マーニー

実に視線の気になる映画だった。
心にためている何かを、目で演じるのはなかなかの器量だとは思うが、
競馬場でマーニーを見つめる男の（まばたきのない）視線。
ベッドに横になって宙を見つめるマーニー。
心の中を覗き見ようとするマークの視線。
疑惑を隠さないリリの視線・・・。
あまりに執拗な感じがするので気になる。

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最後の種明かし（？）までは、マーニーの意味不明な性格に辟易し、半ば不愉快な気持ちになりつつ観ていました。結局最後まで観てみれば、泣けちゃいましたけど。大好きなんです、親子の愛情とか。

ただ、ここまで執拗に自分の異常さを冷静に分析してくれる、寛大で、大人で、お金持ちで、ハンサムな男性に出会えたのは、ひとえに彼女が息を呑むほど美しかったからだと思います。醜い女性だったら救ってもらえたかどうか・・・。いやいや、何だか結局は「美人は得」というのを教えてくれた映画のような気もします。家庭環境で苦労した可愛そうな親子の話ではあるんですけどね・・・。

マーニーの盗癖がなぜなのか？とかその謎解きも楽しかったけれど、その謎に一歩一歩近づけるマークがすごい！そんなに会って間もないのに親身になっちゃうし、頭もいいし、お金もあるし、かっこいいし。そんなマークをひきつけちゃうマーニーの魅力はすごいなあ。確かにすごくかわいかった！

ヒッチコックとしては珍しいゆったりとしたテンポや「007は殺しの番号」で世界にセンセーションを巻き起こしたショーン・コネリーの意外とも思える抑えた演技は見もので、オジサン世代のノスタルジーをくすぐってくれることは間違いありません。

「トラウマ」などという言葉が現在ほど普遍的ではなかった1964年に作られたことを考えれば傑作といえるでしょう。

ただし、今の若い人が現在の視点で観たときにどれだけ引き込まれるかは疑問ですが。。。

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貞淑な事務員を装いながら大金を盗むマーニー。髪の毛を染めての犯行。お金がなくなった頃に次のターゲットを見つけて潜入する。

そして以前勤めていた会計事務所の顧問先とは知らずに事務員として入るが…そこの社長とは面識があり、金庫からお金を盗んだ処で経営者のマーク（ショーン・コネリー）に捕まる。

だが、マークはマーニーを愛していたので警察に届けず、結婚を申し込む。マーニーはその結婚に同意はしないが監獄に入るよりもマシと同意する。潔癖症（？）のマーニーは男性を不潔な豚とまで言い切ってしまいマークを拒絶する。

そして赤色や雷雨に異常なまでに怯えるマーニーにマークは不信感を抱く。（物語の最初の頃に、なんとヒッチ・コックが船客としてしっかりと画面に写っています。）

愛しているが故に、マーニーの病気を治してあげたいと必死になるマーク。最後のシーンではやっとマーニーの恐れる理由も解り、ハッピーエンドですが、母親役の女優さんがとても良い演技で泣けました。そしてマーニーの美しさと包容力バッチリのマークにちょっと酔ってしまったようです。

素敵な出会いを夢見ている方にお薦めの映画です。