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ゴーストライター / ユアン・マクレガー

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「ゴーストライター」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

「戦場のピアニスト」の名匠ロマン・ポランスキー監督が、ロバート・ハリスの同名ベストセラーを「ムーラン・ルージュ」のユアン・マクレガー主演で映画化したサスペンス・ミステリー。自叙伝を発表する元英国首相にゴーストライターとして雇われた主人公が、国家を揺るがす危険な秘密に迫ったばかりに、恐るべき陰謀に巻き込まれていくさまをスリリングに描き出す。英国の元首相アダム・ラングの自叙伝執筆を依頼された一人のゴーストライター。政治に興味のない彼は気乗りしないままに、ラングが滞在するアメリカ東海岸の孤島へと向かう。そこでラングへの取材をしながら、事故死した前任者の仕事を引き継ぎ、原稿を書き進めていくが…。 JAN:4907953047006

「ゴーストライター」 の作品情報

作品情報

製作年:

2010年

原題:

THE GHOST WRITER

「ゴーストライター」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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11〜 15件 / 全69件

職人芸とアホらしさ

投稿日:2011/12/27 レビュアー:カプチーノ

ロマン・ポランスキーの古典的なサスペンス映画を作る技術はしっかりしていて、
この映画もヒッチコック作品のように出来ています。
伏線をしっかりと張って、真相が解明されていく。
真相が解明しつつある段階でも観ている者を安心させるのではなくハラハラさせます。
俳優も主人公のユアン・マクレガーは、どこか頼りなげながら、好感の持てる役を好演。
切迫感があり行く末がうまくいかないような危うさを感じさせるところが、
サスペンス映画らしい雰囲気を醸し出していて、うまい。
ブレア元英国首相を意識したピアース・ブロスナン、
その妻役の女優もブレア夫人ぽさを取り入れて、脇役も上出来。
冒頭に登場する出版社のスキンヘッドの重役は、
スティーヴン・セガールに似ていました。年取ったセガールといった趣でしたが、彼でしょうか?
雲が覆ったようなどんよりした映像が、サスペンスと抒情を強調させていて、
このあたりは熟練した職人芸。
しかし、肝心のラストがだめ。ラストでこけています。ラストで台無し。
これではまるでエド・ウッドが作った映画のよう。安直すぎてダメ。
D級映画になってしまっています。
エド・ウッドなら許されても、ポランスキーがこれではいけません。
これで一気にアホ映画になってしまっています。もっと工夫をしてほしい。
最後は、「チャイナタウン」のように決めてほしかった。
老体とはいえ、ポランスキーには、まだまだ映画を作ってほしいので、
次の作品は、最後までしっかり作ってもらいたいと思います。

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風の中のナイフ

投稿日:2013/04/05 レビュアー:裸足のラヴァース

最近はすっかり惚けてきていますので 再見しないとレヴューが書けない状態で 忘れたころにぼちぼちとアップすることになるのですが 
老後の楽しみとしてのんびりやるのが一番ですね そんな情報劣者がやたら秘密情報員ものばかり見ます

半世紀も前の作品の「水の中のナイフ」と共に再見してみました 「ゴーストライター」は豪華極まる「水の中のナイフ」のリメークのような映画で 
冒頭は水と車と船で始まることにも視覚化されています テーマとしても倦怠期の夫婦のディスコミュニケーションを扱い その間に割って入った
貧乏青年が金持ち夫婦の欺瞞的生活を暴いてしまうといったものです もうひとつのリメークは夫婦のシニカルな問題圏を扱った「おとなのけんか」
なのかも そちらは未見です

この物語的骨格が大きく違うのは 勿論世界的映画作家となったポランスキーの現在の映画的成果としての贅沢な娯楽ミステリーってことで 
情報量のまるで違う世界が背景の出来事として再現されていることでしょうか

例えば 水の不安はふきっさらしのヨットの上の海水から 一国のトップの政治家の豪邸の透明で巨大なガラスの向こうにある雨に変わり そこに
アンニュイで一時的な安寧の時間が訪れ それがグローバル資本主義の実現したものなのですが たちまち報道ヘリの闖入で破られてしまいます

