明日への遺言

明日への遺言の画像・ジャケット写真

明日への遺言 / 藤田まこと

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「明日への遺言」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

第二次大戦中、名古屋への無差別爆撃を実行したB29搭乗の米兵を略式裁判で処刑し、戦後その罪を問われB級戦犯として裁かれた東海軍司令官・岡田資中将が、部下を守り、自らの誇りを懸けて挑んだ法廷での闘いと、それを見守る家族との愛と絆を描くドラマ。原作は大岡昇平のノンフィクション『ながい旅』。監督は「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史。主演は藤田まこと、共演に富司純子。

「明日への遺言」 の作品情報

作品情報

製作年: 2007年
製作国: 日本

「明日への遺言」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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11〜 15件 / 全62件

美しい人☆☆☆ ネタバレ

投稿日:2010/02/22 レビュアー:カメラ湯ミカミラ

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戦犯として裁かれる司令官・岡田資中将。
自らの美学と信念を貫き、主張し、自らの命も省みずに部下を守る。

潔い人だと思うし、こんな上司に恵まれたらと思うし・・・
戦争責任だとか難しい話だと思うし・・・

ただ、少し美し過ぎて・・・。
なんだか、シベ超が頭をかすめた・・・。

とても思い入れのある人物を描くにあたり、生真面目過ぎるスタンスが、私には少々合わなかった。
とても素敵な方だとは思うが、映画として、もう少し俯瞰で撮れなかったものか・・・。


私は、こんな日本人を見たことがないけれど・・・
きっと、藤田まことさんは、美しい日本人の姿を心に持たれていたのだと思うし、映画の中で表現されていたと思います。

ご冥福をお祈り致します。

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戦争はいやですね・・・。

投稿日:2009/07/02 レビュアー:レイちゃん

地味な映画でしたが・・・。思ったより後味は悪くありません。
それは藤田まことの淡々として凛とした態度、生き方に感銘をうけたからでしょうか?民間人を空爆したアメリカ兵も自分の意思ではなくもちろん上官、アメリカ政府の政策だったのでしょう。それに従ったことで斬殺されたのは戦争中とはいえ理不尽とは思いますが・・・。その行為の責任を一人で受け絞殺刑にされましたが、ラストでお坊さんが最後ですね・・・って言ったら「なに。隣に行くみたいな気持ちですよ」って階段を上って行きましたが、そのことばがやることはやった満足だってことをあらわしていました。
人間が人間を裁くのは難しいですよね・・・。まして戦争で人と人が殺しあうなんて・・・。戦争はいやですね・・・。
世界のどこでも戦争のない世の中になって欲しいと痛感しました。

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悪い映画ではないが何の足しにもならん映画だ

投稿日:2009/05/03 レビュアー:bokensdorf

敗戦国日本とドイツの映画を観ると、どちらも愚かな指導者がいたが軍人として人間として立派な人はいたもんだなと思う。

自分にはとてもそんな風にはなれそうもない、と思うような立派な人でも、戦争に加担したという点では私はまったく尊敬できるものではない。この映画にしても「部下をかばってすべての責任を引き受けた将校」「捕虜の処刑を『報復』ではなく『国際法違反による処罰』だと主張し日本軍の行為の正当性を最期まで主張した将校」の美談として描かれているが、法廷でのやりとりは詭弁の応酬であって、自分たちの住む町を爆撃、家族や友人を殺した敵国の兵隊が空からパラシュートで降りてきたら報復するのが人間の当然の感情だ、と言う方が正直なのではないだろうか? だれが「国際法に照らして無差別爆撃した飛行機の乗員だから死刑に値する」と考えて殺すだろうか? 悔しくて憎くて殺すのではないのか? 日本に死刑制度を支持する世論が強いのは、日本人が因果応報を信じているからに違いないのではないか?

