スノーピアサー

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ピアッサーと書くとピアスの穴開けとかに使う器具らしくて、直訳すると穿孔機？ふーむなるほど。

温暖化した地球を冷やすため、奇しくも２０１４年、何カ国もが共同して大気圏内に冷却用の化学物質を拡散させたが失敗、一気に氷河期となってからさらに１７年後の地球。

折りしも温暖化当時、世界を一周する線路を敷き、それを一年かけて走破するという広大なプロジェクトを立ち上げた民間企業ウィルフォード産業の列車”スノーピアサー”には、永久エンジンが積まれていたため、走っている限り凍りつかないと、難を逃れた人類の一部はその列車に命からがら逃げ込んだ。
けれど、列車内は富裕層から貧民層まで階級が出来上がってて・・・って設定。

外は超低温なので、往年の名作「北国の帝王」のように車外での手に汗握るアクションは無く、もっぱら車内という閉鎖空間での戦闘になるわけで、おまけに世界一周する線路というから、地球を一直線にぐるりと廻る往年のＳＦ「ハイウェイ惑星」みたいなのかなーと思ってたけど、途中曲がりもするし高架もある高山列車のイメージで、リアリティーを言うなら確かに揺れなさ過ぎってのも否めない。

けど、アタシはこの世界観、すごく好きかも。

物語は列車の最後尾の貧民窟で始まるんだけど、食事は黒い棒状寒天ッぽいプロテインが配給されるだけ、環境は劣悪で人々は吊り棚みたいなとこで寝起きしてて、時間になるとざっくり並ばされなぜかそのたび計数される。
時折メジャーを持った上流階級の女がやってきて、幼い子供やバイオリニストが”ウィルフォードのために”強制的に召し上げられる。
収容所？監獄？なんで？の連続なんだけど、鬱屈した貧民たちは、創業者であり支配階級から”神”のように崇められるウィルフォードを倒し、列車を乗っ取る”革命”を企てる。

そこを仕切ってる総理と呼ばれる女メイソン（ティルダ・スウィントン）のイカれ具合がたまらない。
「サスペリア」のタナー女史（アリダ・ヴァリ）と同様、伝説級。

革命のリーダー、カーティスにクリス・エヴァンス、皆に尊敬されている長老で賢者のギリアムにジョン・ハート、カーティスを慕う若き右腕エドガーにジェイミー・ベル、途中参戦するセキュリティーの設計者で産業廃棄物の麻薬クロノール中毒のナムにソン・ガンホ、その娘で透視能力があるヨナにグエムルでも娘役だったコ・アソンと役者も粒ぞろい。

ウィルフォード（エド・ハリス）にたどり着くまでは、新たな車両（ステージ）にわくわくしっぱなしだった。
上流階級といえば贅沢三昧酒池肉林のお約束どおり走る阿呆宮もあれば、処刑人がみっしり詰まってたり、「サイレントランニング」ばりの温室や水族館までもが出現する。

先頭車両には永久エンジン。
その画もＳＦ好きにはたまらない頑丈で精緻で美しく残酷冷徹なマシーンにきっちりと描かれている。
冒頭からのなぜ？は、面クリするたび答えが見つかっていく。
残酷シーンが適度にぼかされてるにも拘らず、時には台詞に時には役者の眼差しに心揺さぶられ続ける。

列車は走る。
スノーピアサーというその名のとおり、たとえ線路が雪崩れで塞がっていようが、目もくらむ渓谷だろうが、それを貫きひたすら走り続ける。
温暖化した地球で操業し始めた頃は多分優美で巨大なモンスター列車だっただろうそれは、ところどころが軋み劣化し、それを補正しさらに強化装甲し続けるうちに無骨で頑丈な走る要塞と化している。

貧民窟には窓が無いため、普段目にすることのない車窓からは、出ることすら叶わぬ極寒の氷河に埋もれた文明の残骸や”体制に反逆しそれでも外で暮らそうと試みた愚民の氷像”が見える。

子供がいい。
前半で召し上げられるターニャ（オクタヴィア・スペンサー）の息子もいいが、最後の最後まで行方知れずだったアンドリュー（ユエン・ブレムナー）の息子にも胸締め付けられる。
本当にどの子もいい。