ほとんど亡命者なPブロスナンは 著名な映画作家であるポランスキの分身ですが 勿論「水の中のナイフ」の主人公に酷似したイアンマクレガーが
鏡像でもあって 形の見えないシナリオを客観的に完成させる映画監督が重なるでしょう

「水の中のナイフ」においては まるで雲の上のことなどわからない分厚いカーテンの降りた世界の手前での出来事であったわけで 青年は新たな
彷徨の旅へと向かいます 「ゴーストライタ」の主人公は逆に権力の最高位の人物にまとわりつくわけで 今の時代はそんなフィクションを成立させてしまうわけです 

しかしイアンマクレガーは自身ゴーストなのに 真実が隠されている原稿(マクガフィン)を手にした途端 実体的に世界に登場せんとして あっけなく
消されてしまうのです 情報の全面的な可視化は世界の不透明なあり様をいささかも減じたりはしないのです

「ゴーストライター」は「水の中のナイフ」で危うく車に轢かれそうになる無名のヒッチハイカーの青年が 執念深く半世紀も経ってから今度は確実に轢き殺されて
しまうことになるための 壮大なマクガフィンのような映画なのでしょう

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誰が誰のゴーストライターなのか?

投稿日:2013/03/01 レビュアー:港のマリー

おお、ようやく出会えたマイベストポランスキー「チャイナタウン」に匹敵する傑作。
まるで悪夢のなかにいるかのように、不安におののきながら、うねうねと続く暗い迷路をたどっていくあの感じ、孤独な「浮遊感」とでも名付けたい、ポランスキー特有の空気、よかったです、酔いました。面白かった、おすすめです。
☆4つ半でもいいのだけれど、CIAだの、軍需産業だの、拷問だの、不粋なものが出てきて、「チャイナタウン」のような潤い、きめ細やかさ、なまめかしい妖しさにはやや欠けるので減点です。
「チャイナタウン」ではカリフォルニアの青空がときどき画面に輝きましたが、本作は終始、雲が厚くたれこめる寒々しい鉛色の空、ふりしきる雨、ぬかるみ、ぬれた灰色の建物、ひたすら暗く重苦しい。スチールグレイにうねる海もいいアクセントになっています。ちょっと歪んだような遠景。すばらしい撮影ですね。
ユアンが泊まり込む元首相別荘の、殺風景な外観とまるで虐殺現場の血のりを描いたような悪趣味な現代アートで飾られた内装も見ものですね。
なにもかもが意味ありげ、怪しい不穏な気配を孕んで、主人公に迫ってくる、こちらは追い詰められる。
「危ないぞ」と、頭の片隅でアラームが鳴るのだけれど、もう引き返せない、行くところまで行くしかないんだ。
ユアンといっしょに行っちゃてください。そうせざるをえないように仕向けられる実に巧みな映画でした。
ところでこの映画が示すゴーストライター、元英国首相の自伝を任されたユアンのことだけではないのですね。
「ゴーストライター構造」は二重、いや三重になっているとわたしは読んでいます。ゴーストという言葉にもダブルミーニングが込められていて。
わが総理大臣はどうなのだろう。ゴーストを送り込むまでのことはない、と見くびられているのかしら。