きれいごとだ、この映画は。

この映画の前に「スタンドアップ(2005)」というアメリカの裁判ものを観たばかりなのだが、喋るスピードと内容が好対照なのに気がつく。藤田まことのセリフは遅すぎて眠気を催すほどである。日本語って、喋るスピードが遅いんだな。あと、喋る内容。日本人て、質問に答えない人が多いが、この裁判での証言もその例だ。論理的でなく、きわめて情緒的。孫の姿が映され、バイオリンの音楽が流れる。演出も情緒的だ。良い悪いじゃないんだよ、いつも言うけど。裁判という制度も日本には合っていないな、と再び思う訳である。日本人が好きなのは「大岡裁き」である。

主人公は立派だけれど、その美談に隠れて本物の悪をいっさいあぶりだしていない、あぶり出そうともしていない映画だ。日本人にはそういう映画【悪い日本人を描く映画】が作れないのである。若い人たちはこういう映画に触れて、物事の本質を見極める機会を失っている。この映画は悪い映画ではないが何の足しにもならん映画だ。


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アホくさい現代日本社会を考えさせられた。

投稿日:2008/12/07 レビュアー:靖王

ひとつの戦犯を裁く裁判のお話です。

藤田まことは,もう岡田中将になりきっています。
もはやドキュメンタリーではないかと思うほどです。
部下の行った行為が,すべては司令官である自分の責任として罪をかぶろうとする中将の態度は,堂々たるもので神々しく光り輝いています。まさしくこれこそ本作のみどころです。

日本男児ならば誰でも理想として一度はあこがれて目指そうとしたであろうその人間像が描かれています。
現在の私は朽ちてしまい,自分のために何よりも家族のために,岡田中将のような自己犠牲をとるということは決してないと思います。それは,もはや自己犠牲をとる価値がこの世に見出せないからです。誰もが自分のことしか考えていない人・部下のために自分の身を投げ出すなど,アホらしいと考えてしまうのです。
「明日」すなわち,次世代を担う人たちのために何かを残そうとはとうてい思うことはできません。こんなように,私を朽ち果てさせたのは他でもない日本です。日本の行政が私を失望させました。一度社会を崩壊させて,日本という国のアイデンティティを建て直した方がいいとさえ思っています。

話はよくわからない方向になってしまいましたが,とにかくジャケットのまんまの内容の作品です。
古き良き日本の文化を堪能して下さい。

むしろ,私は岡田中将を攻めた検事がとてもすばらしかったと感じました。自分の果たす役割を演じつつも,被告である中将に魅せられたその人格はとても正直であり,彼の放つ演技はとても微妙で人間臭さを感じさせました。

コンセプトは単純ながら,いろいろな解釈が可能であり,観る人によっていろいろな感じ方ができる作品だと思います。教育的でもあり,特に,「明日」の進路・人間像を模索している青年期の人たちには是非ご覧になっていただきたい作品だと思います。

サービスシーンも暴力シーンもありません。渋いのでお子様にはあまりおすすめしません。

私的評価:★★★★☆(4点)

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船頭が多すぎたのか ネタバレ

投稿日:2008/07/15 レビュアー:べっち

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(試写での感想を転記。知っていても鑑賞の妨げにはならないとは思うが、若干のネタバレあり)

  ピカソのゲルニカで幕を開ける。
  「映画」は始まらない、戦闘と無差別爆撃という犯罪との違いを解説。
  そのこと自体は必ずしも苦痛にはならなかっただろうと思う。だがナレーションに竹野内豊を起用したことがすべてをぶち壊しにした。
  竹野内豊はきらいではない。役柄にもよるが好感を持つほうかもしれない。
  だがあのようなナレーションをやるだけの能力は無い。これは彼の問題というよりも、そんな無理をさせた製作サイドの問題であろう。

