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ブラック・レイン / マイケル・ダグラス
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「ブラック・レイン」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

レストランで偶然にヤクザの殺人に出くわしたニック(ダグラス)とチャーリー(ガルシア)両刑事は、その犯人佐藤(松田)を日本に護送するが、大阪空港で逃げられてしまう。府警の松本(高倉)の監視下、警官としての権限の無いまま捜査を見守る彼らだったが、佐藤はそれを嘲笑うかの如く、自ら刺客となって二人の前に現れるのだった。

「ブラック・レイン」 の作品情報

作品情報

製作年:

1989年

製作国:

アメリカ

原題:

BLACK RAIN

「ブラック・レイン」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

関連作品

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レジェンド 光と闇の伝説

幸福の黄色いハンカチ

宮本武蔵・二刀流開眼

ユーザーレビュー:82件

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11〜 15件 / 全82件

ダメな映画に輝く狂犬 ネタバレ

投稿日:2009/07/06 レビュアー:よふかし

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 何度か観ているのですが、この映画を思い出すと、つい松田優作のことばかりになってしまいます。彼がこの作品を経て、世界的な俳優になりかかった瞬間に亡くなってしまったということが頭にあるので、ついこちらも冷静さを失ってしまうのです。
 最初の殺しのシーンであるとか、随所で見せる凶暴な表情というのはとても松田優作らしく、素晴らしい瞬間があって、この映画の大きな魅力であると思います。しかし、では松田優作のベストかというと、もちろんそうとは言えません。仕方がないことですが、この映画の彼の役柄はチンピラな敵役に過ぎません。狂犬としての魅力にはあふれていても、本来彼がもっているユーモアや、アクション場面以外でも光るのびやかな身体が、ほとんど生かされていないと思います。逆に言えば、この詰まらない役をここまで魅力的にしたということがすごいということになるでしょうか。
 なぜか松田優作フィルムという印象になってしまうのですが、高倉健や若山富三郎や大阪の街がハリウッド的アクション・エンタテインメントの文脈に見事に取り込まれているという意味でも楽しめました。日本や日本人俳優がどういうふうに扱われているか、捉えられているかという興味は満たされます。
 しかし、冷静に映画として見ると、これは出来の良くない作品です。脚本が圧倒的に詰まらない。マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアの道行は観光旅行のようなもので、ほとんど捜査ができない上に自分から危機を招いてしまう。健さんに頼らずできたことといえば、いかにも場違いなホステス、ケイト・キャプショーに助けてもらうだけ。松田優作はのし上がろうとする新進気鋭のヤクザというには狂犬の度が過ぎるし、映画はヤクザ世界の深みを少しも感じさせない。アメリカが日本に黒い雨を降らして、文化を破壊した、だから優作みたいな仁義もヘチマもないのが現れたのだという若山の台詞も、そういうテーマ性を感じさせるつくりになっていないので、「うーん、なんだかなあ」としか思えません。
 製鉄所(?)前で猛スピードで行き交うダンプを生かしたアクションや、ラストの銃撃戦からバイク・チェイスへの展開など、楽しめる瞬間はなくもありません。しかし、リドリー・スコットってやはり瞬間の映像的な面白さ、センスには秀でていても、どこか生真面目さを残していて、作品を小さくまとめてしまう人ではないかと思いました。
「知り合いが出ているから」という感じで下駄を履かせてこその作品。40点。

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星の数1未満

投稿日:2004/11/23 レビュアー:アルファ

よくもまあこんな下らない映画に高倉健を引っ張り出したものです。日本の街も日本人の思考の描き方も無茶苦茶。またそれが特に魅力的というわけでもなくもっぱらアメリカ人警察官に振り回されそれに翻弄されるがまま。無理やりレイチャールズを歌わされたり日本の習慣(?)だからと遺品をねだる演技をさせられる高倉健。果ては国籍不明な農村光景。これは日本を舞台にした映画なんかじゃなく、80年代後半の米国人の脳内にあった日本像を強引に筋書きに持ち込んだだけの傲慢な作品です。こんな映画を日本人自身が評価してどうしますか。日本人監督が米国をこんな風に戯画化して作品化したらかの国は大ブーイングだったでしょう。ふざけんな!くらいの気持ちで観ましょう。

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アメリカ人が見た日本と日本人

投稿日:2017/05/02 レビュアー:カマンベール

リドリー・スコット監督が真面目に、日本人と日本文化に
取り組んでくれて、変な部分も少しあるけれど、概ね良く日本文化を
捉えていると思いました。

ハリウッドスターに一歩も引けを取らない松田優作の勇姿が眩しい。
高倉健も、寡黙で出過ぎない日本人の奥床さを、体現しています。

ハリウッドが映画化した作品というと、まず圧倒的人気で迎えられたのは、トム・クルーズと渡辺謙主演の、
「ラストサムライ」
ディスカスの評価は、3.65。レビュー数(706)2003年作品。

