キャメロット

ミュージカルとしては珍しいシリアスな作品。
単なる純愛でもなく、単なる不倫でもない、苦悩に満ちた愛を描く哲学的なミュージカルである。
ミュージカルと言えば、私には、素敵な歌と素敵なダンスに彩られた娯楽作品というイメージが強いが、この作品はそのイメージとは大きく異なる作風である。
ダンスシーンがなく、ミュージカルとしては、寂しかったが、アーサ王の魅力を心ゆくまで楽しめる作品だ。
ここまで人間的によくできたキャラクターも、珍しい。
彼の弱さも脆さも大きな魅力だ。
もちろん、彼の偉大さ高潔さも、嫌味なく美しい。

衣装とかスケールはすごいけど、おもしろくないよ

グエナヴィアは美しく、感情細やかな演技もよかったんですが(鼻水まで流して泣いている、女優魂！)、どうもグエナヴィアだけから、よくも悪くも60年代的空気を感じてしまい、そのためにいまいちアーサー王の世界に没入できませんでした。特典映像をみると、製作においてもやはりヒッピーを意識しているとのことだったので、ああそうか‥と思いました。
ヒッピームーブメントの時代の音楽や文化は、私も好きなのですが、この作品への取り入れられ方は何だか中途半端で、中途半端にながされなければ今よりもっと幅広く、名作として後世に継がれたのではないかと思います。ミュージカル映画が飽きられて時代遅れになっていた時代であったということで、流行りのエッセンスを取り入れるのは仕方がなかったのでしょう。
しかし、映像特典で触れられていましたが、自分の会社をもっていたことで利益の関係で製作の候補からはずれたというアーサー・フリードがもしこの作品を作っていたら、とか同じく候補から外れていたミネリやキューカーが作っていたら、とパラレルの可能性を考えると面白いです。

この作品でのグエナヴィアの歌い方も、コケティッシュで気だるい、60年代ファムファタル的感じで、ブロードウェイで演じたジュリー・アンドリュースの音源を聞くとやはり朗々と気高く歌い上げており、私はそのようであったほうが好みでした。リチャード・ハリスやフランコ・ネロの歌のシーンは、良かったと思うのでそこだけ好みではなく、残念でした。
歌は、「セ・モア」や、グエナヴィアが火刑に処される時の音楽は、とても気にいりました。

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　中世時代を背景にした映画は雰囲気が苦手なのだが、ミュージカルなので借りてみました。
　アーサー王（リチャード・ハリス）は権威を振りかざすどころか、争いは止めて円卓を囲んで仲良くしようと呼びかけ、王妃グィネヴィア(バネッサ・レッドグレーブ）の不倫が発覚しても、悩みつつ許してしまうほどの寛容さ。
　私の家にもちゃぶ台という円卓があって、いつも王様気取りで使っている。アーサー王の気持ちも分からなくはないが、ちょっとお人好しすぎるな。
　荒々しさや憎悪劇を期待する方としては、教育用映画を観てるようで物足りなさを感じた。正直、平和的三角関係がらみで３時間は長く感じたな。

　唯一気に入ったのは、グィネヴィアが３人の騎士をそそのかしてランスロットと対決させようとする所で、小悪魔全開でユニークだった。ここの音楽は好きです。それにグィネヴィアは本当に美人だ。音楽のラーナ＆ロウは他にも多くのミュージカルを作っている名コンビなんですね。

　観ているときは気が付かなかったけど、意外にこの映画のセットや衣装にはお金と時間が掛かっていて、大作と言って良いほどの豪華な作りらしい。見る人が見れば分かるのだろうけど、私は特典メイキングを見てやっと分かった。たしかに爵位の儀式などはかなり豪華だった。
　
　ちょっと内容から外れるが、この映画で好きなのはポスター画。私の好きなボブ・ピーク氏が担当していて、この辺りの時代、とくにミュージカル系の映画も多く描いている。アーサー王が控えめに描かれている辺り、ちょっと面白い。
・関連アドレス
　http://www.bobpeak.com/index.cfm

ミュージカルとは知らずにいたので、思いがけず素敵な歌声を聞かせていただきました。
アーサー王役のリチャードハリスはレコードを出したことがあるのですが、優しい歌声でした。
西部劇でしか見たことのないフランコネロがランスロット役で、新鮮でした。歌声も素敵。
二人とも過去に見た役どころのイメージとはちょっと違って、いい意味で意外でした。
平民だったアーサーが王になってしまい、妻を迎えることとなった日の戸惑いが実に普通の人らしく面白い。
困ったときはマーリンの教えを思い出すシーンも普通の人って感じ。
偉そうに威張り散らしたりせず、思慮深い正義の王様アーサー。
グエネヴィアが美しく、ランスロットは好男子で、３人とも役にピッタリです。
ストーリーは３人の苦しい恋愛感情を中心に描かれています。
３人ともそれぞれの立場上、これ以上どうしようもなかったのだなぁ。
男女の仲ってどうしようもなくて、ややこしいものですね。