感じて追記します。

　様々な議論があるのは承知していますが、レベッカ（『レベッカ』）や屋根裏の狂女マーサ（『ジェーン・エア』）は、男性中心社会で意識的にか無意識的にか、男性が抹殺したいと望んでいる女性の自我の象徴です。否定される存在として悪女や狂女に形象化され、女性作家の作品ではヒロインの影にすぎませんが、この映画では恐るべき主体として前面に形象化されています。

　スキーリゾートでの朝食の場面、自我を貫いたアルマを醜く映すカメラの視線の冷ややかさにはゾッとします。（そして私たちもカメラの否定的なその冷たい視線に共感するように仕向けられている。さらに、暴君だったはずのレイノルズに同情したくなるように。）エンディングでは表面的には妥協しているように見えるけれど、過去の（過去のものと信じていた）亡霊を現代に甦らせたという点で、この映画は、フェミニズムやジェンダー論の格好の教材になるやもしれません。

　私自身への戒めでもありますが、無意識に構造化された、美しい映画の罠にはご用心を。