「SAYURI」ロブ・マーシャル監督作品。
ディスカスの評価は、3.11。レビュー数(382)2005年作品。
主役が中国人(チャン・ツィイー)とは情けない。

「ザ・ヤクザ」1974年と古い。シドニー・ポラック監督作品。
評価2.81と低いですが、高倉健とロバート・ミッチャム主演の、
大真面目のヤクザ映画です。面白いです。

「沈黙SILENCE」
マーティン・スコセッシ監督作品がDVD待機中。
これは非常に楽しみです。

どの作品も監督・製作人の日本への真摯な勉強による作品です。
日本文化へのリスペクトが嬉しい。
「ブラックレイン」は、高度成長期の日本の熱気が伝わる
記録的映画でもあります。
一見の価値有りです。

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昨夜「ラストデイズ」を見て

投稿日:2010/12/23 レビュアー:港のマリー

 香川照之が松田優作の最後の一年を追ったドキュメンタリー「ラストデイズ」NHKを見た。当時23歳の香川は優作最後の仕事となったテレビドラマで共演し、「俺とおまえとはタイプが違うが、おまえは俺になれる」と、謎のようなことばをかけられたそうだ。
 その真意を求めて、優作の出自、在日コリアンの母、最後までわからない不在の父、遊郭の一角にある貧しい生家、に迫り、終生悩み続けたコンプレックスと孤独を明らかにしていくのだが、中心に置かれたのは、この「ブラックレイン」の撮影だった。狭い日本では息が詰まりかけていた優作が、「映画の父」ハリウッドのもとへ、文字通り命を賭けて飛び込んでいったのだと。ヘアメイクを担当した女性スタッフが、スターである俳優はそんなにいないもの、しかし彼はまぎれもなくスターだったと語るのが印象的だった。自身の、そしてこの世に生きる人々が皆深い部分で密かに抱いている、孤独とコンプレックスを、役を演じることへの狂気に似た執念に変えて、スクリーンに爆発させるスター性は東西共通なのだろう。西洋人の異国趣味や偉大な日本人監督の力によってではなく、自身の存在感と演技力で、映画の都のスターになれた優作は立派だ。命と引き替えだって、惜しくない、本望だったと思う。「父」に認めてもらえたのだから。

 アンディ・ガルシアがかわいそうになるシーンはロサンゼルスで撮られたとのことだが、大阪の街がブレードランナー化しているのは楽しい。この猥雑さと部屋に盆栽なんか飾っている高倉健のまじめさが、不調和な気してならないのだが。健さんを入れたことでテーマが散漫になったのは否めない。マイケル・ダグラスと高倉健のコンビは、優作ひとりに完全に負けている。
 公開年の89年、日本はバブル景気の爛熟期。東京中の地価を合わせればアメリカ全土が買えると言われ、三菱地所がロックフェラーセンターを、ソニーがコロンビア映画を買収してアメリカ人を震撼させていた。
義理も人情も知らない狂犬のような新興ヤクザ佐藤(松田優作)は、当時のアメリカ人の目に映った日本の姿かもしれない。でもそれにはさらに裏があって、古い任侠の親分、若山富三郎に、戦争に負けてアメリカが民主主義なんかを押しつけ、昔の日本の美風をぜんぶ壊したせいで、あんな狂犬のような男が生まれたんだとの意味のことを、言わせてもいる。意外にわかっているじゃないかと思ったものだ。

 すごく残念なのは、製鉄所で佐藤が自分の望みを語るシーン。自分のシマを持って自由にやりたい、だったか。
小さすぎるぜ、そんなことだったのかと、狂気のほとばしる演技とのあまりの乖離に脱力した。

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日本人が「エイリアン」だった頃

投稿日:2009/03/29 レビュアー:ムーン

この映画が作られた頃は、日本が経済的に世界を席巻しはじめ、アメリカだけでなくヨーロッパ等の先進国が日本叩きをし始めた頃です。

この映画の少し前にプラザ合意があって、あっけなく1ドルが160円くらいに跳ね上がり、日本の地価の方がアメリカ本土の地価よリも高くなったり、日本の企業がニューヨークのビルを買ったり、名画や芸術品を買いあさったり、20代のムーンですら海外旅行に出かけたバブルの上り坂でした。

