ブリグズビー・ベア

忘れていた大切なものを思い出させてくれる作品。
この映画の中には、普段忘れがちだけど本当は大切なものがたくさん散りばめられてます。

赤ん坊の頃に誘拐され、世間から隔絶されたシェルターで誘拐犯の両親のもとで、彼らが制作した「ブリグズビー・ベア」だけを見て育った25歳の青年が、ある日、突然、警察に両親が逮捕されて、保護される

初めて外界に出たことから巻き起こる騒動を描いた楽しく魅力的な作品

これに近いシチュエーションの映画があって、そちらはもっとシリアスで心理描写も人間ドラマもきちんと描写してある傑作だったと思う。

それに比べるとこちらは、かなーりライトにお手軽に仕上げた作品。ただそれが悪いかと言われれば決してそんなことはなく独特の面白さを持たせることには成功していると思う。

ただやっぱり悪くない止まり。割と安易な展開と厳しい設定を組み合わせることでだけで、それなりの形にしたという印象。

ここでの評価ほどの傑作とは思えなかったです。

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超超超ご都合主義の子供向け以下の映画。
すべてが都合が良すぎます。

0歳の頃に誘拐され25年間偽の両親に育てられた主人公。
家に閉じ込められ偽の常識を教え込まれ娯楽はブリグズビーベアという偽父制作の子供向け番組のみ。
この時点でサイコ極まりない設定なのですが、そのへんはサラッと流されます。
そんな彼が突如外の世界に開放されたらどうなるのか？

私は勝手に「トゥルーマン・ショー」のような展開や「メアリーの部屋」という思考実験のような状況、つまりは自分の今まで思い込んでいた常識と実世界のギャップに対し主人公がどのように行動するのか、という部分に期待していたのですが・・・。

主人公はすぐに外の世界に適応し、マックブックもグーグルも自動車も使いこなします。
今まで実の両親だと思い込んでいた誘拐犯と引き離されても特に何も感じていないご様子。
外には毒素が広がり、ガスマスクをしないと出られないと教え込まれていたのに、ちょっと車の窓を開けて外の空気を吸っただけでそんなことはなかったと理解します。
はっきり言って実質他人でしか無い実の両親や妹の存在を受け入れます。それは実の家族たちも同様。
いやいや、みんな適応能力高すぎでしょ？
しかも偽両親への執着は無いのにブリズグビーベアにはやたら執着する、偽両親かわいそう。

ある日主人公は自分のことを疎ましく思っている妹（正常極まりない反応）になぜかパーティに誘われ（異常な行動）人生初のパーティに参加します。
そこでドラッグや酒、セックス（前戯だけだけど）を覚え、なぜかたまたま出会ったブリズグビーベアに理解を示してくれる青年と仲良くなり、ブリズグビーベアの続編となる映画製作を決意します。
今まで生身の人間といえば偽両親だけで、しかもブリズグビーベアの考察話しかしていなかったのに、コミュ力高すぎます。あるいは偽両親の洗脳教育はとてつもなくレベルが高かったのかも？

そして友人が勝手にブリズグビーベアの動画をネットにアップロードしたことで、ブリズグビーベアは広く受け入れられます。
偽父才能あったってこと？

映画製作シーンはただの映画製作同好会のハートフル青春メイキング映像です、やってるのは20超えたドラッグと酒に溺れたいい年の男女だけど。
なんやかんやありつつもブリズグビーベアを撮り終えた主人公、服役中のブリズグビーベアの声優である偽父と面会し、セリフの収録をしてもらいます。
え、もう・・・うん、あ、そう。へー。ここまでついてこられた人ならこの展開にもはや違和感はないでしょう。

そしてついに映画の発表、そこそこの劇場が満員御礼、客は大人ばかり。
これ、一応子供向け番組の映画だよね？
今更プレッシャーに押しつぶされトイレに引きこもる主人公、今まで好き放題制作してきたし、「周囲に受け入れられるか？」なんて気にしてなかったやん・・・。
でもなんやかんやで映画は大ウケ！やったね！！ハッピーエンド！！！ジ・エンド！！！！！！ブリズグビーベア、完！！！！ありがとう！！！

主人公は２５年間の誘拐監禁生活を経て新たな人生を手に入れることができましたが、私は人生の１００分間を無駄に過ごしてしまったようです。

てか、今更思ったけど誘拐だか行方不明の捜査って２５年間もやってくれるんだろうか？
見つけるまで２５年もかかった警察無能すぎない？
・・・まあ、いいか。この映画を観るには寛容さが必要だし、無くても観終わる頃にはある程度身に付くと思います。