ヒストリー・オブ・バイオレンス

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９６分と短い。わりにこじんまりしてしまいかねない時間だが、どろどろさせず、そぎ落とされた中に、印象に残るシーンの幾つかはしっかり残り不足感はない。

妻とのＳＥＸシーン初め、息子のチンピラ同級生との関係や、周囲の人間とのやりとり。そしてラストの妻の瞳。以前は恋に火のついた瞳だったが今は、、、と言う風にとても対比的に２度目の事件の前後、いわゆる知らなかった夫の過去が暴かれる前と後で、効果的に同じ条件の場面が挿入される。
主人公トムが避けていた暴力再び遭遇する原因の悪党二人組みの登場は主要キャストでないのにオープニングにもったいぶったほど時間をとり出会わせる。

トムの過去姓であるジョーイも含めて悪党たちもそれぞれ異なったタイプの悪性を見せている。主人公のトムことジョーイはアクションスターなみの銃裁き華麗な格闘にクールな表情。
危ない切れ加減のエドハリス少々単純。兄であるウィリアムハートは計算高く狡猾、そして破滅的な二人組みの強盗殺人者、彼らは少々滑稽とも見える劇画的なキャラとなっている。弱いしね。そこがちょっと違和感を感じた。

本人の垣間見える過去の顔や、家族の戸惑いと恐れ。その恐れは外部の暴力だけではなく自分の内なる暴力への恐れと抵抗でもある。

過去への贖罪や、人間がまるで別人のように生きられるのかとか、とか、信じていたはずの家族への感情はこんなにももろいのかと、色んな考えは観た後でそれぞれが勝手に考えてくれと言わんばかり。徹底して押し付けのくどくどしさを排除している。くどくど言いたがりの私にとっても新鮮で面白かった。ヴィゴなので前見たインディアンランナーのような鬱陶しい感じかと敬遠していたのだが全然違いました。

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バイオレンス苦手な私でもこれは良かったと間違いなく言える。

素晴らしい数々のレビューの後には何も書けません。

ラストの突き放し方が小気味よい

プツンと切れて、暫しの静寂
「これで終わってくれ〜」と願ったところで

エンドロール

そして感動の余韻にひたる

あぁ〜気持ちよかった！

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ほかのきちんと作品を評価なさっているレヴューアーさんに反して、私はこれに関して、全くのミーハーです。ごめんなさい。

待ちに待った本当に久しぶりのヴィゴの映画。
いや、ヴィゴ様とでも言いましょうか。私の中ではこの数年は、完全にまいっちゃってるお方です。

だから、もうヴィゴさえ出てればいい！みたいなとんでもない私ですが、久しぶりに本当にヴィゴの魅力を堪能できました。ああ、しあわせ・・・・

浸ってないで、少しは内容のこと書かなきゃね・・・

ＤＩＳＣＡＳのイントロダクションですでに、彼の過去を知るギャングの・・・なんてネタ晴らしされてるし、サスペンス的な部分は、狙ってたとしても、あまりないですね。
やはり、見所は、辺凡な生活を送ってるように見えたトムが、実はもの凄い凄腕のマフィアの親分の弟だったという、そのギャップですかね。トムからジョーイへと変わるヴィゴが凄いです。


暴力シーンをがかなりリアルにグロテスクに描かれていて、ものすごいのですが、ヴィゴが出てるせいばかりではなく、そんなに気になりません。

暴力シーンをリアルに描くことで、反暴力を訴えたいということらしいのですが、逆にすかっとしてしまう自分が怖い・・・

私は、すぐにDVDを買ってしまったので、レンタルについてるかどうかわからないのですが、特典にをみると、やはり愛される人柄のヴィゴ様なんですね〜。にやにや。あ〜、まじめなレヴューアー様たちごめんなさい！ばかで！

クローネンバーグはどの作品も面白いですが、これは「スパイダー」と並んで傑作中の傑作であると思います。いつものクローネンバーグの全編変態の世界とは違い、日常を描くことで暴力の怖さや快感をくっきりと浮かび上がらせて、もの凄く面白いです。冒頭からラストまで、異様な緊張感に満ちております。もう最後の方なんて、主人公は「暴力をふるう人」ではなく、暴力そのもの、暴力に操られるみたいになって、これは９・１１以降の米国の姿とも重なってきます。現在の米国の狂気をクローネンバーグ風に、実に見事に描いていると思います。というより、米国という社会の本質まで描いていると思いますね。マリア・ベロがコスプレでセックスする場面も見所。日常ってこんなみっともないものだよな、と妙に納得させられました。また、エド・ハリスがホントに怖いです。もうそれだけでゾクゾクしてきます。「シェーン」のレビューでも書いたのですが、一見ホームドラマ風の展開に突然不条理なまでの暴力が飛び込んでくるところが、この映画と似ております。スプラッタな描写はありますが、とにかく面白いので是非見て下さい。


　それからまた、映画と関係ないことなんですけど、オタエドン、というと名前を呼び捨てしているみたいで落ち着きませんが、たぶんお名前自体がタエ（妙？）に「オ」と「殿」を付けた「お妙殿」の音便だと思われるので、「オタエドンさん」ではまたおかしい。しかし、音便のままだと侍が侍女を呼んでいるような心持ちもして、結局、「おタエさん」と呼ぶのが一番よいのでしょうか。ＤＶＤ−Ｒにビデオを落としたとはいえ、ビデオ自体はほとんど捨ててなかったので助かりました。女子プロ横浜アリーナの北斗ＶＳ神取を捨ててしまったのは残念でしたが。それに、５０枚ほど焼いたところであんまりエラーが出るので、後の５０枚は捨てたのでした。また、「黒い絨毯」（←漢字が違うけど変換できません）ですが、イントロダクション自体が「巨象の道」と同じに変わってしまってますね。ホント不思議です。

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堅気になった元ヤクザが組織に狙われ、
愛する妻子を守るために再び銃を手に取る、
といったよくあるプロットなのに、
話の練りこみ方が非常に巧みで脱帽しました。
男の正体は何だ、ギャングとはどういう関係なのか、
と考える余裕を与えず、
ひたすら剣呑な雰囲気に陰惨な暴力描写が織り込まれます。

面白いのは、この手の映画には必ず
「復讐は意味がない」とか「暴力はダメ、ゼッタイ」
といった凡俗なメッセージが込められるはずなのに、
そういったものを全部すっ飛ばし、
逆に暴力によって変革を余儀なくされる
世界に重点を当てていることです。
マンネリ気味だった妻との危険なセックス、
腑抜けだった長男が暴力とそれに伴う責任を認識するくだり、
正義の象徴である保安官が、
無力な標識でしかなかったという事実、
などは暴力=悪という陳腐な定式を超えて印象的です。

そして、「普通の」生活から外れ、
野蛮の世界を知ってしまった家族の複雑さは
カタルシス皆無のラストに象徴されていると思います。