バーティカル・リミット

2000年作品。
この頃は主演のクリス・オドネルが大好きだった。
好青年のお手本みたいな爽やかさに澄み切っなブルーの瞳。

今回、18年振りに観る機会を得て、結構スリルを感じるシーンが
多かった。
何回も繰り返されるザイルに何人も(3人とか4人)が、宙づりになるシーン。
大掛かりな雪崩。そして滑落。

バーティカル・リミットの意味は（限界高度)
パキスタンのK2（標高8611メートル・・エベレストに次いで世界2位の高さの山)
そのK2に登山中、クレパスに落ちた妹を救う山岳カメラマンの兄(クリス・オドネル)の物語です。

面白く鑑賞して(映画なら殆ど、70％は喜んで観るお得な性格です)、
粗探しをするのも、ナンではありますが、
あまりに無理くりの設定に呆れてしまう自分がいます。

1、8611メートルの限界高度で、無酸素登山ですかい？
2、妹ほか2人の落っこちたクレパスが、洞窟のようになっている・・・
これって谷かなにかなの？
3、液体ニトログリセリンって、危険すぎません？
案の定、こぼれる、発火する→大爆発・・と話を面白くする役目は果たしてるけれど、無謀すぎません？
4、クレパスに落下してるのに、岩を爆破して助かる・・・そんなこと、あり得ません、雪庇ですよ、相手は。

という訳で、良く考えると相当に無茶苦茶で強引なストーリーでした。
クリス君他、懐かしのスター(ビル・パクストン、スコット・グレン、
ロビン・タニーなど)の若い頃を思い出して、満足ではありました。

いきなり父親がグシャリ〜最初からテンション下がりまくり・・・・

しかしニトロ抱いて登山は壊れています！

最後クレパスに落ちて無理心中！

きっと永遠に氷ずけ！

　クリフハンガーにしても、この映画にしても山岳アクションと呼べる作品は、普通に作ればそこそこおもしろい作品に出来るような気がします。高山に登山すると普通でも命の危険が多く有る筈で、それに映画ならではのいろんなものを盛り込めば、自ずとおもしろくなると思うからです。この映画も最後まで引き込まれて観ることが出来ましたが、見終わった後でなんかもやもやしたものが残りました。それは、登山をする人の気持ちを私が理解できないからだと思います。なんで死ぬかもしれないのに登るんですかねえ。遭難したら確実に他の人に迷惑かけるし（この映画では救助隊の人が４人死んだ）、あまり感情移入できません。

劇場で観たんですが、冒頭の場面でこちらまで宙づりになった気分、やはり劇場で見るべき作品です。
緩急があまりなくイケイケドンドンで、お話がいささかひどいので見た後とても疲れました。

今回再見して小さな画面で見ると粗雑なストーリーの粗がさらに目立ちます。
二度目だから割り引いてやらないと気の毒かも知れませんがね。
でも、見る者に思わず収支計算をさせてしまうようではいかんでしょう。

「クリフハンガー」と「恐怖の報酬」を足して２で割ったら、こうなるという作品です。これが、バカにしてたら結構冷や汗ものの映画で、手に汗にぎることは請け合います。アルペン・サスペンスものの中では、群を抜いているでしょう。惜しむらくは、キャスティングです。これはもう少し工夫は欲しかった・・・。いい役柄が揃っているのだから、配役にもう少し配慮があれば、もっと楽しめたような気がする。なぜなら、聖なる山を背景に、登場人物たちが劇中でかなりの無茶をやるわけです。それでも、山男は行かねばならない時は行くんだと大見得を切るには、“ドラマの成立上”重鎮の演技による説得力も実は不可欠であったはずなんです。ともあれ、斜に構えてみたら案外のけぞった映画なのでした。