海街ｄｉａｒｙ

「海街 diary」（2015年、東宝／ギャガ、カラー、128分）。

長女（綾瀬はるか）、次女（長澤まさみ）、三女（夏帆）と、母の異なる四女（広瀬すず）。

山形で、父の葬儀があり、三姉妹は、父が煙突の煙となって空に昇るのを見つめる。
小津安二郎の「小早川家の秋」（1961）の最後の長い場面。そこから始まる、現在の映画だよ、と監督は言っている。

長女は、その家で孤独そうに思える「すず」を、鎌倉の、自分ら三人が住む家に「おいで」と言う。
ここが、映画の最初の支点です。

映画の魅力は、女優それぞれの個性を十分に伸ばしたことでしょうか……。

綾瀬はるかは、看護士で、好きな医師（堤真一）がいるが、彼は妻帯者です。
事業に失敗した父が別の女性とともに去り、母（大竹しのぶ）も彼女らを捨てた。
それから、妹二人を、父・母の代わりに育ててきた。
彼女が、異母妹の「すず」を引き取ろうとするのは、彼女の家族意識の強さ、純粋さによるのだろう。

次女の長澤まさみは、のびのびした脚を伸ばして、「ビール！」というキャラクターで、誠に彼女向きである。
立ったまま、長い手を伸ばして食卓のおかずを「ぱくっ」とつまんで口に入れ、しっかり者の姉から叱られている。
長女と次女は、年子（1歳差）かもしれない。お互い、仲が悪いように見えて…。

「ふたりは最後に結託する」と三女の夏帆が言う。
四つ下、つまり中学校、高校で同じ場所にいたことがないくらい、あるいは、もっと下。
このひとが、ほかの三人とは違う、受けのいい働きをしていた。支点です。「へらぶな釣りにいこうよ」。

「すず」は、役名と役者名が同じ。演技をしようという苦い味がまったくないので、自然で、しかも怖さ、スリルを秘めていた。
これは、監督の腕。中学校のボーイフレンドを話しているとき、彼女がとてもとても大人びている。鎌倉の家で、猫をかぶっているのは確かだ。
それは、仙台でも山形でも孤独だった彼女の本能だ。映画の最後で、彼女は庭に向かって風呂上がりの全裸をさらし、長女から怒られる。、

目立たない男優陣も、しっかり仕事をしている。リリー・フランキー。加瀬亮。鈴木亮平。坂口健太郎。

居酒屋食堂のおかみ（風吹ジュン）。「伯母さん」（三姉妹の母の姉）の樹木希林。「母」の大竹しのぶ。

四人が、着物をきて、線香花火をする場面で、不覚にも涙が出た。
「お父さのバカ」「お母さんのバカ」と長女と四女が、丘の上から、海に向かって叫ぶ。

是枝裕和監督は、指示する単語や文節、文がすぐに抜き出せない「あれ」という言葉を、意図して、脚本に多用している。
「あれ」は、言葉や行動に現せないもの、煙突のけむりそのものではないが、この映画のテーマのように、言葉で表し難いもの。
つまり、「あれ」としか言いようがないものだ。

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　鎌倉に住む美人3姉妹にさらに美人の末っ子が加わって、生活していく話。

　日本の四季折々な映像は見てて気持ちがいいし、日本家屋で料理を作って食べて庭でできたものを採ってまた食べて、春夏秋冬で着る服が変わってというのは見てて面白かったです。
　
　が、お話のほうはなかなかの退屈さで、しっかり者の長女、自由奔放な次女、不思議ちゃんな三女、真面目な末っ子。というのがステレオタイプな造形で面白みに欠けました。冒頭、長澤まさみさんの足のアップから始まりますが、あれとかも何であそこの映像からスタートしたのかとかわからなかったです。
　主人公姉妹に魅力がないうえにおせっかいなおばちゃんだったり、だめだめな親たちなど周りのキャラクターも魅力がないものでした。

　長女は不倫していてそれに悩んだり、次女も三女もそれぞれに悩みがあってと合間に描かれますが。男性監督が女性を描くというのが無理なのかうわべだけにしか見えなかったです。
　「○○ないわよ」とか山田洋次監督っぽい現代人がしない言葉づかいとかわざとやってるのかな?　とか気になるセリフまわしなんかもどういう意味があるのかと考えてしまって入り込めなかったです。子役をものすごくリアルに描く是枝監督が今の若い女性を描くのって難しいんだな、と確認できる映画でした。

most boring film of the year, without a doubt! chick-flick hell!

鎌倉の古い一軒家。
若い世代、それもこんな感じの生活に憧れていた都会っ子同士が、
知り合い、人生の伴侶として、一緒に暮らしてみたいっていう設定なら分かる。
それが、たとえおばあちゃんの思い出が詰まっているということで
３姉妹が同居し暮らし続けられているところに、
少々、浮世離れしたところが感じられる。
もう少し、稼ぎがあればリフォームしてもっと便利に暮らしたいといった
ビフォーアフターを待ち望むところで
我慢しながら、ぶつぶつ言いながら暮らしているといった生活感が
感じられない。
まあ、あれだけ綺麗なお姉さんと、すずちゃんみたいな少女が暮らすということ自体、
生活感がないんだろうけれど、
そういう浮世離れした姉妹に、現代ならば現実感が満載のテーマである離婚や不倫、
残された子供の養育問題など、わからないからこの映画のような態度が取れるんだろうな。

ということで、余り共感もわかず、すずちゃんの可愛いところだけが目立った作品としか映らないのでした。

それぞれの思いを描くとともに、美しい四季の移ろいが彩る。心和む映画。