最初の人間

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最初の人間 / ジャック・ガンブラン

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「最初の人間」 の解説・あらすじ・ストーリー

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解説・ストーリー

『異邦人』などで知られるノーベル文学賞作家アルベール・カミュの自伝的遺作を「家の鍵」のジャンニ・アメリオ監督が映画化。フランスで作家として成功した主人公が、フランスからの独立運動に揺れる祖国アルジェリアに帰郷し、母と過ごす日々の中で少年時代を振り返りながら、アルジェリアの行く末に思いを馳せる姿を描く。1957年、夏。フランスで活躍する小説家のジャック・コルムリは、独立を巡って激しい紛争が続くフランス領アルジェリアに帰郷する。そして大学で講演を行い、平和的な解決を呼びかけるが、激しい非難に晒され、会場は混乱に陥ってしまう。翌日、ジャックは一人で暮らす母のもとを訪ねる。やがて彼の脳裏を、幼少の頃のさまざまな思い出が去来していく。

「最初の人間」 の作品情報

作品情報

製作年: 2011年
製作国: フランス/イタリア/アルジェリア
原題: LE PREMIER HOMME

「最初の人間」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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「49ページを開いて」 父探しの旅。

投稿日:2016/01/16 レビュアー:ちゅく

「最初の人間」(2011年、フランス/イタリア/アルジェリア、カラー、105分)。

監督はジャンニ・アメリオ(1945〜)、原作はアルベール・カミュ(1913〜1960)。

カミュの作品は、20歳前後のころ、読んでいました。
「異邦人」(1942)が処女作ですが、この中編小説が、やはり最もいいと思っています。(自分の読んだ中では。)
そこには思想はなく、主人公の思いと行動が、みずみずしく詩的で簡潔な文章で書かれています。
(原文ではなく、新潮文庫の窪田啓作・訳で読んでいます。)

併行して書かれ、同年に発表された「シーシュポスの神話」(1942)は、哲学書ではなく、長編エッセイ、あるいは散文詩の集合のようなものです。

シーシュポスは、ギリシア神話に登場する人物ですが、神々を二度欺いた罰を受け、巨大な岩を押し上げ、山頂に置くという苦役を命じられます。
山頂に到る手前、急傾斜と重みによって、岩は底まで転がり落ちてしまう。それを何度も繰り返す。
これは永遠の「徒労」ですが、人の生はその連続であり、人の「実存」を問えば、それは苦役の日常のなかに突然現れる青空や太陽、
次に起こる行為、最後の裁き(神による審判ではなく、人による裁決)しかない、ということと思います。

当時、サルトルも無理して読みましたが、嫌いでした。血も涙もない文章は、苦痛です。
サルトルとカミュは、交わらない別次元の人間と思いました。自分はカミュを選択する。

カミュは戯曲がいいと友人から聴き続けていましたが、「誤解」(1944)以外は未読、舞台でそれも観たことはありません。
長編小説「ペスト」(1947)は力作です。
彼の詩的資質が基底にあり、しかも物語の骨格と帰結を備えている。
「異邦人」で死刑になった「ムルソー」の疑問が、リウーという医師に引き継がれ、グランという役人、コタールという犯罪者、神父パヌルーらとともに、疫病から都市を守ろうとする。

@「異邦人」はヴィスコンティ監督が1967年に映画化しています。「ムルソー」をマルチェロ・マストロヤンニが演じています。
A「ペスト」は「プレイグ」という題名で、1992年、ルイス・プエンソ監督によって映画化、
「リウ―」をウィリアム・ハートが演じています。

@は未見。VHSでも観たことがありません。何か大人の事情があるのでしょう。
AはVHSで見ました。原作を超えるものではありませんが、これも未DVD化。

さて、前置きが長すぎて、失礼します。

「最初の人間」は、カミュの最後の、未完の小説です。
自伝的小説ですが、作者は何を書こうとしていたのか。

一人の人間が、世界を変えることができるのか。
キリストでない最初の人間が、存在し得るのか。

北アフリカのアルジェリアは、1830〜1962までフランスの植民地であった。
そこで生まれ、フランスで成功した作家コルムリは、独立運動が激しくなった故郷に行く。
講演の場で、平和を呼びかけるが、罵倒を受ける。
市場で働いている老女へ「マダム・コルムリ!」と呼びかける。彼の母だ。
母は父の名前を教えてくれない。

自分が昔寝ていたベッドに横たわり、母の後ろ姿を見つめる。
次の瞬間、顔は同じ姿勢で、少年になる。

自分を育て、進路へ導いてくれた教師ベルナール。

小学生のとき、教室で、コルムリは歴史の教科書の49ページを読ませられる。
そこには、ナポレオン(一世)のフランス統治と植民地拡大のことが書かれていた。
ベルナールは「教科書を閉じて」と言う。
「自分のお父さんのことをひと言でいい表したまえ」

