アンコール！！

素直に感動したいなら、お勧めの家族愛、夫婦愛、老い＆友情がテーマの正統派作品と思う。

予想どおりの「優等生」作品でした。

ジェマ・アータートン が好きな若手女優なので、見ました。

ＣＭを観ると、とても良さそうな感動作なのではとワクワクしながら鑑賞しましたが。
英ロンドンに暮らす72歳のアーサーは、無口で気難しい頑固老人。その妻マリオンは病弱だが陽気な性格。
そして彼女はロックやポップスを歌う風変わりな合唱団「年金ズ」の成員として歌っていた。
そんなある日、マリオンは練習中に倒れ入院。癌の再発で余命を告知される。
アーサーはマリオンが合唱団に参加することを快く思わない。残り少ない月日を彼女と一緒に過ごしたかったのでしょう。
だが、マリオンは息を引き取る。そしていつしか合唱団に入り歌を練習するアーサーの姿が…

ま、見終えてしまえばわかりますが、タイトルの「アンコール」とは内容が違うように思う。当然、『アンコール　アンコール！』の掛け声が響くとばかり思ってましたが、スタンディングングフォーメイションにはなったが、アンコールに応えていなかったと思う。（つまらなかったので時々席を外れていた）
感動するほどに歌が上手いと言うわけでもないが、妻を思って歌うアーサーの姿にちょっと泣いてしまった。

「アンコール！！」というタイトルなのに、アンコールのシーンなんて全然ないんですね。
原題のまま「Ｓｏｎｇ　ｆｏｒ　Ｍａｒｉｏｎ」で良かったのに。
それで、その原題にある“マリオン”というのが、本作の主人公アーサーの妻の名前なワケです。
マリオンは地域の老人のコーラスグループ“年金ズ”のメンバーで、国際コンクール出場を目指し、先ずは予選突破を目標に練習に励む毎日です。
車椅子のマリオンを練習場所まで送迎するのが夫・アーサーの日課なのですが、これが気難しくて、マリオンの友人たちにも本当に感じの悪い態度しかとれないんです。
実の息子との関係もよろしくない。
そんなアーサーと息子、コーラス仲間たちとの緩衝役だったマリオンは、癌の再発で逝ってしまいます。
余命少ないマリオンがソロで歌う「トゥルー・カラーズ」は、アーサーに向けてのメッセージで、ラストでのアーサーのソロはその返歌であり、亡き妻へ向けての思いっきりのラブソングです。
何度も引合いに出して悪いけど、「アンコール！！」というタイトルで、お年寄りのコーラスグループの成功物語かと思っていました。
でも、これはアーサーとマリオンの愛の物語であり、アーサーと息子との関係修復の物語ですね。
アーサーが眠るベッドの半分―いつもマリオンが眠っていた場所―が空いているのがとても寂しく感じられて、アーサーがソファで寝ている気持ちがよく分かりました。
コンクールの後、息子からの留守電が流れ、アーサーがベッドで眠っているシーンが映りました。（この父子は再生出来そうです。）
このシーンと、マリオン、アーサーがソロで歌うシーンが私の目頭を熱くさせたシーンです。

感想･総評：家族がテーマのようです。夫婦そして親子の・・

対象年齢：子供〜大人（暴力場面なし。Ｈ場面なし）

食事中に見られるか：大丈夫

なんか最近この手の「じいさま、ばあさまバンザイ！！」映画が多いなぁ、なんて思ったりします。興行の方では出てこないけど、レンタルとかになると結構多い感じがしますね。よく考えれば団塊の世代は還暦過ぎているわけでして、この層をしっかりと狙うというのが賢明なやり方なのかも知れません。ただ、どれも似たような感じのテイストになってしまっているのが残念ですね。もっと違った描き方があるんだと思うんだけど。

この作品は、じいさま、ばあさまのイメージは昔のソレとは違うということを少しだけ描いています。格好は昔ながらのじいさま、ばあさまですが、中身はちょっと違う。ロックが好きだしね、っていう話。そらそうだわな、有名なロッカーなんてほとんど還暦超えてるもん・・・そういう時代なんですよ。昔はファンキーなじじいなんてちょっとおかしなじいさまかと思われたけど、普通にそういう人今はいますよね。

そう考えると、もっとウソっぽくない本物っぽい軽いコメディもの、ドラマものってあってもいいと思うんだけど、なかなか踏み込めない。まだステレオタイプの描き方が生き残っていますね。そんなこと思った作品でした。つまりは、まぁ、それなりな作品でした。