オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

アダムとイヴ…
二人は吸血鬼…
離れて暮らす恋人同士…。

音楽を愛し、読書にふけり、科学に敬意を示す…
アーティストであり、知識人であり…

独特の二人、独特の吸血鬼…
美男美女というより、異彩を放つカップル。

ストーリーは、あるような、ないような？……
淡々とした二人の時間…
淡々としたストーリー展開……
独特の時間が流れていく………

正直、面白い映画ではなかった。

けれど、
この独特の音楽、
独特の二人、
独特の雰囲気に…
最後の最後まで、引きづり込まれてしまった（笑）


ひと味違う、吸血鬼もの。
一度は味わってみてもいいかも。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
２１世紀…
汚れていく地球、
汚れていく人間、
安全な血が、貴重な時代……
吸血鬼も大変なんだと思えたりして（笑）

ヴァンパイア作品はやっぱりトム・クルーズの作品が私的にはお薦め。
こちらはイヴ役の女優さんが好きでレンタルしましたが、あまりに時間がまったりと過ぎるので…眠ってしまいました。
目覚めた時は終りの頃だったのですが、見直すのも面倒なので中断。
ミルクチョコさんは高い評価をされてらっしゃるので、眠らずに見ていたら良さがわかったのだと思いますが、テンポの緩い映画は苦手です。

さながらティルダ・スゥイントン祭りといったところか。

ヴァンパイア映画と銘打ちながら、世の中の人の求めるヴァンパイア映画からは
遠い映画。

そこかしこ、ジャームッシュ特有の世界が広がり、それをヴァンパイアを通して
描いてみた、そういう感じだ。
ストーリーもいつものようにマイペースで抑揚はなく、
しらっと進んでしらっと終わる。

印象に強く残るのはティルダ・スウィントンの浮世離れした、中世的な、
耽美的な異様な美しさ。
陶器のようなマットな質感の、人間っぽくない容姿やふるまいが他作品でも
異彩を放っているが、本作ではそれが遺憾なく発揮されている。

あとからジャームッシュ監督のインタビューで、ティルダの役は
完全に当て書きというのを読んですごく納得した。
先日見た、「パターソン」での永瀬正敏の当て書きも見事だったけど、
こちらのティルダの見せ方も見事としか言いようがない。
ジャームッシュには、自分が気に入ったものを他人に、こんなにいいんだよ、
と見せるプレゼンの仕方がほんとにうまいんだろう。

現代を生きるヴァンパイアってことで、人間の生き血がないと死に至るのだが、
その生き血の接種の仕方がなんともユーモラス。
是非、作品でみてほしい。

何世紀も生き続けてきたアダム（トム・ヒドルストン）とイブ（ティルダ）。
不老不死というのはいつになっても人の願いのようだが、
わたしは永遠に生きる、という方が怖い。
苦しみに終わりがないなんて、こんな恐ろしいこと他にあるだろうか。
死は怖いけど、永遠はもっと恐ろしい。

アダムもわたしと同じような気持ちを抱いている。
これって、いつまで続くのだろうか・・。

ラスト、２人に永遠が途切れそうな機会が訪れる。
２人の選択は。

そうよね。
そうなるよね。
ジャームッシュにくすりとさせられる。