一人の生徒が「コン(馬鹿)です。ナポレオン万歳!」という。
ベルナールとコルムリの眼が合う。授業はそのまま終わる。

休み時間、裸足でサッカーをしているコルムリに、「本を読んでいるか?」とベルナールが聴く。

カミュは「最初の人間」を書き上げる前に、不慮の交通事故で死亡する。

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「49ページを開いて」 父探しの旅。

投稿日

2016/01/16

レビュアー

ちゅく

「最初の人間」(2011年、フランス/イタリア/アルジェリア、カラー、105分)。

監督はジャンニ・アメリオ(1945〜)、原作はアルベール・カミュ(1913〜1960)。

カミュの作品は、20歳前後のころ、読んでいました。
「異邦人」(1942)が処女作ですが、この中編小説が、やはり最もいいと思っています。(自分の読んだ中では。)
そこには思想はなく、主人公の思いと行動が、みずみずしく詩的で簡潔な文章で書かれています。
(原文ではなく、新潮文庫の窪田啓作・訳で読んでいます。)

併行して書かれ、同年に発表された「シーシュポスの神話」(1942)は、哲学書ではなく、長編エッセイ、あるいは散文詩の集合のようなものです。

シーシュポスは、ギリシア神話に登場する人物ですが、神々を二度欺いた罰を受け、巨大な岩を押し上げ、山頂に置くという苦役を命じられます。
山頂に到る手前、急傾斜と重みによって、岩は底まで転がり落ちてしまう。それを何度も繰り返す。
これは永遠の「徒労」ですが、人の生はその連続であり、人の「実存」を問えば、それは苦役の日常のなかに突然現れる青空や太陽、
次に起こる行為、最後の裁き(神による審判ではなく、人による裁決)しかない、ということと思います。

当時、サルトルも無理して読みましたが、嫌いでした。血も涙もない文章は、苦痛です。
サルトルとカミュは、交わらない別次元の人間と思いました。自分はカミュを選択する。

カミュは戯曲がいいと友人から聴き続けていましたが、「誤解」(1944)以外は未読、舞台でそれも観たことはありません。
長編小説「ペスト」(1947)は力作です。
彼の詩的資質が基底にあり、しかも物語の骨格と帰結を備えている。
「異邦人」で死刑になった「ムルソー」の疑問が、リウーという医師に引き継がれ、グランという役人、コタールという犯罪者、神父パヌルーらとともに、疫病から都市を守ろうとする。

@「異邦人」はヴィスコンティ監督が1967年に映画化しています。「ムルソー」をマルチェロ・マストロヤンニが演じています。
A「ペスト」は「プレイグ」という題名で、1992年、ルイス・プエンソ監督によって映画化、
「リウ―」をウィリアム・ハートが演じています。

@は未見。VHSでも観たことがありません。何か大人の事情があるのでしょう。
AはVHSで見ました。原作を超えるものではありませんが、これも未DVD化。

さて、前置きが長すぎて、失礼します。

「最初の人間」は、カミュの最後の、未完の小説です。
自伝的小説ですが、作者は何を書こうとしていたのか。

一人の人間が、世界を変えることができるのか。
キリストでない最初の人間が、存在し得るのか。

北アフリカのアルジェリアは、1830〜1962までフランスの植民地であった。
そこで生まれ、フランスで成功した作家コルムリは、独立運動が激しくなった故郷に行く。
講演の場で、平和を呼びかけるが、罵倒を受ける。
市場で働いている老女へ「マダム・コルムリ!」と呼びかける。彼の母だ。
母は父の名前を教えてくれない。

自分が昔寝ていたベッドに横たわり、母の後ろ姿を見つめる。
次の瞬間、顔は同じ姿勢で、少年になる。

自分を育て、進路へ導いてくれた教師ベルナール。

小学生のとき、教室で、コルムリは歴史の教科書の49ページを読ませられる。
そこには、ナポレオン(一世)のフランス統治と植民地拡大のことが書かれていた。
ベルナールは「教科書を閉じて」と言う。
「自分のお父さんのことをひと言でいい表したまえ」

一人の生徒が「コン(馬鹿)です。ナポレオン万歳!」という。
ベルナールとコルムリの眼が合う。授業はそのまま終わる。

休み時間、裸足でサッカーをしているコルムリに、「本を読んでいるか?」とベルナールが聴く。

カミュは「最初の人間」を書き上げる前に、不慮の交通事故で死亡する。

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