ステイ

　若い男が交通事故の現場からふらふらと立ち上がって歩き始める巻頭のシーンから、次はいきなり時空をシームレスに超えて別の場面に。

　ストーリーは脈絡がない。一つのシーンから次のシーンへはそのままつながり、サムが道を歩く次の一歩を踏み出したときには別の時空が広がっている。目くらましのような編集にはゾクゾクする。ああこれはひょっとして誰かの夢なのだろうか。だとしたら誰の夢？　サムか、ヘンリーか、それともライラか？！　何が現実で何が妄想なのか、心を病んでいるのはいったい誰なのか。誰が嘘を言っているのか…？

　ストーリーの不思議な展開といい、ナオミ・ワッツ（この人が出てくると安心して見ていられます）が出演している点といい、「マルホランド・ドライブ」を思い浮かべる。

　映像のマジックというか編集の技というべきか、そういう面白さはふんだんに味わえたが、さりとて「だから何？」という思いは否めない。やはり「マルホランド・ドライブ」みたいな、映像マジックや心理サスペンスだけではなく、そこに何か人生への哀感が漂っていないと心に残るものがない。確かにラストシーンにはそういう意図も見えたが、いまいち響いてこない。どうしても「マルホランド・ドライブ」と比べてしまうからだろう。

　かといって悪い出来ではありません、充分、映像感覚の面白さは楽しめるので、お気楽にどうぞ。ホラーとかスリラーっていうほど怖くもないし、適度に楽しめてゾクゾクできる、なかなかよくできた娯楽作です。

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この作品より新しい『パッセンジャーズ』を先に観ているせいか、ラストの「衝撃」が・・・微妙。

冒頭、自動車事故のシーンから物語がスタート。
そして、ラストまではひたすら非現実世界の話。
最後、自動車事故現場での状況。

『パッセンジャーズ』では登場人物すべて「事故●」した人々に対し、この作品では「事故現場」に居合わせた人々。

主観が何故か「救助」する側。だから非現実世界の話にまとまりがないように思えた。

どちらの作品を先に観るかで、感想も変わってくると思いますが・・・。

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そのリアルを疑え
現実が消えていく世界で
僕らはどんな愛を知るのか？

この映画の謎は頭で考えても決して解けない

あなたの感覚を試す、感動のイリュージョン・スリラー

これが本作のキャッチコピーです。
この言葉の中に凝縮されたような作品です。
なんの予備知識もないまま鑑賞。
始まってしばらくは最近観た難解な作品「脳内監禁」と同じようなものかと思いました。そうなるとまた、あれ系？
と少しがっかり。
ところが大違い！冒頭とラスト以外は難解で？な部分がありましたが、ラストで納得。腑に落ちない謎がおもしろいように解けていきます。
もちろん私にすべての謎が解けたわけではありません。
主人公のひとり、ヘンリーの心のなせる技、深い後悔と深い愛が醸し出す世界。
それを知ったとき、あたたかくそして切ない気持になりました。

何人か前のレビュー、ｍａｚｚｅｔｔｉさんが面白い扉の入り口を書かれています。本作鑑賞後皆さんのレビューを拝見してからこの扉を開けました。おかげさまで謎解きが自分がわかった時よりはっきりしました。
あれっ？と思っていたシーンが謎のひとつだったとは。
まだまだわたしっていけるかも、なんて嬉しくなっちゃいました。

さてあなたはいくつの謎を発見できましたか。
私は残念ながら３ヵ所だけ。
答えは別ですよ。あれっ？な部分ですから。

観終わってほっとする映画。心の残る作品です。
人はその瞬間走馬灯のように自分の人生を観る、といいます。
その瞬間が辛いのか幸せなのかは培った人生で決まると聞きます。
願わくば幸せなものでありたいと思います。
そのためにも今日から悔い改めなければ。

って遅いわな、はっきし言って(；一_一)

奥さん！お勧めですよヽ(^o^)丿

一度観ただけでは理解出来なかった。

でも、不快では無い。理解出来なかったのに…何故か心が暖かくなった。

不思議と吸い込まれるストーリー。

理解したい、又観たい。

理解出来ないかもしれない。それでも良い。それで良いのかもしれない。

又観たい。そして何度も観たくなる作品だと思う。

映像、ストーリー、とても技術点、美術点の高い作品だと感じた。

素敵です。

出演者の方も魅力的です。とても役に合った配役。

この作品の世界観、とても好きです。

良作だと思います。お勧め致します。

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　　精神科医とのセッションで幕を開けるのだけれど、そこの描写がイマイチ。ああいう無神経な応対はしないだろ、ってか現場のことをちゃんと調べないで作っちゃったんだろうなって。
　　ま、そこを乗り切れば・・・・

　　映像表現は面白い。モーフィングなのかな、とにかくデジタル処理はしてるだろうけど「こんな技術使ってまっせ」といううるささはない、シームレスにどんどん場面が切り替わっていく。
　　ただあんだけ多用されるとちょっと疲れるんだけど・・・・

（だんだんネタバレ、かなりネタバレ？）

　　映像、あるいはお話自体も結構見るものを不安定にさせるんだけど、でも悪人が出てこないのがいいね。
　　それも予定調和ってんじゃない、ごく普通の人たちってレベルなんだよな、いい意味で。
　　ウェイトレス探しに付き合わされるタクシーの運ちゃん、数十メートル走っちゃ止まるってうんざりするようなお客が相手なんだけどね。しょうがねぇや、って、「アタシじゃなかったら雨ンなか放り出してますよ、ダンナ」って心中思ってるだろうなって・・・・

（以降、オチにも触れます）

　　映画は中盤以降急に「速く」なる。展開が、というよりも、なにか加速度を感じる。タイムリミットが近づいているから？　焦り？　なら誰の？

　　時間の巻き戻しを思わせる描写。それにしてもこれは誰の視点なのだろう。

　　父親？　そうなの？違うの？　そして・・・奇跡？　それってあり？

　　・・・・ここまで観てくればラストもある程度は予測できる。それでもタイトルがそういう意味だったとは。
　　そして実のところ、冒頭の精神科セッションが「いい加減」であったことも腑に落ちる。あの受付で「薬と酒が・・・」と言っていたのが誰かは途中でわかるのだけれど、なんで？という疑問はここで解けた。
　　あのうるさいくらい切り替わるシーン、実際見ていて疲れたけれど「その主体」も疲れきっていたんだな。
　　善き人ばかりが出てくる「この世界」、そして「奇跡」いや「奇蹟」・・・・


　　美しい映画だと思う。物語として、映像として・・・・　そして「環」が実に美しく閉じていくラストが。

　　まだ一度しか観ていないし、実のところ皆さんのレビューもほとんど読んでいない。これから買いに行くから。
　　手許においてじっくり味わう価値があるから、何度も読み返したい本のように。