抱擁

一生涯、妻だけを愛し続けたと信じられていた有名詩人の妻以外に宛てたと思われる手紙をみつけたアメリカ人研究員が、調査に乗り出し、ある女性の存在にたどり着く。その後、その女性の遠縁に当たると言う女性教授と共にその謎を追うというストーリー。

ストーリー展開から映像の描写、終わり方に至るまで大変良かったと思います。大人向けであり映画好きな人向けの作品だと思います。

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１９世紀の詩人の研究をしている米国人ローランドはある日図書館でその詩人の手紙を見つける。ローランドはその詩人の子孫であり研究者でもあるモードに手紙を見せた。本物ならば世紀の大発見になるかもしれないと興奮したローランドとモードは手紙の真相を探るべく旅に出ることになった。

映画ではローランドとモードの旅と、１９世紀の詩人アッシュとその愛人ラモットとの恋模様が同時進行していきます。

アッシュは妻帯者でラモットはレズビアン。ある日の昼食会で知り合った二人はたちまち禁断の恋に落ち、お互いの切ない気持を手紙でやり取りをはじめます。しかし、アッシュの妻もラモットのパートナーも激しい嫉妬で苦しみます。それでも二人は隠れて手紙のやり取りを続け、挙句の果て逃避行までして愛し合いました。

一方、ローランドとモードは共に異性と良好な関係を作ることが出来ないタイプ。旅を通してお互いに好意を持ちながらも、気持を通わせることも恋人関係になることも出来ない。お互いに対して不満を募らせ、喧嘩してしまう始末。

また、パートナーが自殺したことで自分を責めたラモットはアッシュとの仲を絶ち、ひとりフランスでアッシュの子供を出産する。何も知らないアッシュはラモットが堕胎したと思い込み、怒りラモットを罵倒する。

現代のローランドとモードの恋、１９世紀のアッシュとラモットの恋が交互に展開していきます。
そして、物語はいよいよ佳境に…。

ラストシーンが素晴らしいです。ああ、そうだったのか…。
それは誰も知らなかったこと。いえ、映画を見た観客のみが知ることです。

　軸足を19世紀に置いてほしかった。

　現代の二人のお話は、分かりきったことを説明しすぎ。展開もありきたり。二人の役者のせいではなく、脚本がぬるい。もったいないですね。

　クリスタベルのジェニファー・エールは、魅力のある女優さんです。

この映画だけではないのですが、どうしてこんな邦題なの？という映画はたくさんありますよね。１９世紀の情熱的な恋と恋に臆病になっている現代の恋がとても繊細に交互に描き出されています。イギリスの田園風景や歴史がそのまま残っているお城なども残像として心に残る映画です。
　「抱擁」というタイトルでは見ない方がいるのではと思います。原題の「POSSESSION」がやはりぴったりです。紅茶の用意をして見るとさらに「お気に入り」の映画になりますよ。

最初の方はグィネス・パルトロウ、ツンケンキャラやなーと思っていて、ストーリーも、うーんだいたい想像できるわーと斜に構えて見ていたのですが、グィネスもだんだん心を開いてかわいくなってきたし（やっぱこの人演技うまい！）世紀の大発見で、この後、どうなるんだろう？誰が最初に発表するんだろう？と、ドキドキでけっこう楽しめました。

確かに最後、現代の二人のその後と発見のその後も、描かれていないので気になりますが、昔の二人の切ない恋にとても心を動かされました。つらすぎる！運命の相手と一緒になれないなんて。
お互い相手がいようと恋する気持ちは止められないのに。

奥さんも、「それなら仕方ないね、でも慰謝料はたんまりもらうわよ」とか言って別れてあげればいいのに。夫がかわいそうだと思わないのかな？昔は世間も厳しいんだろうけど。

出会うのが遅すぎた二人。本当にかわいそう。

ところで、ジェレミー・ノーザムすてきすぎ！クラシカルな役どころの方が素敵さが引き立っている。夢見る瞳のジェントルマン。むしゃぶりつきたい自分を抑えるのが必死でした。