  このオープニングは実に重要だ。
  本編に入る前にナレーションと実写とで背景説明を行なう、これ自体は珍しくもなんともないのだが、おそらくは十分以上に及ぶその長さ。オープニングで語られるその内容もさることながら、この長さがすでにメッセージを有している。
  そのメッセージを伝えられるナレーションであれば、だが。
  べつに名優を起用せよとは言わない。いや、かえってごく普通のアナウンサーのほうが「声の匿名性」があってよいだろう。とにかくあの長さを、その内容に集中できるよう朗読してくれればよい。


  映画の舞台はそのほとんどが法廷であり、ごくわずかに獄中での主人公岡田中将の生活が描かれる。カメラは常に人物から距離を置き、決してその表情を大きく映し出すようなことはしない。

(以下わずかばかりネタバレを含む)

  だが時折、なにを血迷ったのか「浪花節」のようなシーンが挿入されてしまうのだ。

  最悪であったのが囚人たちの入浴シーン。ひとりが歌い始めた「ふるさと」を、やがてみなが口ずさみ合唱となる・・・・ まさかそんな陳腐な展開にはなるまいと思い続けて観ているだけに、それが現実となるのは悪夢。
  悪いことにカメラはやはり人物に寄ることはしないので、感情移入の余地もなければ、かといって完全に醒めた客観的な出来事として捉えているわけでもない、なんとも中途半端な気持ちで眺めているという居心地の悪さ。
  いや、その居心地の悪さが狙いであればよいのだが、どうやら描かれているのは人物の心情らしいので困ってしまう。

  そう、法廷劇としては緊迫感があり投げかけられる疑問はしっかりと受け止めねばと思うのだが、時折挟み込まれるこうした心象風景がまるでちぐはぐで、映画の流れを乱し観る者の思考を分断し、何を訴えようとしているのかがわからなくなってしまう。
  それが作り手の悩みを反映したものならば良かろう。だがどうもそうでは無いように思う。

  ナレーションへの竹野内豊の起用、そもそもこれがこの映画全体を象徴しているように感じてしまう。
  監督の制御下にはない力が働いていたのではないか。
  とってつけたような「浪花節」シーンを入れなければならない、そうでなければ納得しないような外力が存在したのではないか。

  もちろんアチキの憶測、妄想の域を出ないが、しかしそうとでも思わない限りこの空中分解したような映画を理解することは出来ない。

  伝えるべき内容よりも、その手段たる作品が悲劇となってしまったようだ。

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明日への遺言

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美しい人☆☆☆

投稿日

2010/02/22

レビュアー

カメラ湯ミカミラ

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戦犯として裁かれる司令官・岡田資中将。
自らの美学と信念を貫き、主張し、自らの命も省みずに部下を守る。

潔い人だと思うし、こんな上司に恵まれたらと思うし・・・
戦争責任だとか難しい話だと思うし・・・

ただ、少し美し過ぎて・・・。
なんだか、シベ超が頭をかすめた・・・。

とても思い入れのある人物を描くにあたり、生真面目過ぎるスタンスが、私には少々合わなかった。
とても素敵な方だとは思うが、映画として、もう少し俯瞰で撮れなかったものか・・・。


私は、こんな日本人を見たことがないけれど・・・
きっと、藤田まことさんは、美しい日本人の姿を心に持たれていたのだと思うし、映画の中で表現されていたと思います。

ご冥福をお祈り致します。

戦争はいやですね・・・。

投稿日

2009/07/02

レビュアー

レイちゃん

地味な映画でしたが・・・。思ったより後味は悪くありません。
それは藤田まことの淡々として凛とした態度、生き方に感銘をうけたからでしょうか?民間人を空爆したアメリカ兵も自分の意思ではなくもちろん上官、アメリカ政府の政策だったのでしょう。それに従ったことで斬殺されたのは戦争中とはいえ理不尽とは思いますが・・・。その行為の責任を一人で受け絞殺刑にされましたが、ラストでお坊さんが最後ですね・・・って言ったら「なに。隣に行くみたいな気持ちですよ」って階段を上って行きましたが、そのことばがやることはやった満足だってことをあらわしていました。
人間が人間を裁くのは難しいですよね・・・。まして戦争で人と人が殺しあうなんて・・・。戦争はいやですね・・・。
世界のどこでも戦争のない世の中になって欲しいと痛感しました。