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「雰囲気作り」の「芸」 ネタバレ

投稿日:2012/03/10 レビュアー:忙中有閑

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ロマン・ポランスキーという監督の名前を初めて記憶に刻んだのは「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)ですからもう40年以上前、私が高校生の頃です。その後細君の女優シャロン・テートがカルト教団に惨殺されたり、自身が少女強姦容疑で有罪になったり、専らスキャンダラスな噂の主としての印象が強く、作品としては「チャイナタウン」(74年)、「テス」(79年)、「フランティック」(88年)、「赤い航路」(92年)、「戦場のピアニスト」(02年)と、かなりの数を観ているんですが何れも「面白いけど私の好みじゃ無い」という評価が私の中では定着してるんですね。「面白い」というのもちょっとニュアンスが違う気がする。「雰囲気作り」が上手いとでも言うんでしょうか、もう冒頭から現実とは明らかに違う「異世界」に観客を引っ張り込んでしまって(現実感覚からすれば)かなり納得の行かない筋運びや不自然な飛躍をどんどん繰り出して来るんだけど、まるでそんなことは気にしていない、または意図的に観客を現実から引き剥がすためにそうしているかのように最後まで何の説明もしない。しかし不思議に「置いてけ堀」感がしないのは、映像や音楽や俳優の演技を総動員して丁寧にその「異世界」を演出しているのが明白に分かるからでしょう。メッセージは不明だけど一生懸命「雰囲気」を伝えようとしている、というのが共通した印象なんですね。
この映画、原作はロバート・ハリスって英国の作家で政治評論家だそうです(ウィキによるとあのニック・ホーンビーとは義兄弟だそうな)。読んでませんが、内容からして本来は「政治サスペンス」でしょうが、レビュアー諸氏も指摘されている通りオハナシ自体の「サスペンス」性は「大したこと無い」し、「政治」や「政治家」の描き方も単純素朴過ぎて幼稚な印象すらある(ピアース・ブロスナンに「元首相」はやはり無理がある)。主人公(狂言回し)のゴーストライター(ユアン・マクレガー)にしても「キャラ」が全然「立たない」(元々「キャラの立った」役が苦手な俳優ですが)。どうもこの2人の起用も、もしかしたら原作のチョイスもポランスキー監督の「意図」だったんじゃないか、という気がしますねぇ。「雰囲気作り」の「芸」を際立たせるために敢えて「大したこと無い」原作と「キャラの立たない」男優を選んだ?(笑)
対照的に女優2人(キム・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムズ)は「キャラ立って」ますねぇ。この映画の酷薄でうすら寒くてコワい「雰囲気」を作り上げているのは冬の海岸の冷え冷えした情景とこの2人の演技に依るところが大です。特にキムが上手いです。このヒト「SATC」のアホ・エロ女キャラよりこういう「冷感症」っぽい大柄女役のほうが間違いなく似合いますねぇ(笑)。

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最後まで飽きなかった

投稿日:2012/05/16 レビュアー:勇光

この映画に出てくるアダムという元英国首相はあきらかにトニー・ブレア元英国首相のことである。「イラクには大量破壊兵器がある」という米国の主張を鵜呑みにして米国とともにイラクへ派兵した元英国首相で、後になってそのことが問題視されているという設定は時代的にもブレアのことである。ピアース・ブロスナン扮するアダムは学生時代に演劇をやっていたとなっているが、トニーは演劇はやっていなかったようだ。が、髪をのばしてロックバンドのボーカリストをやっていた。アダムはCIAの援助を受けて首相となったが、トニーもそうなのかは、よくわからない。あたりまえだが・・(笑)。ラストの意外な展開も事実ではないから、すべてはつくりものなのだろうが、しかし、CIAが自分たちの手先を英国首相にしていたとしても、それはべつに不自然でもなんでもない。トニーは10歳で父を亡くし、大学を卒業した2週間後に母を亡くしている。祖国を裏切って米国のスパイになる人間がどんなものかわからないが、若い頃から親がいない、ってことは自分だけが頼りということであり、ハングリー精神が旺盛になるだけでなく、所属する社会に対する忠誠心などが崩れやすいかもしれない。
ちなみに、選挙演説というのは、一種のパフォーマンスでしかない。本人が持っている政治信条だとか理念だとかがどういうものかは演説を聞いただけではわからない。また、高邁な理念をもっている人の演説が感動的だとは限らない。が、ロックバンドのボーカリストなどは、大衆を喜ばせるコツを身につけているだろうから、演説をやらせてもうまいはずである。CIAがカネと人間をつかって自分たちの手先となる政治家を育てるならば、そういう人物を選ぶであろう。
余談になるが、民主党の国会議員たちの多くが「党の代表選でだれに投票しますか?」とインタビューされ、「演説を聞いて決める」と答えていたのにはびっくりした。ド素人の一般人がそう言うのならわかるが、いやしくも国会議員という選挙のプロが演説を聞いてだれに投票するかを決めるなんて言ってるわけである。

