ヒトラー　最期の１２日間

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今までは、連合国側からの視点で描かれた映画しか見てなかったように思います。
これは、ドイツの側から見た映画です。
最後の最後、もう負けとわかっている中での、最後の悲惨な状況が描かれています。
首相の奥さんが、子供に一人ずつ薬を飲ませていく場面では、胸が詰まりました。見終わった後にもどうしようもなく涙が出ました。
言えるのは、戦争が仕掛けた側にも悲惨な状況を作るだけのものだということ。誰もが不幸になる。こんな時代を絶対に繰り返してはならないということです。

ヒトラーが敗戦色濃くなったドイツ国民を見捨て、自らの命を絶ったのは、自分が戦争犯罪人として裁かれたくなかっただけ。
そして彼を総裁と崇め、ナチズムが世界のすべてだと教えられた若者たちは、ナチズム無しでは生きられないと死を選ぶ。
生きて恥をさらすな。。と教えられて自決していった日本の兵隊たちに通じるものがある。
最後のヒトラーは容姿こそボロボロで手は振るえるが、興奮するとその狂気が覗かれた。
ヒトラーは言う。
「ドイツ国民などどうでも良い、所詮市民は我々の盾だ。戦って死ぬのなら本望だろう。街が爆撃でめちゃめちゃになれば、壊す手間が省けたということだ。復興も早いだろう。」
めちゃくちゃな理論に腹がたつ。
そしてナチズム崩壊に絶望的になった大臣夫妻は、何も知らずにはしゃぐ子供らに睡眠薬を飲ませ、毒殺していく。
我が幼子たちを手にかけ自らも死を選ぶ彼ら。
あのシーンは辛い。　
どんな酷い戦争シーンよりも辛いものがある。

この映画では、ヒトラーの最後に焦点をあててはいるが、登場人物があまりにも多く、名前も覚えにくいので、人間関係を把握するのは容易ではない。

よってあえて人間関係は深く考えずに見ることをお勧めします。
時折みせるヒトラーの優しい表情に惑わされてはいけませんぞ！
やはり彼には５０００万人のドイツ国民と６００万人のユダヤ人を殺した罪をきちんと償って欲しかった。。。といまさらながらに思う。

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「僕のピアノコンチェルト」の、ブルーノ・ガンツの名演で思いだされた本作。（こちらでは怪演でしたが）

独裁者ヒトラー、その人の最後の１２日間を見つめた女性秘書の回顧録を映画としたもので、ここに表されるものは、おそらくその全てが真実であり、まずこのことに愕然とします。
第１次大戦の敗戦国であり多額の負債を抱え喘ぐドイツ国家、及びその人民は、この小さな芸術家気取りのオーストリア人伍長の出現に狂喜します。彼は貧困に喘ぐ民衆に、豊かな暮らしを与えると約束するとともに、敗戦で失くしたプライドに訴え掛けることにより、心身共への誘惑を民衆へと行い彼等の気持ちを奪い取るのです。彼の尊大な夢想に心を奪われた民衆は、盲目的に彼の行いを肯定して付き従い、死と暴力を撒き散らしやがて己の破滅を導いてしまうのです。
その破滅を強いたのは彼で、反抗できない環境にもあったのも確かなのですが、彼に従った民衆の多くは自らがその破滅を享受するのです。これは繰り返しヒステリックに叫ぶ彼の演説による洗脳効果もあるのですが、民衆が発する小さな叫びが集約された、時代の轟きともいうものに自発的に従ったとも思えます。
時代というものはその時生きた人々の意思の表れであり、必ず人が持つ意思の闇が表出したもので、それを惹き出したのが彼であり、民衆は踊らされてはいたが、心のどこかに必ず一緒に踊りたいという意思はあったと思うのです。それが本作の主人公の『知らないでは済まされない』というセリフにつながると考えるのです。

亡者達の宴の場といえる地下壕から地上に出るユンゲは、自国を占領するソ連兵という、目の前に実在する暴力の現実に目を覚まされるのではないでしょうか。その心の移ろいが詩的なシーンで紡がれてラストを迎えます。

本来であれば再見してからのレビューが望ましいのですが、本作の衝撃は凄まじく、今はまだ早いと、二の足を踏ませる真実のみが訴える力に溢れた作品なので、未鑑賞の方には是非どうぞとお勧めします。

最高の映画ですね！
俺はヒトラーを今でも崇拝しています！
日本にもナチス崇拝者はたくさんいると思います！

　今では、ヒトラーなんて口にするだけでも恐ろしい。
　でも当時、そんな簡単な善悪の判断も出来なくなるほど、ヒトラーの思想に陶酔してしまった人々がいたということも事実。
　そしてヒトラーは魔術師だったわけでも、金の力で人々を動かしたわけでもない。少なくとも当時の人々を惹きつけるだけの魅力があったはずなのです。
　だからこそ怖い。それってこれからも起こりえることだから。怖いのは１人の人物なのではなくて、ある１つの価値に人々が集中し、熱狂することのパワーだと感じました。それって諸刃の剣なんですね。

　あともう一つ感じたのは、やっぱりどんなに尊敬する人でも、自分の運命や決断をすべて委ねてしまってはいけないということ。人に依存しきるのは危険です。どんなに面倒見のよい人だって、結局、最後は自分のことを最優先に考えるんですから。

　一見、あまりに次元の違う理解しがたい話のようでいて、実は割と私たちの日常にも通じる人間の心理と行動が読み取れて、とても興味深い作品だと思いました。