悪い映画ではないが何の足しにもならん映画だ

投稿日

2009/05/03

レビュアー

bokensdorf

敗戦国日本とドイツの映画を観ると、どちらも愚かな指導者がいたが軍人として人間として立派な人はいたもんだなと思う。

自分にはとてもそんな風にはなれそうもない、と思うような立派な人でも、戦争に加担したという点では私はまったく尊敬できるものではない。この映画にしても「部下をかばってすべての責任を引き受けた将校」「捕虜の処刑を『報復』ではなく『国際法違反による処罰』だと主張し日本軍の行為の正当性を最期まで主張した将校」の美談として描かれているが、法廷でのやりとりは詭弁の応酬であって、自分たちの住む町を爆撃、家族や友人を殺した敵国の兵隊が空からパラシュートで降りてきたら報復するのが人間の当然の感情だ、と言う方が正直なのではないだろうか? だれが「国際法に照らして無差別爆撃した飛行機の乗員だから死刑に値する」と考えて殺すだろうか? 悔しくて憎くて殺すのではないのか? 日本に死刑制度を支持する世論が強いのは、日本人が因果応報を信じているからに違いないのではないか?

きれいごとだ、この映画は。

この映画の前に「スタンドアップ(2005)」というアメリカの裁判ものを観たばかりなのだが、喋るスピードと内容が好対照なのに気がつく。藤田まことのセリフは遅すぎて眠気を催すほどである。日本語って、喋るスピードが遅いんだな。あと、喋る内容。日本人て、質問に答えない人が多いが、この裁判での証言もその例だ。論理的でなく、きわめて情緒的。孫の姿が映され、バイオリンの音楽が流れる。演出も情緒的だ。良い悪いじゃないんだよ、いつも言うけど。裁判という制度も日本には合っていないな、と再び思う訳である。日本人が好きなのは「大岡裁き」である。

主人公は立派だけれど、その美談に隠れて本物の悪をいっさいあぶりだしていない、あぶり出そうともしていない映画だ。日本人にはそういう映画【悪い日本人を描く映画】が作れないのである。若い人たちはこういう映画に触れて、物事の本質を見極める機会を失っている。この映画は悪い映画ではないが何の足しにもならん映画だ。


アホくさい現代日本社会を考えさせられた。

投稿日

2008/12/07

レビュアー

靖王

ひとつの戦犯を裁く裁判のお話です。

藤田まことは,もう岡田中将になりきっています。
もはやドキュメンタリーではないかと思うほどです。
部下の行った行為が,すべては司令官である自分の責任として罪をかぶろうとする中将の態度は,堂々たるもので神々しく光り輝いています。まさしくこれこそ本作のみどころです。

日本男児ならば誰でも理想として一度はあこがれて目指そうとしたであろうその人間像が描かれています。
現在の私は朽ちてしまい,自分のために何よりも家族のために,岡田中将のような自己犠牲をとるということは決してないと思います。それは,もはや自己犠牲をとる価値がこの世に見出せないからです。誰もが自分のことしか考えていない人・部下のために自分の身を投げ出すなど,アホらしいと考えてしまうのです。
「明日」すなわち,次世代を担う人たちのために何かを残そうとはとうてい思うことはできません。こんなように,私を朽ち果てさせたのは他でもない日本です。日本の行政が私を失望させました。一度社会を崩壊させて,日本という国のアイデンティティを建て直した方がいいとさえ思っています。

