三十九夜

ある日突然、男は逃走（冒険）するはめになる……
今回はロバート・ドーナット。

ロンドンから始まった旅は、スコットランドを経由してまた戻ってくる、というループ路線。
全体に流れているのは 『お芝居』。

まず窓口でチケットを買うハネイで映画は始まり、カメラが彼を追うので、私達も一緒に通路を行くことになる。
（なんとすばらしいファーストシーン(#^.^#)！）
そして約90分後には、別の劇場で幕が下りる。
その間、登場人物は、警官に化けたスパイや教授ではないスパイなど、偽名や偽装ばかり。
信用に足る職業の人たち（警官、教授、小作人など）が、実は信用できない…
そんな不安感が、さらに怖さや不安を倍増させる。
（かくいう主人公ハネイも、牛乳配達人や政治家、新郎など、4回は身分を偽っているが。）

ヒッチの黒髪（ブルーネット）嫌いは有名だけど、今回もじつにテキビシイ…(^^ゞ
主人公をとんでもない世界へと誘い、平和な時間を壊した黒髪は、実はスパイで、刺殺される。
逆に金髪は、最初は邪魔をするけどのちに助けとなり、一緒にハッピーエンドだもん。
イギリス時代からこうだとすると、よっぽど過去に何かあったんだね…

ヒッチが、以前にも増して、ディテールにこだわったこの映画！
変化の連続がリズムとなっていて、まだまだすばらしいシーンがいっぱいです(^^♪！

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本作は,アルフレッド・ヒッチコック監督によるサスペンス映画です.

私がこの映画で一番面白いと感じたのが,冒頭に登場するメモリー氏.彼は'なんでも記憶する男'で,観客の様々な質問に対して,ユーモアあふれる受け答えをします.
この冒頭のシーンが非常に面白く,かなり引き込まれました.そして,引き込まれすぎて,このメモリー氏が,重要な複線になっているとはまったく気がつきませんでした.まさに,ユーモアでごまかされた感じがしました.

このメモリー氏を利用したラストは,当時としては斬新なアイデアだったと想像されますが,今となってはそれほど斬新さは感じないでしょう.むしろ,古臭く思うかもしれません.
しかし,70年近くたった今でも,ラストに驚く人(私)がいるのも事実です.このあたり,ヒッチコックマジックなのか,はたまた私が鈍感なだけなのか.あえて私は前者だと言いたいです.

その他,この映画には,巻き込まれ型サスペンスとして,観客を飽きさせない工夫が,いたるところにちりばめられています.
白黒映画なので,敬遠する人もいるでしょうが,ぜひお勧めしたい作品です.

ヒッチコックらしいエンタメ映画。ヒッチコックが好きならガッカリすることはないでしょう。

高品質なサスペンス映画。
戦前の映画をみるとテンポの遅さが非常に気になるところだけれど、
こちらはめまぐるしくシーンが移り変わるので見やすい。

どんでん返しのハラハラする映画としてよく出来ていて飽きないが、
実際、現代の映画と比べると普通の映画の域は出ない。
８０年前の映画でこれだけのことができることに敬意を覚えるが、
個人的には及第点。５点献上。

「他人同士が手錠で繋がれ、逃げ回る」という設定って、
すっごく使い古されているけど、その設定の元祖って
1935年のこの作品なんじゃないだろうか？？
これが戦前の英国映画だと思うと、感慨深いもんです。

この設定が面白くなるのは繋がれた者同士のテンポの良い会話や、
そしてそれが男女なこの作品は品の良いエロティックな演出に
ハラハラさせられます。
個人的には、陽気で好奇心旺盛の宿屋の女主人が
ちょいちょい絡んでくるところが面白いかな。

ヒッチコックの英国時代の最高傑作で、映像や技術は古いけど、
これはストーリーだけでも十分、今でも通用すると思います。

この作品はとてもヒッチコックっぽいです。
巻き込まれ型で、スパイ物、背中にナイフ、世界が敵ってほど追われ、小道具を上手に活用。
手錠は勿論、新聞紙もそうでした。これが出る度にハラハラ演出が施されてました。
しっかし、いつもながらあっさりしたラストでした笑