チャイナタウン

ジャック・ニコルソンが、へそ曲がりの探偵になりきっていてカッコいい。正にハードボイルドの主人公。
ハードボイルドの小説を読んだことのない方は、この映画でその雰囲気がかなり味わえます。この映画が気に入ったかたは、是非本格ハードボイルド小説を読まれることをお勧めします。

ロバート・エヴァンスの伝記映画「くたばれ！ハリウッド(2002)」を観て、彼がアリ・マッグローを失ってから最初に作ったこの映画をもう一回観てみたくなって借りた。

公開時に観ているんだが、ニコルソンとフェイ・ダナウェイが出ていた事のほかに全く記憶が無い。なぜ「チャイナタウン」という題名なのか、も記憶に無かった。今回もう一回観てみても、同じ感想だ。エンターティメントとしてはこの脚本はまあまあ面白いが、取り扱っている題材について、この映画が何かを変える力を持っていたのかというと、何も無い。この世界を動かしている闇の権力の存在。その闇の奥がどこまであるのか。それをこの映画は何も描かない。事件の真相は、絶対に市民には知らされない。エヴリンの最後のセリフがそれを象徴している。「He owns the police. (警察も彼のものよ)」。そしてこの映画は何も解決せずに終わっている。ラストのニコルソンの虚無感は果てしない。観るほうも同じ気持ちで終わる。

ロバート・エヴァンスがパラマウントで「ある愛の詩(1970)」「ゴッドファーザー(1972)」を作った後、初めてプロデューサーとしてクレジットされた映画がこの映画だ。奥さんだったアリ・マッグローが「ゲッタウェイ(1972)」で共演者のマックイーンと不倫関係になり、エヴァンスと離婚してしまう。離婚が無ければアリ・マッグローはチャイナタウンの主役になる筈だった。そして大女優への道を歩んでいたかもしれない。アリのその後を見ると、選択を誤ったよなぁと思わざるを得ない。彼女には「人生に悔いは無い」と思っていて欲しいと願うばかりだ。

エヴァンスはインタビュー映像の中で「この映画が傑作だとは思わなかった」と言っている。私もそう思う。映画ビジネスの難しさがよく分かる。作った映画が傑作なのかどうか、配給してみないと分からないのだ。今ではゴッドファーザーとチャイナタウンはアメリカ映画協会が1998年に発表した「アメリカ映画史ベスト100」に名を残す傑作になっている。ゴッドファーザーは3位。チャイナタウンは19位。ある愛の詩は圏外。。。

この映画に「解決」を求めるのは間違いなのだろう。フイルム・ノワールは破滅に終わるのが常道だ。この映画はA級新フイルム・ノワールなのだと考えれば、傑作であることがじわじわと分かってくるような気がする。

※ アメリカ映画協会の「アメリカ映画史ベスト100」のリストはこちらにあります。
http://en.wikipedia.org/wiki/AFI%27s_100_Years..._
100_Movies_%2810th_Anniversary_Edition%29#List_bre
akdown

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特別入り組んだ内容でもないのに（というよりシナリオが親切で非常にわかりやすくしてあったのかも）こんがらがることなく観れる、台詞にジョークも入り混じる、なのに重さ、デカダンを失わずずっしりとみせる　フィルム・ノワールっ・・・
ううう（唸）もう唸るしかない！
ポランスキーの妙をまた見せ付けられたり。
（ところでこの年代の作品もフィルム・ノワールって呼んでいいのかな）
ポランスキの中ではローズマリーの赤ちゃんと並んでいまんとこ
一番です　ナインスゲートとか私は全然だめだ（あれで良かったのはオープニングのタイトルロールだけ。内容とかほとんど忘れた）