話はよくわからない方向になってしまいましたが,とにかくジャケットのまんまの内容の作品です。
古き良き日本の文化を堪能して下さい。

むしろ,私は岡田中将を攻めた検事がとてもすばらしかったと感じました。自分の果たす役割を演じつつも,被告である中将に魅せられたその人格はとても正直であり,彼の放つ演技はとても微妙で人間臭さを感じさせました。

コンセプトは単純ながら,いろいろな解釈が可能であり,観る人によっていろいろな感じ方ができる作品だと思います。教育的でもあり,特に,「明日」の進路・人間像を模索している青年期の人たちには是非ご覧になっていただきたい作品だと思います。

サービスシーンも暴力シーンもありません。渋いのでお子様にはあまりおすすめしません。

私的評価:★★★★☆(4点)

船頭が多すぎたのか

投稿日

2008/07/15

レビュアー

べっち

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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(試写での感想を転記。知っていても鑑賞の妨げにはならないとは思うが、若干のネタバレあり)

  ピカソのゲルニカで幕を開ける。
  「映画」は始まらない、戦闘と無差別爆撃という犯罪との違いを解説。
  そのこと自体は必ずしも苦痛にはならなかっただろうと思う。だがナレーションに竹野内豊を起用したことがすべてをぶち壊しにした。
  竹野内豊はきらいではない。役柄にもよるが好感を持つほうかもしれない。
  だがあのようなナレーションをやるだけの能力は無い。これは彼の問題というよりも、そんな無理をさせた製作サイドの問題であろう。

  このオープニングは実に重要だ。
  本編に入る前にナレーションと実写とで背景説明を行なう、これ自体は珍しくもなんともないのだが、おそらくは十分以上に及ぶその長さ。オープニングで語られるその内容もさることながら、この長さがすでにメッセージを有している。
  そのメッセージを伝えられるナレーションであれば、だが。
  べつに名優を起用せよとは言わない。いや、かえってごく普通のアナウンサーのほうが「声の匿名性」があってよいだろう。とにかくあの長さを、その内容に集中できるよう朗読してくれればよい。


  映画の舞台はそのほとんどが法廷であり、ごくわずかに獄中での主人公岡田中将の生活が描かれる。カメラは常に人物から距離を置き、決してその表情を大きく映し出すようなことはしない。

(以下わずかばかりネタバレを含む)

  だが時折、なにを血迷ったのか「浪花節」のようなシーンが挿入されてしまうのだ。

  最悪であったのが囚人たちの入浴シーン。ひとりが歌い始めた「ふるさと」を、やがてみなが口ずさみ合唱となる・・・・ まさかそんな陳腐な展開にはなるまいと思い続けて観ているだけに、それが現実となるのは悪夢。
  悪いことにカメラはやはり人物に寄ることはしないので、感情移入の余地もなければ、かといって完全に醒めた客観的な出来事として捉えているわけでもない、なんとも中途半端な気持ちで眺めているという居心地の悪さ。
  いや、その居心地の悪さが狙いであればよいのだが、どうやら描かれているのは人物の心情らしいので困ってしまう。

  そう、法廷劇としては緊迫感があり投げかけられる疑問はしっかりと受け止めねばと思うのだが、時折挟み込まれるこうした心象風景がまるでちぐはぐで、映画の流れを乱し観る者の思考を分断し、何を訴えようとしているのかがわからなくなってしまう。
  それが作り手の悩みを反映したものならば良かろう。だがどうもそうでは無いように思う。

  ナレーションへの竹野内豊の起用、そもそもこれがこの映画全体を象徴しているように感じてしまう。
  監督の制御下にはない力が働いていたのではないか。
  とってつけたような「浪花節」シーンを入れなければならない、そうでなければ納得しないような外力が存在したのではないか。

  もちろんアチキの憶測、妄想の域を出ないが、しかしそうとでも思わない限りこの空中分解したような映画を理解することは出来ない。

  伝えるべき内容よりも、その手段たる作品が悲劇となってしまったようだ。

11〜 15件 / 全62件