アバウト★シュミット

よれよれのニコルソンがみれる貴重な1本。
いつも相当SEXYなんだけど、こんなジャックみたことない！！
奥さん役の女優さんがでてきたときに、え？お母さん？とか思ったのは私だけ？
ジャックも、もうこういう人が奥さんになるような年になったのか！とか思ったが、
私生活はまだまだ華やかだよね。

それにしても、定年退職して、これから夫婦の時間というときに、妻に先立たれる。
現状には満足していなかったが、失ってみると初めて大切なものがあったことに
気がつく。
私も最近母をなくしているので、この親子の関係は人事じゃない。
父はしっかりしているが、一人だったらシュミットみたいになっているに違いない。
と感慨深い。
キャシー・ベイツのヌードがみられますが、あれって本物？？
豪快です。
そして、ハンサム俳優、Dermot Mulroneyが特殊メークで、薄毛になっていて驚き。
こんな役を彼がするなんて！！

ジャックは天才的ですよ。
そしてラストは感動。フォスターペアレンツ、もう少し自分に余裕ができたら私もなりたいくらい。
よかった。

特典映像の　オープニングバリエーションも楽しめました。

汗水垂らして、仕事に追われて、実績挙げて、給料稼いで、家計に寄与して…
家庭の中での義務を果たしてる、社会の発展の為に尽くしてると、男って勘違いするんですよねぇ、私も含めて（苦笑）。

まるで、落ち武者のように疲れたシュミットを名優ジャック・ニコルソンが怪演！！
感情が抜け落ちたかのような、涙を見せられない、怒りを表せない、行動自体が大きな勘違いのＫＹ爺さんです。
ドでかいキャンピングカーで道行く出会う人達にも、そのＫＹでなんとも痛いエピソード！
旅の中で出会う、シュミットが否定した、バカで低俗な人達の方が、断然存在感もあり、活き活きとしています。
存在感といえば、キャシー・ベイツ。凄すぎるでしょ！？
そんなシュミットが、唯一本音を語るのが、自身からの援助で養父になる事を申し出た、アフリカの子供への手紙。

しかし、その援助金話でさえも、胡散臭い。
私の父が、定年後に騙されそうになった先物取引を思い出しました。おいおい、そんなところに援助して養父になんかなって大丈夫かぁ？と。
でも、おそらく、シュミット自身も、そんな養父の話、心から信じてなかったのだと思います。
薄い人間関係の中で、感情も薄れ、誰も心から信じる事なく、自分の存在意義を信じられなくなったシュミット。

だからこそ、最期のシーンが活きるんですよね。弾けるんですよね。
これで、シュミットの心の栓が抜ける事を、せめて少しでも開く事を祈ります。

淡々と描く壮年ロードムービー。最期にほっと暖かいかな。
自分が定年後に見たら、どう感じるのでしょう？
シュミットの奥さんヘレンが良かったなぁ。いい感じだったなぁ★★★★

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

主人公は本当に仕事一筋で人生を送ってきた
人物であることが、見ていて良く分かります。
第二の人生が始まってから急に孤独になったように
本人は思っているけれど、
そうなるべき理由が、
それまでの彼にはあったのだと思われます。
奥さんの浮気に気づかなかったし。
娘にも無関心だったのだろうと。

旅の途中で訪れる場所で、
思い込みから彼はトラブルを引き起こします。
その様はちょっと情けなくて、何というか、痛々しくさえある。
ようやくたどり着いた娘のもとでも、邪魔者扱いされてしまい、
周りの人になじめず。

自分を見つめ直すはずの旅が、
かえって孤独を募らせてしまった主人公。
疲れきって自宅に帰ってきた時、
主人公のもとに届いていたのは、
旅立つ前に始めたアフリカの子供への
援助プログラムに対しての、
その少年からの感謝の手紙。

主人公が少年の手紙を読むところで
ラストを迎えるわけなのですが、
このシーンが、この作品の一番印象的なところ。
ここで見せるジャック・ニコルソンの表情は、
鳥肌が立つほど素晴らしいのです。

手紙を読んだ主人公は、
少し笑った後、泣き出してしまいます。
そこには、いろんな感情があったのだと思います。
子供の無邪気さを微笑ましく思う気持ち。
少なくともその子供にとっては、
自分は意味のある存在なのだと感じられ、
ちょっとだけ救われたような気持ち。
こんなささいな手紙に反応してしまうほど、
自分は孤独だったのかという、切ない気持ち。

ニコルソンが演じた、
誰からも見られていない場所でひとり、
溢れ出るいろんな感情にまかせて涙するときの表情。
とても自然で、そして自然だからこそ、
強く心に残るラストなのです。

人間、こうなると、自分の今までの人生ってナニ？という気になります。
家族を愛し、家族の為に金を儲け、それなりの地位になり、、、それが、定年後、突然ボロボロとほつれていってしまう。
一番分り合ってると思ってた家族、、、気が付けば、心はバラバラ。
ああ、もう知らんわ、というため息と、孤独感でいっぱいのシュミット。
でもコミカルなタッチのロードムービーで、ニコルソンらしい繊細かつ大胆な演技が素晴らしく、楽しく見れます。
シンプルなピアノの音楽もステキでした。

ただの無意味で孤独なだけの老人になってしまった、、、そしてあのラスト。
泣きますね。単純だけど泣きます。
こんなシンプルなオチに泣かされるとは、やっぱり凄い演技です。

ちょっとノンビリしたテンポですが、心に滲みる映画でした。

今まで築いてきた社会的なアイデンティティー
それが幻想だと気づくのが遅すぎたが
社会的な”幸福”は手に入れられた人間の話
愛しているはずの家族も
頼れるはずの友人も
道をゆく名も知らぬ人たちも
シュミットの周りには彼を理解できる
あるいはしようとする人間は一人もいない
たぶん無人島にいたほうが幸せであろうすさまじい孤独

俺の生存にとって最大のテーマ。この映画はその答えに
到達していないが、考えるきっかけを与えてくれる。
考えたくない人は絶対に見てはいけない
いけないが・・・そういう人にこそ見てほしい