ミッドナイト・エクスプレス

脚本（原作を脚本としているので、正確には脚色）はなんと、あの『プラトーン』や『7月4日に生まれて』を監督した巨匠オリヴァー・ストーン。この映画脚本にて、アカデミー賞を受賞し、後の出世作『プラトーン』への足がかりとした。そういう意味では、『パットン大戦車軍団』でアカデミー脚本賞を受賞し、後の『ゴッドファーザー』で成功を手にしたフランシス・フォード・コッポラと同じ道を歩んだ、オリヴァー・ストーンにとっても記念碑的作品。

ビリー・ヘイズの原作の実話を元にした映画化であったため、公開当時、物語の舞台となったトルコの政府から、事実とは異なるとのクレームがついた問題作でもある。

タイトルともなっている『ミッドナイトエクスプレス』とは、主人公が拘留されるトルコの刑務所の隠語で『脱走』を意味する。しかしその特急列車は、決して刑務所には停まらないと云う。停まらない列車にどうすれば乗車できるのか・・・。しかし、いわゆる“脱獄モノ”で終わっていない点が、さすが実話と唸らせる。
自分が主人公と同じ立場だったらと、想像するだけで空恐ろしくなった。
トルコがEUに加盟できない理由も、イスラム教国である以外に、このような人的扱いを、最近までしてきた文化的発展途上国との認識があるためかも知れない。

BGMの挿入の仕方や音楽自体は古さを感じさせるが、物語も演出も撮影技法も、現代でも通ずる力がある。
監督は『エビータ』や『エンゼル・ハート』で知られる名匠アラン・パーカー。あの『小さな恋のメロディー』の脚本を書いたとは思えぬ、重圧で骨太の大人のドラマを、今回は演出している。しかし、決して家族で楽しめる娯楽作品という訳ではないので留意を。

私的には★★★★★五点！

（得点は五つ星で採点しているが、正確には85点。81点以上が五つ星とのことでこの点数としたが、81点と同じ五つ星の100点との差は、可成り大きいことだけは、理解して頂けたらと思う。）

１０年以上前に見たと思います。その時は、あまりのオモシロさに
ぶっ飛んだ…　私の今まで見た映画ベスト１０に入ってた。
しかし、最近見ると、どう表現したらいいのかわからないけど、
ザワザワしてるのが鼻につく。確かに古い映画で仕方ないけれど。

脱獄もの大好きで、色々見てるけど、ショーシャンクには勝てないな。
パピヨンもかなり古い映画で、お気に入りだったけど、今見ると
どう思うか、確認してみようと思ったりする。

ビリー・ヘイズを演じた主役のブラッド・デイヴィスは、１９９１年９月８日、４１歳の若さで亡くなっています。本当に残念です。

この映画は、アメリカ人青年ビリーがトルコ旅行中、麻薬不法所持の罪で逮捕され、暴力が横行する刑務所内で人間以下の扱いしかされず、耐え難い獄中生活をおくる嵌めになるという、実話をもとにした作品です。
何年かぶりに観なおしたのですが、実に怖い。恐怖感が半端じゃありません。

アラン・パーカー監督は、人間の尊厳、自由への渇望という明快なテーマを押し出し、観る者の魂を揺さぶるような感動的なドラマに仕上げていますが、何といってもＢ・デイヴィスの過酷なまでの熱演が凄いです。
そして個性的な共演陣の存在感あふれる演技も見事。素顔の分からぬほどの凝ったメイクで登場するジョン・ハート、トルコ人看守を憎らしげに演じた巨漢ポール・スミス等、くせ者役者が揃っています。
エキゾチックなシンセサイザー・サウンドも抜群の効果で、作品にうまくマッチしています。（アカデミー賞作曲賞受賞）

作品タイトルの‘ミッドナイト・エクスプレス’（深夜特急）とは、囚人同士の隠語で、脱獄を意味するそうです。劇中、刑務所内でビリーに同僚のジミー（ランディ・クエイド）が言います。‘この刑務所に入れられたら、半病人になるか、深夜特急に乗るかのどちらかだ’と。
主人公のビリーは、最初は正当な手段での減刑を目指すのですが、それらすべての手立てが絶たれ、絶望の淵に立たされて、もはや独力で脱獄するしかないと決意することになるのです。
途方もない恐怖と孤独感を、これほどまでに描いた作品はほかに記憶がありません。

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オリバー・ストーン脚本、アラン・パーカー監督ということで借りました。

しっかし、わずか４０年前のトルコって、こんなに遅れてたの？　というか、こんなひどい状況だったの？　というのが第一印象です。
刑務所の中の様子は、いつの時代の話なのかと思いました。
一切の権力を持っている所長が、受刑者をムチで半殺しの目にあわせるのは日常茶飯事のこと。
不潔で不衛生極まりない房内。賄賂は当たり前の無秩序、無法地帯。
特に、重罪を犯した受刑者の監獄はひどすぎます。正常な思考を薬や暴力で奪い、廃人にしてしまうのですから。一瞬、「カッコーの巣の上で」を思い出しました。
人間にとって、廃人にされるほど恐ろしいことはありません。

この事件（実話）が起きたのは１９７０年。脱獄に成功してギリシャに逃亡、アメリカに帰国できたのは１９７５年。１９７５年と言えば、日本では庄野真代の「飛んでイスタンブール」が流行っていた頃だと思います。
飛んでイスタンブール〜♪　恨まないのがルール〜♪　夜だけのパラダイス〜♪　な〜んて、のん気に歌っていた陰で、本国ではこんな状況だったのですね。　トルコの首都イスタンブールなんて、はるか彼方、遠い遠いところだと思っていました。
今はグローバル化が進んで、すっかり近く感じますが、４０年前は体制も違い、本当に遠い国だったのですね。

以上、ここまでが主人公ビリー側の目線で、「ピリーは米国とトルコの不仲の犠牲者、被害者」という意識での感想です。

ここからは、そもそも、麻薬を持ち出そうとしたビリーが悪いという感想です。
一緒に行った恋人は何事もなく、無事に出国できたのです。
悪いことをしたから、ビリーは刑務所に送られたのですよね。そのことを棚に上げて、「ひどい！！　ひどい！！」と叫ぶのも…。もちろん、罪に合わない厳罰だと思う気持ちもわかりますが、当時のトルコでは麻薬の密輸は重罪だったようなので、軽い気持ちにせよ、行為は悪かったのですよね。そのへんは不注意でしたね。

今も国によっては麻薬所持は重罪になるので（中国では死刑判決も出ている）、郷に入っては郷に従えで、海外旅行の際には充分気をつけなくてはとあらためて考えさせられました。

大脱走 (1963) とかは別として監獄モノとして３本挙げるとすれば、
パピヨン(1973)、
ショーシャンクの空に (1994)
あとは、コレだな。

アラン・パーカー監督作の出世作なんですが、オリヴァー・ストーンが脚本だったのですね。
前にも見たことがある映画ですが、今回再見してて気になった(気に障った)のは幸運にも釈放されたマッシュルームカットのホモの相手とのラブシーンとか妙な印象が残ったｗ
オスカーに輝いた音楽も今回妙な印象ｗ

若干の脚色にはトルコに対して謝罪があったようだけど、気が狂い廃人同然となるような酷い扱いはあったはずで、国際問題の犠牲者となったということはあながちウソではないわけだし、これが実話なところがすごい。