ミスター・ノーバディ

映像美は素晴らしかったけれど・・。

不死を手に入れた未来の人類。
最期にひとり残ったモータルな存在、死ぬことが可能な人間ニモ　=　ミスターノーバディが自らの人生を振り返る。
あのときこうしていたら・・・といういくつものストーリーが縦横無尽に描かれる。
「バタフライエフェクト」のようなパラレルワールドものは、大好きなんですが、これは全然ついていけません。

作中で明らかに際立っているのが、再婚夫婦の連れ子として出会い、激しく惹かれあい恋に落ちるニモとアンナの純愛ストーリー。
これだけを描いたラブストーリーだったら楽しめたと思うけれど・・。

人生が自らの選択で成り立っていることは分かっているが、正しい選択なんてありえないのも自明の理だ。
人生は不確実性に満ちているのだから。
正しい選択がありえないから、最初から選択を放棄するという手もある。
しかし人は自分の目指す夢やゴールの為に日々苦悩し、正しい選択はどれだろうかと、苦しみもがいている。
そういう姿に私は感動する。

この作品は、この道もよしあの道もよし、いや実は全部の道がありだよ、という感じで
終わりの見えない、もしもワールドが幾重にも再現されているだけでうんざりした。
こちらにいろいろな思考を投げっぱなしにして、勝手に向こう側で達観されている気がして、居心地が悪い。

SF、パラレルワールド好きな分野なんだけど・・・・。
なんとなくビミョー・・・。

出てくる彼女はみんな美人で可愛い・・・。
３人とも結婚したいよね。

それを３パターン描いちゃうんだから・・・ね。

「もしも明日が選べたら」のマイナーなパターンね。

ハッピーエンドとは言えないので・・・。
チョット消化不良です。

だれしも岐路に立つときってありますものね・・・・。
やり直したいことも・・・・。

でもやり直せないから今が一番と思わないとね・・・。

人は幾つもの分岐点から成り立って人生を終える。
あの時こっちに行っていたら
あの日の決断が違うものだったら
その分岐点から先の人生は違ったものになったはず。
そしてその先のいくつもの分岐点でもまた違う決断をしていたら・・
人には生まれながらにして幾つものレールが敷いてあって
そのレールにいくつもの人生が展開されているとしたら・・
その幾つもの人生がどうなったか見てみたいと思わない人はいないだろう。
たとえ今の人生に満足していたとしても・・

そんな思いを強くさせるこの作品。
果たしてどの人生がニモの本当の人生だったのか？
もしかしたらすべてが彼の妄想だったのかもしれない。
映像はすごく綺麗で繊細、吸い込まれそうに美しい。
主演のジャレッド・レトもさまざまな違った顔をみせてくれ、彼も美しい。
だだ、映画としては非常に判りづらく、そして長く、正直少々退屈気味になった。

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　他の方のレビューに海外で評価が高かった云々とあったが、私にはいい評価がとてもできなかった。同じような場面が何度も繰り返し表れ、違う人生もありえたというようなことなのだろうが、同じ場面のヴァリエーションの映像がくどいほど繰り返され、物語の発展性もなく、もういい加減にしろと言いたくなる。この手の趣向の映画は他にも同様のものがある。ニコラス・ケイジの「天使のくれた時間」、グウィネス・パルトロウの「スライディング・ドア」とすぐに同趣向の映画を思い浮かべることができる。最後は生きているつもりでも、それが本当の生なのか分からないなどという、ＳＦとしては陳腐でありふれた結論を主人公が語る。長いだけで退屈と言わざるをえない。

　あまりに久々のジャコ・ヴァン・ドルマル監督作品。日本でかからないだけかと思っていたら、監督自身１３年ぶりのメガホンだったのですね。
　内容は、一言でいえば、ひとりの男（ニモ）が辿る可能性のあった人生の数々。
　結婚相手によってざっくり３つのストーリーに別れているけれど、小さな選択の違いによって全く別の運命が待っていたりする。まるでシミュレーションゲームの其々の場面をコラージュしたような作り。
　「風が吹けば桶屋が儲かる」もとい「安いジーンズを買えばアンナと二度と逢えなくなる」くだりなど軽妙なテンポの効いたお遊びと、全編を彩る美しい色彩センスには、監督らしさを垣間見ることができたように思います。
　ただ、そのすべての物語において、あまりニモが幸せだったようには見えなくて。。。幸せだったのは、両親に愛されて過ごした何年かの日々だけ。これがすべて小さなニモが想像した世界だったのだとすれば、どんなネガティブな少年だろうな、、、と。これも両親の離婚というショックな出来事の成せる影響と言われたら、あまりに哀しくもあり、妙に納得もさせられるけど。

　それにつけても、技術の進歩とともに、登場人物の老年期を同じ役者が老けメイクで演じる作品が増えていますが、個人的にはどうしてもこれに違和感があります。
　ブラピの『ベンジャミン・バトン』でも同様のことを書きましたが、やっぱりよぼよぼの老人を演じるには、骨格が良すぎるんだと思います。どんなに表面だけシワシワなおじいちゃんでも不自然極まりなく、本作のジャレッド・レトも、しむけんのコントもしくは『ロード・オブ・ザ・リング』かなんかのクリーチャーを見ているようでした。
　ジェニファー・コネリーがなぜかオスカーを獲った『ビューティフル・マインド』ですら劇場で吹き出しそうになりましたし、『２０世紀少年』に至ってはもはや全員が大真面目にコントしているようにしか思えず、物語が全く入ってこなかった。
　ここまでしてどうして同一人物が演じることにこだわるのかわかりません。少年期はどうせ子役を使うのだし、別に似ていなくともしっかり演技できる老優に任せればいいだけだと思いますが。