ナムが大切に仕舞いこんでる人類最後のタバコはマルボロライト。
ガンホはどうしていつもそれほどまでに大切に美味そうに吸うかな。
グエムルもそうだったけど、コ・アソンのまっすぐな瞳もいい。

７０〜９０年代のＳＦファンにはぜひ見ていただきたい１本です。

監督：ポン・ジュノ（2013年・韓国/米/仏・125分）

正直に言うと、冒頭の部分（このような世界になったきっかけ）が、私には理解不能だった。
なので、自分の言葉に変換できないので、ウィキペディアから引用させていただく。
**2031年。世界は地球温暖化を食い止めるべく散布された化学薬品ＣＷ-７によってすべての陸地が雪と氷に覆われ、極寒に耐えられない生物は死に絶えてしまった。**
画面に映し出される白一色の世界。
雪と氷だけの世界で動いているのは“スノーピアサー”と呼ばれる列車だけだ。
列車は、地球上に隈なく張り巡らされた鉄道を一年間をかけて一周していた。
その内部は外の厳しい環境に負けず劣らずの過酷な世界だった。
全部で何両の車両が連なっているのか分からないが、前方車両に住むのは富裕層であり、後方に行くほど貧困の度合いが増す。
最後尾に住むのは奴隷同然の扱いである。
主人公のカーティス（クリス・エヴァンス）は、そんな貧困階級に暮らし、理不尽な支配に立ち向かおうとしていた。
先頭車両には、この列車の開発者であるウィルフォード（エド・ハリス）が暮らし、そこに辿り着くまでには、いくつもの壁・難関を突破する必要があった。
車両と車両のつなぎ目には電子錠付きの厚い扉があり、扉を開くために必要なエンジニアのミンス（ソン・ガンホ）と娘のヨナ（コ・アソン）を救出し連れて行く。
この後には、先頭車両に行く着くまでの凄まじい攻防のシーンが続く。
扉が開く度に武装した敵が待ち構えている。
トンネル内を通過する際には真っ暗になるが、敵は暗視スコープを装着している。
こんなオゾマシイ状況なのに、ポン・ジュノ監督は笑いの要素を挿入し緩急をつけて見せてくれる。
何と言っても敵の司令官であるメイソンには目を疑った。
眼鏡で出っ歯の狡猾な女性司令官を演じているのが、ティルダ・スウィントンだったとは。
途中、彼女は入れ歯の前歯を外して見せてもくれるのだ。
先頭車両に向かう途中、そこに住む階級層がどんどん上がって行くのが分かるが、衣食住の程度が良くなるだけで、ただ飲み食いしているだけにしか見えなかった。
途中には富裕層の子供のための小学校もあったが、行われているのは教育ではなく洗脳だろう。
いよいよ、先頭車両。カーストのテッペンにいるウィルフォードとの対面。
そして、その奥にある最後の扉の向こうには、この列車の心臓部「永久エンジン」がある。
ウィルフォードの話によれば、永久エンジンの部品が足りなくなり、その部品代わりが必要だったと言う。
ここで、冒頭で連れ去られた幼い子供たちの行方が分かるのだが、実際に子供たちの姿を見せられると戦慄を覚える。
奴隷の中から立ち上がったリーダーは、カーティスのはずだが、ラストの鍵を握るのはミンスと娘だった。
大雪原の中に姿を現した一頭のシロクマの意味するところは？
よく分からないまま観続けて思ったことは、スノーピアサーという、地球上を永久に周回する列車を描きたかっただけ？

「殺人の追憶」「母なる証明」のポンジュノ監督の初の英語作品。
原作はフランスのグラフィックノベルだそうだ。


地球温暖化を食い止めるために散布された薬品のせいで
地球が逆に氷河に覆われ、氷河期再到来！！？？？？

なんとか生き延びた人々は「スノーピアサー」と呼ばれる
列車で生活してた。
その列車は車両前方が富裕層、車両後方が貧困層という
格差社会を形成していた・・・・っていう。