向うにしてみれば、今まで敗戦国だとバカにして、ろくに知らなかった国が急激に力を付けてきた事に脅威を感じていたのでしょう。『ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんていう日本の研究書がベストセラーになって、日本人自身も何となく自身を持ちはじめた頃だったと思います。

向うにしてみれば、日本人こそがエイリアンのような存在に見えたのかもしれません。
ただストーリーの中では、やっぱりアメリカ映画らしくゴーイングマイウェイを通していて、そこを古い親分の若山富三郎さんに恨み言を言われたりしますが、説得力は乏しい。結局、日本に迷惑かけっぱなしでリトルハッピーエンディング。

日本じゃなくて中国だろうという突っ込みを入れたくなるところもありますが、総じて日本を理解しようという姿勢は伝わってきます。
最近は、外国映画がおかしな日本を描いてもあまり腹も立たなくなってきました。

対する、その頃のアメリカは、貿易赤字に苦しみ、ニューヨークの治安の悪さは世界的に有名で、マイケル・ダグラスさんの様な警官がいても不思議じゃなかった。
映画の中では、ニックさん(マイケル・ダグラスさん)は健さんにそこを諭され気持ちを入れ替える。あの夜明けの市場前でうどんをすするシーンは、この映画の中でも(日本人のムーンから見て)日本的で印象に残る場面です。

この映画を語る時、松田優作さんの命をかけた鬼気迫る演技には、絶賛とその早すぎる死を惜しむ声も多く、ムーンも同じ思いです。
出演者のインタビューの中で、マイケル・ダグラスさんが、アクション指導の方針で、殴り合うシーンでは寸止めでなく、防具を付けて本当に殴っていたと言っています。なんとも胸が痛むエピソードで、前半の食肉倉庫と、ラスト近くの山のシーンでの殴り合いは、今後見る時には辛く感じてしまうでしょう。

リドリー・スコット監督作品は、「ブレードランナー」もブルーレイになっていて、確かに画面は綺麗になっていますが、欲しいとまでは思えなかった。
この「ブラックレイン」は、以前に観たどのバージョンよりも格段にクリアーになっていて、素人のムーンでもはっきりとその差が解ります。大阪の空撮、道頓堀のネオン、デコトラの電飾、製鉄所の手すり、若きアンディ・ガルシアさんのスーツの生地まではっきり見えます。
撮影はヤン・デ・ボン監督だったのですね。ただリドリー・スコット監督はかなり細かく指示を出していたそうです。

そんなこんなで(意味不明)、つい衝動買いをしてしまいました。(ツタヤオンラインで売っていなかったので、アマゾンに注文。ツタヤさんしっかり商売しいや)

これから1年に1回くらいは松田優作さんの追悼の意味も込めて観るでしょう。

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11〜 15件 / 全82件

ブラック・レイン

ユーザーレビュー

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ユーザーレビュー:82件

ダメな映画に輝く狂犬

投稿日

2009/07/06

レビュアー

よふかし

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 何度か観ているのですが、この映画を思い出すと、つい松田優作のことばかりになってしまいます。彼がこの作品を経て、世界的な俳優になりかかった瞬間に亡くなってしまったということが頭にあるので、ついこちらも冷静さを失ってしまうのです。
 最初の殺しのシーンであるとか、随所で見せる凶暴な表情というのはとても松田優作らしく、素晴らしい瞬間があって、この映画の大きな魅力であると思います。しかし、では松田優作のベストかというと、もちろんそうとは言えません。仕方がないことですが、この映画の彼の役柄はチンピラな敵役に過ぎません。狂犬としての魅力にはあふれていても、本来彼がもっているユーモアや、アクション場面以外でも光るのびやかな身体が、ほとんど生かされていないと思います。逆に言えば、この詰まらない役をここまで魅力的にしたということがすごいということになるでしょうか。
 なぜか松田優作フィルムという印象になってしまうのですが、高倉健や若山富三郎や大阪の街がハリウッド的アクション・エンタテインメントの文脈に見事に取り込まれているという意味でも楽しめました。日本や日本人俳優がどういうふうに扱われているか、捉えられているかという興味は満たされます。
 しかし、冷静に映画として見ると、これは出来の良くない作品です。脚本が圧倒的に詰まらない。マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアの道行は観光旅行のようなもので、ほとんど捜査ができない上に自分から危機を招いてしまう。健さんに頼らずできたことといえば、いかにも場違いなホステス、ケイト・キャプショーに助けてもらうだけ。松田優作はのし上がろうとする新進気鋭のヤクザというには狂犬の度が過ぎるし、映画はヤクザ世界の深みを少しも感じさせない。アメリカが日本に黒い雨を降らして、文化を破壊した、だから優作みたいな仁義もヘチマもないのが現れたのだという若山の台詞も、そういうテーマ性を感じさせるつくりになっていないので、「うーん、なんだかなあ」としか思えません。
 製鉄所(?)前で猛スピードで行き交うダンプを生かしたアクションや、ラストの銃撃戦からバイク・チェイスへの展開など、楽しめる瞬間はなくもありません。しかし、リドリー・スコットってやはり瞬間の映像的な面白さ、センスには秀でていても、どこか生真面目さを残していて、作品を小さくまとめてしまう人ではないかと思いました。
「知り合いが出ているから」という感じで下駄を履かせてこその作品。40点。

