夜行観覧車

vol2

坂の上と坂の下。
上流階級と下流階級。

一本の坂道を登ること、下ることで人間の階級まで変わる、
あくまでも偏見や見栄、卑屈さからくる歪んだ見え方なのだとわたしなんかは感じるが。

湊かなえは坂の上、下という象徴的なシンボルをどかんと据えて、人間の醜さや
矮小さ、家族のもろさを描いていく。

テレビということもあって、原作よりも分かりやすすぎるくらいに分かりやすく
誇張して描いているが、許容範囲内。

原作の中で、主人公の女の子がビーズのおばちゃんと（おばあちゃんだったかな）呼んでる人を
夏木マリが演じているのがちょっとわたしのイメージとあまりにも違いすぎて面食らっていたが、
次第に慣れてくる。
夏木マリさん自身、すごく男前でサバサバした方なので、
嘲笑も含めて演技している感じがまた面白い。

本を読んでもすぐ結論を忘れてしまうのが功を奏して、犯人が誰だか分からないので
犯人探しも面白い。
次が気になってしょうがない。

vol.1

湊かなえということで借りた。

面白い。
謎を投げつけてきて、ぐいぐい引き込んでいくのはお手のもの。
原作は未読だと思っていたけれど、見ていると読んだことがあるものだと気づく。

ただ、原作と違って中心となるのが娘じゃなく、母親になっている。
そこは鈴木京香と杉咲花の当時の力加減か。

今はすっかり大人っぽくなった杉咲花がまだあどけなさもちらつく少女の頃で
現在と比較して見るのもおもしろい。
子役でブレイクしちゃうとダメになる役者も多い中、現在も神木くんや蒼井優さん、
ナタリー・ポートマンのように活躍しているのが嬉しい。
そして、共通するのはもう既に子供の頃から目に力があって説得力のある演技が完成していること。

サラリーマン家庭が、少し背伸びをして高級住宅地の一戸建てを手に入れたところから
始まる奈落への序章。

ほんとに面白い。

面白いと評判だったので借りてみた
1話で目を引くが２話目以降からダメになっていく典型的日本のドラマ！
本作に関しては２話目のラストにほんの少し違和感が出てくるが、それまでは現実にやや近いタッチで描かれており、当該ラスト部分がそれまでと対照的に展開する為、興味がわいたので借りてしまった。
しかし、３話で非現実的な流れは加速し、４話目のラストでいよいよ限界を迎えた。
あんまりにも現実とかい離しすぎている。

勿論、非現実的な作品はあって良い、作品によっては楽しい。
であれば、非現実的なテーマや、非現実的な流れで、設定等で構成されるべきだと思う。
家族をテーマにその内面で抱える暗部を掘り下げて行く。
途中まではありふれた家族模様を魅せるのだが、次第に演出過剰となり、もはや非現実的な設定に堕してしまう。
それはキャラクター設定にも表れていて。各キャラクターが心象の変化や経験などを通さずに、ご都合主義でその性格をコロコロ変えてしまう。
まるでヒステリックで非論理的なよくいる女性の様な世界観だなと思ってウェブで調べてみると、案の定、原作、脚本、演出が全て女性だった。

確かに、ドラマメインは女性たちの行動ではあるが、だからと言って、必ずしも女性のみで作成すべきではないと思う。
私は女性は、自身であっても他者であっても女性の事を理解(分析)できない(という事は、この世で女性を理解できる者は皆無となってしまうのかもしれないが）と感じているからだ。
たとえば理屈屋の男性がいれば、論理的、合理的行動を求め、女性特有の感情に任せたご都合展開は抑制されただろう。

男女平等を唱えるのも良いだろう、しかし、変えがたい男女差は必ずあるのが現実だ。
例えば性別、例えば生理機能、例えば体力などだ。
地図が不得意な女性が多いと言われるように、上述の様な肉体面以外に内面でさえも当然に違う。
良い悪いの問題ではなく、致し方のない向き不向きの問題である。
当然に、男性に近い思考や行動の女性も少数ながらいるが、残念ながらこの脚本家達ではない。
に
もかかわらず、現実的環境の中で起きた非現実的な環境の描写を巧く行えておらず、やりたいことは理解できても、演出が悪すぎて違和感だらけで感情移入のできないチグハグな作品となってしまっている。

しかしながら、昼ドラのドロドロした非現実的人間模様を好む層がいることもまた現実であり、そういった層にとっては楽しめる作品なのだろうと思う。
個人的に、その非現実的世界観を現実と錯誤し、現実に持ち込む暗愚な者はそれなりに多数いて、そういった者を誘発するだけしか価値のない、私の大嫌いなTVの典型の様な作品であるところも気に入らない。