もう、ここで「なんで！？」なんですよね。

なんで薬品散布で氷河期到来しちゃうの・・・
なんで列車に乗って生活してるの・・・

ってことで、ほぼ密室劇のようなもの。
列車の中でのバトルやら何やらが繰り広げられる。

後方の貧困車両で生活してたカーティスが
格差是正と自由を求めて反旗を翻すのです。

このカーティスを演じたのがクリスエヴァンス。
キャプテンアメリカとは全くちがうイメージ。
ICEMANでも全く違う姿で登場し、
一瞬気づかなかったくらいだった。

どんだけクリスにキャプテンアメリカのイメージこびりついてるんだ・・・
と思いましたよ・・・（苦笑

列車内で出くわすキョーレツおばさんに
ティルダウィンストン。
もう、ブスに見せるにはこうやったらいいですよ！みたいなのを体現してる。
知らなければティルダさんだとは気づかないんじゃないかな！？ってくらい別人。

このキョーレツおばさんをうまくあしらい、
途中バトルを交えながら前方を目指すのですが・・・・


また「なんで！？」なんですよねえ・・・

そこまでして前方目指しても世界は変わる・・・・？
って思っちゃってなんだか盛り上がらない。

それでも途中のバトルが面白けりゃよかったんだけど
イマイチ迫力不足な感じもあり。

エドハリスも登場してちょっと持ち直した感もあったし、
プロテインのアレとか、寿司とか、面白い小ネタもあったし、
皮肉的ながら希望も持たせるラストも嫌いではないけれど。

結局、車両を１つずつクリアしていくゲームのような映画だった。

地球温暖化防止のため冷却薬剤を散布したら、逆に氷河期にまでなっちゃったという・・
ありえないほどの人間様の大失敗がありまして。
そして、永久エンジンでノンストップで走り続けるトレイン「スノーピアサー」に乗れた乗客と、最後尾に逃げ込んだものだけが生き残って17年経過した2031年。
（この設定だけでもコーヒー牛乳ブーーッ！と吹くくらい、オモオカシイ。）
（お風呂どうする？とかアレどうするとか細かい所、生活基礎点にはまぁ、目をつぶろう。）

これじゃ愉快な話しになりようもないのだが、それにしても、ひたすら暗い。
狭い。男の密集度高い。列車なのに揺れない。
前列富裕層と後部貧困層の、支配してやる、されてたまるもんかという争い、やがての反乱はわかる。
（数百人しかいないのに、うまく出来ないもんかね・・。）
閉ざされた世界で、最後尾からただ一人、先頭車両にたどりつけば、
「己はこんなヤツだ、ブザマで滑稽だ・・」（クリス・エヴァンス）あ、ハイ。誰でもやっちゃいますからそんなに卑下せんでも。人間、飢えには勝てませんから。

車内で生まれた5歳位の子供が、先頭車両で何をさせられていたか！
残酷な発想ではあるが、5歳なんてすぐ大きくなるものだし、理論的に無理。
2031年、いろいろ忍耐してきた17年間はしかし、水疱と化す。
見ている方も何も救いはない。何だったのだろうか。
気温が少し上昇したらしい雪原で発見された北極クマ、あの大きさ・・
（生まれたばかりじゃないという事は・・！）

2014年、地球温暖化阻止のため散布した冷却物質のせいで、地球が凍りつき生物は絶滅。
「走る方舟・スノーピアサー」という列車に乗車できた者だけが、生き残ることができた。
以来、列車は2031年の現在に至るまで17年間、止まることなく走り続けていた！

快適に暮らす前部車両の人々に対し、後部車両の人々は劣悪な環境にあえいでいる。
これに怒った主人公・カーティスをリーダーとする後部車両の人々は反乱を起こすのだが、
反乱のシーンより、「反乱に至るまでの仕打ち」「悲惨な過去」の方が印象に残りました。
「俺たち、こんなに酷い思いをしたんだよーっ！」みたいな。

「17年前、食料の配給がなかった頃、最後尾の人々の飢えが極限に達し恐ろしい事態となるが、
とある人物の献身的な行為により事態が収束する」って話は盛り過ぎな気がする。
仏教説話じゃないんだから…
なんだか、弾圧と献身のエピソードが多くて、アクションが少なかったのが残念。

なかなかの豪華キャストで皆さん好演！
特に、プログラマー役のソン・ガンホのどっしりとした演技が輝いていました！
総理役のティルダ・スウィントンも、原型がないくらい作り込んだキャラで…悲しかったです。
「コンスタンティン」の美しくも冷酷な天使・ガブリエル様、クールな美貌はどこへ…

列車のあれこれには、いろいろ突っ込みたいところがありますが、
本作はそういう部分を云々する話ではないのでしょう。たぶん…