スポットライト　世紀のスクープ

ものすごく引きこまれました。
アメリカの良心を感じ、好感が持てました。
本当の正義とはなにか？
ボストングローブの記者たちの熱意と誠意がひしひしと伝わってくる感動作です。
カトリック教会という政治と同様の巨大な権力を持つ組織に対して
確たる証拠と証言を集め続け、私生活をも犠牲にしてまで立ち向かう記者たちの姿に心打たれました。
それは、確かに”スクープ”という名の美味しい餌に食らい尽きたいからということもあったでしょう。
でも、それだけでは済まされない、そこには彼らの強い良心と正義があったのです。
派手な演出など必要はありません。
このスクープこそが、『世紀のスクープ』だったわけですから、事実をこつこつと描くだけで充分に伝わってきます。
私、なにやら、目茶目茶感動してしまいました。
これこそが、マスメディアの役目、あるべき本来の姿だと思いました。

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映画館にて鑑賞。アカデミー作品賞受賞も納得のすばらしい作品でした。

牧師が少年に性的虐待を行っていた事実を教会ぐるみで隠していたことをスクープした、ボストングローブ社の物語。
展開もスリリングだし、単に事実を追うだけでなく、人物それぞれの思いがしっかり描かれていて引き込まれました。登場人物がたくさんいるのに見事です！

絶対的な力を持つ存在は恐ろしい…真っ当なことをやるためにはものすごいエネルギーが必要なのですね。

意外だったのは、このスクープは元々は上司からの命令で始めたことだったこと。しかも命令したのは転任してきたばかりの編集局長。
外から見ないとわからないことってあるんですね。中にいたら流されてしまいがちなのかも。考えさせられました。

　権力を握り始めると組織は必ず腐敗する。教会しかり、政界しかり、法曹界やジャーナリズムだって例外ではない。己の保身や利益のために互いに事なかれ主義に陥り、醜悪で不都合な真実を平然と闇に葬る。

　貧しい家庭の子どもに対する神父たちの卑劣な行為が長きにわたって不問に付されてきたことの責任は、カトリック教会のみにあるわけではない。それゆえこの映画は、単なる啓発的な作品というにとどまらず、絶対的な正義やヒーローは存在しないのだとはっきり描いていて潔い。

　どこかで誰かが決断して、やっと権力の闇に光が射し始める。しかし正義感だけでは案外もろくて権力につぶされ、すぐに挫折してしまいがちだ。記者たちが成功したのは、ジャーナリズムに力があり、仕事として真摯に取り組んだこと。また、隠蔽し続けるには、被害者の数が多くなり過ぎていたことも奏功したのだろう。記者たちがスクープにこだわり、発表のタイミングを巡って何度も口論するのは、仕事として取り組んでいるからこそである。

　地味さを厭わず、決してセンセーショナルになり過ぎない演出姿勢に好感がもてる。それにしても、最後に表示される、性的虐待が明らかになった都市のリストには圧倒される。

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　神父さんたちが何やら変態ばっかりだと新聞記者たちが取材する話。

　新しい局長が赴任してきて、彼の一声でボストンの神父さんに性的虐待を受けた子供たちがいるってんで、それに関わった人たちに取材する記者さんたち。

　まさに足で書くブンヤさんたちの姿を描いていて、ひたすら関係者に取材してメモをとって証拠を集めていく120分でした。

　スポットライトチームが結束して被害者のために子どもたちのためにと真実を暴こうとする姿を彼らと一緒になって追いかける気持ちにさせてくれて決して飽きることはなかったです。

　が、見せ方とかもこれといって特徴はなく淡々と出来事を映すだけでこれといって面白みも感じられず。性的虐待事件という興味で引っ張られましたが、これといった見せ場という見せ場もそんなにないように思えました。

　キリスト教って怪しい宗教なんだなと勉強にはなる映画でした。

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全体的に被害者目線で進んでいくのではないところが、いい感じがしました。
被害者が、様々なケースを表すように描かれていて、描き方に無駄がないことで、訴えかける力があったと感じました。新聞に記事が掲載されたあと、徐々に、場面ごとに涙がにじんできました。目が潤んでくるのを感じながらラストまで見ました。

現実にこの事件が公表されたとき（日本の新聞記事を読んだとき）、記憶によれば「バチカン」の文字も見られたことに驚いた事件でした。事件の性質（神父による性的虐待）とは、まるで中世のようだとショックを受けたことを思い出します。

敬虔なカトリック教徒の痛みも描かれていましたね。

信仰の中で子ども時代を過ごすことが普通であるアメリカ社会と日本社会の信仰に対する扱いの違いで、日本では理解しづらいことが多い映画だとも思いました。しかし、それだからといって、この映画が訴えかけること、描いていることを低く見積もることや無意識でも無視することは、まったく役立たちません。日本社会に置き換えれば、「信仰」の対象になっているような（最近はそうでもなくなりましたが）「教育現場」での同様の虐待や、この映画が描いている環境と違っていても「信じたい世界で起こる信じられないこと」「拒否すべき悪環境でありながら、拒否する事への罪悪感」が生まれる状況というのは、日本でも見られることでしょう。

被害者や加害者を演じた俳優たちの演技は、信じられないほどリアルに感じ、まるでドキュメンタリーを見ているような錯覚に陥りました。

安易な演出を排除した点、真実をあぶり出していくジャーナリストたちすらも、「信じたい、または疑いたくない世界」であるカトリック教会の姿に戸惑い、傷ついていく様がすさまじいと感じました。

納得のアカデミー賞作品賞／脚本賞でした。特にこのテーマで脚本賞を取ったことは、時代の大きな変革を感じさせるものでした。