話がそれたが、この映画の最終局面では、拍子抜けする人が多いと思う。なにやら意味深でおどろおどろしいムードを盛り上げているのに、出てきた答えはかなり陳腐というか、べつにビックリするようなことでもないのである。

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ゴーストライター

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職人芸とアホらしさ

投稿日

2011/12/27

レビュアー

カプチーノ

ロマン・ポランスキーの古典的なサスペンス映画を作る技術はしっかりしていて、
この映画もヒッチコック作品のように出来ています。
伏線をしっかりと張って、真相が解明されていく。
真相が解明しつつある段階でも観ている者を安心させるのではなくハラハラさせます。
俳優も主人公のユアン・マクレガーは、どこか頼りなげながら、好感の持てる役を好演。
切迫感があり行く末がうまくいかないような危うさを感じさせるところが、
サスペンス映画らしい雰囲気を醸し出していて、うまい。
ブレア元英国首相を意識したピアース・ブロスナン、
その妻役の女優もブレア夫人ぽさを取り入れて、脇役も上出来。
冒頭に登場する出版社のスキンヘッドの重役は、
スティーヴン・セガールに似ていました。年取ったセガールといった趣でしたが、彼でしょうか?
雲が覆ったようなどんよりした映像が、サスペンスと抒情を強調させていて、
このあたりは熟練した職人芸。
しかし、肝心のラストがだめ。ラストでこけています。ラストで台無し。
これではまるでエド・ウッドが作った映画のよう。安直すぎてダメ。
D級映画になってしまっています。
エド・ウッドなら許されても、ポランスキーがこれではいけません。
これで一気にアホ映画になってしまっています。もっと工夫をしてほしい。
最後は、「チャイナタウン」のように決めてほしかった。
老体とはいえ、ポランスキーには、まだまだ映画を作ってほしいので、
次の作品は、最後までしっかり作ってもらいたいと思います。

風の中のナイフ

投稿日

2013/04/05

レビュアー

裸足のラヴァース

最近はすっかり惚けてきていますので 再見しないとレヴューが書けない状態で 忘れたころにぼちぼちとアップすることになるのですが 
老後の楽しみとしてのんびりやるのが一番ですね そんな情報劣者がやたら秘密情報員ものばかり見ます

半世紀も前の作品の「水の中のナイフ」と共に再見してみました 「ゴーストライター」は豪華極まる「水の中のナイフ」のリメークのような映画で 
冒頭は水と車と船で始まることにも視覚化されています テーマとしても倦怠期の夫婦のディスコミュニケーションを扱い その間に割って入った
貧乏青年が金持ち夫婦の欺瞞的生活を暴いてしまうといったものです もうひとつのリメークは夫婦のシニカルな問題圏を扱った「おとなのけんか」
なのかも そちらは未見です

この物語的骨格が大きく違うのは 勿論世界的映画作家となったポランスキーの現在の映画的成果としての贅沢な娯楽ミステリーってことで 
情報量のまるで違う世界が背景の出来事として再現されていることでしょうか

例えば 水の不安はふきっさらしのヨットの上の海水から 一国のトップの政治家の豪邸の透明で巨大なガラスの向こうにある雨に変わり そこに
アンニュイで一時的な安寧の時間が訪れ それがグローバル資本主義の実現したものなのですが たちまち報道ヘリの闖入で破られてしまいます

ほとんど亡命者なPブロスナンは 著名な映画作家であるポランスキの分身ですが 勿論「水の中のナイフ」の主人公に酷似したイアンマクレガーが
鏡像でもあって 形の見えないシナリオを客観的に完成させる映画監督が重なるでしょう

