悪の教典

高校の英語教師・蓮実は、生徒から「ハスミン」と呼ばれ慕われている。
しかし、彼の正体は、人を殺すことに何の痛痒も覚えないサイコ・キラーであった。
彼は、しつこくクレームを入れてくる父兄、反抗的な生徒、彼の正体に迫る同僚教師など、
自分の邪魔になる人間をためらいなく殺害していくのだった…

129分と長めですが、蓮実の犯行が次々と描かれテンポが良かったです。
原作を読んだのですが、それでも、後半、蓮実の襲撃からサバイバルする生徒たちを、
応援せずにはいられません…
女子生徒たちの悲鳴、と言うか絶叫が、何とも言えぬ悲惨さを強調…

本作には多くの人物が登場しますが、それらを演じた俳優が多彩です。
無駄遣いにも思えるほど！
俳優たちの好演によって、ただ血なまぐさいだけの作品になってはいませんでした。

蓮実に不信感を抱く教師・釣井（吹越満）と男子生徒・圭介（染谷将太）が、蓮実の過去に
ついて語るシーンは、蓮実の底知れなさが伝わってきた。
頭脳明晰でシニカルな圭介（染谷将太）、闇を抱える釣井（吹越満）の演技をもっと見たかった！

美術教師・久米（平岳大）と男子生徒・前島（林遣都）の男性カップルも印象深い。
クレー射撃をする久米の姿を感嘆の眼差しで見つめる前島が、ちょっと可愛い。
最期まで、久米を慕う前島を演じた林遣都の演技が光る。

他に、クレーマー父兄（滝藤賢一）、圭介に思いを寄せる女子生徒（二階堂ふみ）、
セクハラ教師（山田孝之）など、贅沢な配役。

登場人物の多い長編小説を、大きな改変もなく上手くまとめた作品だと思います。
最後まできっちり視聴しておいてなんだけど、あっけなく奪われる若い命があまりに多くて、
可哀相でした…

序盤から中盤はサイコスリラーを
堪能できる空気出てたんですが途中から失速。

原作は未読なので、全然違うのかもしれないけれど、
まず、主人公がスマート風で、そうでもないってとこが失速の原因。
やっぱりこういうキャラは「スキがない！」てのを
感じたくなってしまいます。でもそうじゃなかった。

そして、途中からはＢ級ホラーあるあるに突入。

もう一歩。って感じでした。

林遣都さんの出演作品を追っかけレンタルしてます
林遣都さんの出演シーンが少ないことと
殺戮シーンが多い内容も承知で借りました
林遣都さんの萌え萌えシーンは数秒だったけど裏切りなしでした
主流の出演者は簡単に打たれて終わらない
林遣都さんのエンディングも簡単には終わらない演出でファンとしては生き残っててほしかったけどその他大勢と同じにされなくて〇です
殺戮が多い作品は苦手だけど
好きな俳優が作品に生かされていたのを見ることが出来て満足です
殺戮シーンはちょっとオーバーですが
三池監督は俳優のイメージを木っ端微塵にすることで有名です
その通りの作品です
ストレス解消みたいなところがあります

三池崇史監督作品群は、バリエーションに富んでいる。(笑)
何でも起用にこなす監督さんだ。頭が良くてセンスがあるのだろう。然も、いずれの作品も彼独特の“毒”が含まれている。これは稀有なことだと思う。

――晨光高校で集団カンニングの疑惑が浮かび上がる。防止策を巡って職員会議も紛糾したが、それを見事におさめてみせたのは英語教諭の蓮実だった。
彼は、赴任して１年余りの新参者だったが、さわやかなルックスと優しい物腰、分け隔てのない態度で、たちまち学校中の人気者になる。
しかし、蓮実には、誰も知らない裏の顔があった。人知れず校内を支配していたが、ささいなトラブルから少しずつ何かが狂って行く。
クレイマーのＰＴＡ、問題児の生徒、彼の素性に気づいた物理教諭と生徒……。
文化祭の前夜、修正のきかなくなった彼の世界をリセットするために、蓮実は大殺戮の道を選ぶ。
……というお話し。

“伊藤英明”というあまりセリフが上手くない役者さんを使ったところに、本作品のミソがある。彼のウソ臭さが、“蓮見”というキャラと見事にマッチしてリアルだった。(苦笑)

おかげで見応えのある作品となったが、ひとつ解せないことがある。「なんで立ち向かうヤツが出て来ないんだ？」ということ。体育会系のヤツとか、勘違いしているヤツとか、ひとりや二人、蓮実に立ち向かってアッという間に殺されても良さそうなものだ。或いは、みんなで倒す方法を考えるとか。（伊藤さんの体格を考えると、ちょっとコワイけど）
そう言えば、火災報知器を鳴らして消防を呼ぶこともしなかったなぁ。警備会社に発報するとか……。ま、いずれにせよ、本作品に登場した高校生が無策だったのはザンネン。(苦笑)

とはいえ、２時間オーバーの上映時間を飽きずに観ることが出来たのは、三池監督の演出力のなせるワザ。比較的、邦画は長めだが、昨今の洋画は２時間未満が主流だ。長くても 110分くらい。それに較べると、本作品は十分に大作と呼べるボリュームだ。お見事。

それに、蓮実の凶行にブレヒトの『三文オペラ』を重ねたことで、奥行きのある作品になったことも見逃せない。
音と映像で表現する映画は、小説よりも直接的に観客に訴えることが出来る。♪メキ・メッサーのモリタート♪若しくは、♪マック・ザ・ナイフ♪を知らなくても、映画なら聴かせることが出来る。小説では、こうはいかない。映画ならではのアドバンテージを十分に活かした作品だと言えるだろう。

そして、ところどころに三池監督らしいユーモアが見られるところもいい。
女子高生の下着を投げられた教師が、受け取ってにおいを嗅ぐシーンがある。笑いました。然も、女子高生の名前まで当てるなんて……。コレって、男の本能なんだろうなぁ。山田孝之くんの名演技でした。(笑)

当たり外れが多い監督さんだが、本作品は“当たり”ではなかろうか。かなり面白かった。

オススメ！

（でも、“TO BE CONTINUED”って、どういうこと？）