話を戻して。
たしかにバッドエンディングにみんな絶望を抱かざるを得ませんよね・・・し、しかもあいつが生きてるっ・・・！ふぬーっ（怒

まあ私に薀蓄を語るほどの学もセンスもありませんが、（ふぬーとか言ってる時点で）こんなラスト、今では許されないだろーし、例えやったとしてももうわざとらしくなっちゃうんでしょうねえ。ああーゴダールの言ったとおりすべての映画は撮り尽くされたのかしら・・・。それも寂しい。
だけどバッドエンディングだから良いってんじゃないことだけは言えます。刹那的だからデカダンだからいいとかじゃなく！
もうニコルソンとポランスキの力による正当評価されるべき作品のひとつ。雰囲気でまねっこ映画は作れない！（そういえば彼の映画へのオマージュが汲み取れる作品て見当たらないけどあるのかしら）いやいや、ポランスキには誰も手を出せないのかも・・・


そして最後に、パッケージのイラストが大大好きです。良過ぎです。なんだあれは。どなたが描かれたんでしょう。そして中身も素晴らしいとは。


ブログ書いた後にレビュー書くと、こんなちょっと全体的に情緒的でまとまりない感じになる。
（いつもか）

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　1930年代の設定が素晴らしくて、出てくる役者さんに世界に全てがオシャレ感いっぱいで大好きな雰囲気を出してました。

　いつもの浮気調査だと思ってたのが、調査を依頼してきた人物が偽者で。しだいに水質利権なんかも絡んでいくという。まさに、ハードボイルドのお手本のような話が見事です。1つの点から次の線に繋がっていく流れは、素晴らしいです。

　にしても、ヒロインの父親の極悪非道なこと。それに、絶望のエンディングが待ち構えています。何で、こんなエンディングなのか?　「ここがチャイナタウンだからさ」という台詞、バッチリ決まってました。130分、ノンストップの映画でした。
　二転三転する展開で、サスペンスの王道の映画でした。　

　ジェリー・ゴールドスミス御大の音楽も映画の面白さをアップさせる名曲を作ってくれたと思います。

　昔、ＶＨＳを借りて間違いなく見たんですよ、でも何一つ覚えていなくて、皆がいーいー言うものだからDVD借りて再見したら。。。すごい傑作じゃありませんか！　とてもよく出来ている、映画ならではの威力を存分に発揮していて、映像も、シーンの展開も、俳優たちも、どれもこれも最高レベルです。一体、昔VHSを見た時は何をしていたんだろう？寝ていたのか？
　ロマン・ポランスキ監督、チンピラ役で本作に出演してますが本作製作時に40歳、チンピラ役の映像を見るととても若く見えますが、円熟した才能は並大抵のものではありません。「チャイナタウン」と聞くと、日本人は瞬間的にサンフランシスコを思い浮かべてしまうが、本作の舞台はロサンゼルス。映像は、LAの乾いた空気と熱を十分に伝えてくれます。「ローズマリーの赤ちゃん」（1968）、「戦場のピアニスト」（2002）と共に、間違いなくポランスキー監督の三大傑作の一つであり、共通しているのは舞台となる都市や場面の空気や匂いが画面からあふれ出てくること。
　ジャック・ニコルソンは、「イージーライダー」(1969）で注目を浴びて、「カッコーの巣の上で」（1975）でアカデミー主演男優賞を取る前年、まさにスターへの道を駆け上がっている時にこの作品であまりのはまり役に出会い、元刑事の私立探偵という設定。画面からほとばしり出る男の色気は大変なものです。そして、相手役のフェイ・ダナウェイ、　「俺たちに明日はない」（1967）、アカデミー賞を取った「ネットワーク」（1976）などが有名ですが、この映画ではとにかく魅力的、映画のポスター、DVDのカバーにも描かれた通り（こんな美しい描画で映画史に残るのは俳優冥利に尽きますね）の、謎めいた美女を好演、彼女の一番の作品ではないかと思います。
　ラストシーンは、意見の分かれるところですが、僕はこの映画のラストとしては一番だったのではないかと思う。メイキングも特典映像で付いているので、これがまたたまらなく面白かったですね。