「水の中のナイフ」においては まるで雲の上のことなどわからない分厚いカーテンの降りた世界の手前での出来事であったわけで 青年は新たな
彷徨の旅へと向かいます 「ゴーストライタ」の主人公は逆に権力の最高位の人物にまとわりつくわけで 今の時代はそんなフィクションを成立させてしまうわけです 

しかしイアンマクレガーは自身ゴーストなのに 真実が隠されている原稿(マクガフィン)を手にした途端 実体的に世界に登場せんとして あっけなく
消されてしまうのです 情報の全面的な可視化は世界の不透明なあり様をいささかも減じたりはしないのです

「ゴーストライター」は「水の中のナイフ」で危うく車に轢かれそうになる無名のヒッチハイカーの青年が 執念深く半世紀も経ってから今度は確実に轢き殺されて
しまうことになるための 壮大なマクガフィンのような映画なのでしょう

誰が誰のゴーストライターなのか?

投稿日

2013/03/01

レビュアー

港のマリー

おお、ようやく出会えたマイベストポランスキー「チャイナタウン」に匹敵する傑作。
まるで悪夢のなかにいるかのように、不安におののきながら、うねうねと続く暗い迷路をたどっていくあの感じ、孤独な「浮遊感」とでも名付けたい、ポランスキー特有の空気、よかったです、酔いました。面白かった、おすすめです。
☆4つ半でもいいのだけれど、CIAだの、軍需産業だの、拷問だの、不粋なものが出てきて、「チャイナタウン」のような潤い、きめ細やかさ、なまめかしい妖しさにはやや欠けるので減点です。
「チャイナタウン」ではカリフォルニアの青空がときどき画面に輝きましたが、本作は終始、雲が厚くたれこめる寒々しい鉛色の空、ふりしきる雨、ぬかるみ、ぬれた灰色の建物、ひたすら暗く重苦しい。スチールグレイにうねる海もいいアクセントになっています。ちょっと歪んだような遠景。すばらしい撮影ですね。
ユアンが泊まり込む元首相別荘の、殺風景な外観とまるで虐殺現場の血のりを描いたような悪趣味な現代アートで飾られた内装も見ものですね。
なにもかもが意味ありげ、怪しい不穏な気配を孕んで、主人公に迫ってくる、こちらは追い詰められる。
「危ないぞ」と、頭の片隅でアラームが鳴るのだけれど、もう引き返せない、行くところまで行くしかないんだ。
ユアンといっしょに行っちゃてください。そうせざるをえないように仕向けられる実に巧みな映画でした。
ところでこの映画が示すゴーストライター、元英国首相の自伝を任されたユアンのことだけではないのですね。
「ゴーストライター構造」は二重、いや三重になっているとわたしは読んでいます。ゴーストという言葉にもダブルミーニングが込められていて。
わが総理大臣はどうなのだろう。ゴーストを送り込むまでのことはない、と見くびられているのかしら。