星の数1未満

投稿日

2004/11/23

レビュアー

アルファ

よくもまあこんな下らない映画に高倉健を引っ張り出したものです。日本の街も日本人の思考の描き方も無茶苦茶。またそれが特に魅力的というわけでもなくもっぱらアメリカ人警察官に振り回されそれに翻弄されるがまま。無理やりレイチャールズを歌わされたり日本の習慣(?)だからと遺品をねだる演技をさせられる高倉健。果ては国籍不明な農村光景。これは日本を舞台にした映画なんかじゃなく、80年代後半の米国人の脳内にあった日本像を強引に筋書きに持ち込んだだけの傲慢な作品です。こんな映画を日本人自身が評価してどうしますか。日本人監督が米国をこんな風に戯画化して作品化したらかの国は大ブーイングだったでしょう。ふざけんな!くらいの気持ちで観ましょう。

アメリカ人が見た日本と日本人

投稿日

2017/05/02

レビュアー

カマンベール

リドリー・スコット監督が真面目に、日本人と日本文化に
取り組んでくれて、変な部分も少しあるけれど、概ね良く日本文化を
捉えていると思いました。

ハリウッドスターに一歩も引けを取らない松田優作の勇姿が眩しい。
高倉健も、寡黙で出過ぎない日本人の奥床さを、体現しています。

ハリウッドが映画化した作品というと、まず圧倒的人気で迎えられたのは、トム・クルーズと渡辺謙主演の、
「ラストサムライ」
ディスカスの評価は、3.65。レビュー数(706)2003年作品。

「SAYURI」ロブ・マーシャル監督作品。
ディスカスの評価は、3.11。レビュー数(382)2005年作品。
主役が中国人(チャン・ツィイー)とは情けない。

「ザ・ヤクザ」1974年と古い。シドニー・ポラック監督作品。
評価2.81と低いですが、高倉健とロバート・ミッチャム主演の、
大真面目のヤクザ映画です。面白いです。

「沈黙SILENCE」
マーティン・スコセッシ監督作品がDVD待機中。
これは非常に楽しみです。

どの作品も監督・製作人の日本への真摯な勉強による作品です。
日本文化へのリスペクトが嬉しい。
「ブラックレイン」は、高度成長期の日本の熱気が伝わる
記録的映画でもあります。
一見の価値有りです。

昨夜「ラストデイズ」を見て

投稿日

2010/12/23

レビュアー

港のマリー

 香川照之が松田優作の最後の一年を追ったドキュメンタリー「ラストデイズ」NHKを見た。当時23歳の香川は優作最後の仕事となったテレビドラマで共演し、「俺とおまえとはタイプが違うが、おまえは俺になれる」と、謎のようなことばをかけられたそうだ。
 その真意を求めて、優作の出自、在日コリアンの母、最後までわからない不在の父、遊郭の一角にある貧しい生家、に迫り、終生悩み続けたコンプレックスと孤独を明らかにしていくのだが、中心に置かれたのは、この「ブラックレイン」の撮影だった。狭い日本では息が詰まりかけていた優作が、「映画の父」ハリウッドのもとへ、文字通り命を賭けて飛び込んでいったのだと。ヘアメイクを担当した女性スタッフが、スターである俳優はそんなにいないもの、しかし彼はまぎれもなくスターだったと語るのが印象的だった。自身の、そしてこの世に生きる人々が皆深い部分で密かに抱いている、孤独とコンプレックスを、役を演じることへの狂気に似た執念に変えて、スクリーンに爆発させるスター性は東西共通なのだろう。西洋人の異国趣味や偉大な日本人監督の力によってではなく、自身の存在感と演技力で、映画の都のスターになれた優作は立派だ。命と引き替えだって、惜しくない、本望だったと思う。「父」に認めてもらえたのだから。