「雰囲気作り」の「芸」

投稿日

2012/03/10

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忙中有閑

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ロマン・ポランスキーという監督の名前を初めて記憶に刻んだのは「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)ですからもう40年以上前、私が高校生の頃です。その後細君の女優シャロン・テートがカルト教団に惨殺されたり、自身が少女強姦容疑で有罪になったり、専らスキャンダラスな噂の主としての印象が強く、作品としては「チャイナタウン」(74年)、「テス」(79年)、「フランティック」(88年)、「赤い航路」(92年)、「戦場のピアニスト」(02年)と、かなりの数を観ているんですが何れも「面白いけど私の好みじゃ無い」という評価が私の中では定着してるんですね。「面白い」というのもちょっとニュアンスが違う気がする。「雰囲気作り」が上手いとでも言うんでしょうか、もう冒頭から現実とは明らかに違う「異世界」に観客を引っ張り込んでしまって(現実感覚からすれば)かなり納得の行かない筋運びや不自然な飛躍をどんどん繰り出して来るんだけど、まるでそんなことは気にしていない、または意図的に観客を現実から引き剥がすためにそうしているかのように最後まで何の説明もしない。しかし不思議に「置いてけ堀」感がしないのは、映像や音楽や俳優の演技を総動員して丁寧にその「異世界」を演出しているのが明白に分かるからでしょう。メッセージは不明だけど一生懸命「雰囲気」を伝えようとしている、というのが共通した印象なんですね。
この映画、原作はロバート・ハリスって英国の作家で政治評論家だそうです(ウィキによるとあのニック・ホーンビーとは義兄弟だそうな)。読んでませんが、内容からして本来は「政治サスペンス」でしょうが、レビュアー諸氏も指摘されている通りオハナシ自体の「サスペンス」性は「大したこと無い」し、「政治」や「政治家」の描き方も単純素朴過ぎて幼稚な印象すらある(ピアース・ブロスナンに「元首相」はやはり無理がある)。主人公(狂言回し)のゴーストライター(ユアン・マクレガー)にしても「キャラ」が全然「立たない」(元々「キャラの立った」役が苦手な俳優ですが)。どうもこの2人の起用も、もしかしたら原作のチョイスもポランスキー監督の「意図」だったんじゃないか、という気がしますねぇ。「雰囲気作り」の「芸」を際立たせるために敢えて「大したこと無い」原作と「キャラの立たない」男優を選んだ?(笑)
対照的に女優2人(キム・キャトラル、オリヴィア・ウィリアムズ)は「キャラ立って」ますねぇ。この映画の酷薄でうすら寒くてコワい「雰囲気」を作り上げているのは冬の海岸の冷え冷えした情景とこの2人の演技に依るところが大です。特にキムが上手いです。このヒト「SATC」のアホ・エロ女キャラよりこういう「冷感症」っぽい大柄女役のほうが間違いなく似合いますねぇ(笑)。

最後まで飽きなかった

投稿日

2012/05/16

レビュアー

勇光

この映画に出てくるアダムという元英国首相はあきらかにトニー・ブレア元英国首相のことである。「イラクには大量破壊兵器がある」という米国の主張を鵜呑みにして米国とともにイラクへ派兵した元英国首相で、後になってそのことが問題視されているという設定は時代的にもブレアのことである。ピアース・ブロスナン扮するアダムは学生時代に演劇をやっていたとなっているが、トニーは演劇はやっていなかったようだ。が、髪をのばしてロックバンドのボーカリストをやっていた。アダムはCIAの援助を受けて首相となったが、トニーもそうなのかは、よくわからない。あたりまえだが・・(笑)。ラストの意外な展開も事実ではないから、すべてはつくりものなのだろうが、しかし、CIAが自分たちの手先を英国首相にしていたとしても、それはべつに不自然でもなんでもない。トニーは10歳で父を亡くし、大学を卒業した2週間後に母を亡くしている。祖国を裏切って米国のスパイになる人間がどんなものかわからないが、若い頃から親がいない、ってことは自分だけが頼りということであり、ハングリー精神が旺盛になるだけでなく、所属する社会に対する忠誠心などが崩れやすいかもしれない。
ちなみに、選挙演説というのは、一種のパフォーマンスでしかない。本人が持っている政治信条だとか理念だとかがどういうものかは演説を聞いただけではわからない。また、高邁な理念をもっている人の演説が感動的だとは限らない。が、ロックバンドのボーカリストなどは、大衆を喜ばせるコツを身につけているだろうから、演説をやらせてもうまいはずである。CIAがカネと人間をつかって自分たちの手先となる政治家を育てるならば、そういう人物を選ぶであろう。
余談になるが、民主党の国会議員たちの多くが「党の代表選でだれに投票しますか?」とインタビューされ、「演説を聞いて決める」と答えていたのにはびっくりした。ド素人の一般人がそう言うのならわかるが、いやしくも国会議員という選挙のプロが演説を聞いてだれに投票するかを決めるなんて言ってるわけである。

話がそれたが、この映画の最終局面では、拍子抜けする人が多いと思う。なにやら意味深でおどろおどろしいムードを盛り上げているのに、出てきた答えはかなり陳腐というか、べつにビックリするようなことでもないのである。

11〜 15件 / 全69件