 アンディ・ガルシアがかわいそうになるシーンはロサンゼルスで撮られたとのことだが、大阪の街がブレードランナー化しているのは楽しい。この猥雑さと部屋に盆栽なんか飾っている高倉健のまじめさが、不調和な気してならないのだが。健さんを入れたことでテーマが散漫になったのは否めない。マイケル・ダグラスと高倉健のコンビは、優作ひとりに完全に負けている。
 公開年の89年、日本はバブル景気の爛熟期。東京中の地価を合わせればアメリカ全土が買えると言われ、三菱地所がロックフェラーセンターを、ソニーがコロンビア映画を買収してアメリカ人を震撼させていた。
義理も人情も知らない狂犬のような新興ヤクザ佐藤(松田優作)は、当時のアメリカ人の目に映った日本の姿かもしれない。でもそれにはさらに裏があって、古い任侠の親分、若山富三郎に、戦争に負けてアメリカが民主主義なんかを押しつけ、昔の日本の美風をぜんぶ壊したせいで、あんな狂犬のような男が生まれたんだとの意味のことを、言わせてもいる。意外にわかっているじゃないかと思ったものだ。

 すごく残念なのは、製鉄所で佐藤が自分の望みを語るシーン。自分のシマを持って自由にやりたい、だったか。
小さすぎるぜ、そんなことだったのかと、狂気のほとばしる演技とのあまりの乖離に脱力した。

日本人が「エイリアン」だった頃

投稿日

2009/03/29

レビュアー

ムーン

この映画が作られた頃は、日本が経済的に世界を席巻しはじめ、アメリカだけでなくヨーロッパ等の先進国が日本叩きをし始めた頃です。

この映画の少し前にプラザ合意があって、あっけなく1ドルが160円くらいに跳ね上がり、日本の地価の方がアメリカ本土の地価よリも高くなったり、日本の企業がニューヨークのビルを買ったり、名画や芸術品を買いあさったり、20代のムーンですら海外旅行に出かけたバブルの上り坂でした。

向うにしてみれば、今まで敗戦国だとバカにして、ろくに知らなかった国が急激に力を付けてきた事に脅威を感じていたのでしょう。『ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんていう日本の研究書がベストセラーになって、日本人自身も何となく自身を持ちはじめた頃だったと思います。

向うにしてみれば、日本人こそがエイリアンのような存在に見えたのかもしれません。
ただストーリーの中では、やっぱりアメリカ映画らしくゴーイングマイウェイを通していて、そこを古い親分の若山富三郎さんに恨み言を言われたりしますが、説得力は乏しい。結局、日本に迷惑かけっぱなしでリトルハッピーエンディング。

日本じゃなくて中国だろうという突っ込みを入れたくなるところもありますが、総じて日本を理解しようという姿勢は伝わってきます。
最近は、外国映画がおかしな日本を描いてもあまり腹も立たなくなってきました。

対する、その頃のアメリカは、貿易赤字に苦しみ、ニューヨークの治安の悪さは世界的に有名で、マイケル・ダグラスさんの様な警官がいても不思議じゃなかった。
映画の中では、ニックさん(マイケル・ダグラスさん)は健さんにそこを諭され気持ちを入れ替える。あの夜明けの市場前でうどんをすするシーンは、この映画の中でも(日本人のムーンから見て)日本的で印象に残る場面です。

この映画を語る時、松田優作さんの命をかけた鬼気迫る演技には、絶賛とその早すぎる死を惜しむ声も多く、ムーンも同じ思いです。
出演者のインタビューの中で、マイケル・ダグラスさんが、アクション指導の方針で、殴り合うシーンでは寸止めでなく、防具を付けて本当に殴っていたと言っています。なんとも胸が痛むエピソードで、前半の食肉倉庫と、ラスト近くの山のシーンでの殴り合いは、今後見る時には辛く感じてしまうでしょう。

リドリー・スコット監督作品は、「ブレードランナー」もブルーレイになっていて、確かに画面は綺麗になっていますが、欲しいとまでは思えなかった。
この「ブラックレイン」は、以前に観たどのバージョンよりも格段にクリアーになっていて、素人のムーンでもはっきりとその差が解ります。大阪の空撮、道頓堀のネオン、デコトラの電飾、製鉄所の手すり、若きアンディ・ガルシアさんのスーツの生地まではっきり見えます。
撮影はヤン・デ・ボン監督だったのですね。ただリドリー・スコット監督はかなり細かく指示を出していたそうです。

そんなこんなで(意味不明)、つい衝動買いをしてしまいました。(ツタヤオンラインで売っていなかったので、アマゾンに注文。ツタヤさんしっかり商売しいや)

これから1年に1回くらいは松田優作さんの追悼の意味も込めて観るでしょう。

11〜 15件 / 全82件