こわれゆく世界の中で

これを見るちょっと前に「ホリデー」を見ていたので、ジュード・ロウがあまりにもいい人すぎたらいやだなあ・・とか、「アルフィー」みたいな超プレイボーイもいやだなあ・・とか、あまり期待してなかったけど、なかなか重厚なストーリーでおもしろかった。

主人公ウィルのパートナー、リヴの娘は自閉症。夜も全く眠らないような娘をかかえてウィルは奮闘しているが、パートナーとの間にはすきま風がふき始めている。そんな時、ウィルはふとしたことからボスニア難民のアミラと出会う。アミラに対する好意は本物なのか、それとも同情なのか？そしてアミラが息子を守るためにとった行動は？
移民の問題や格差、貧困といった社会問題も織り込み、なかなか興味深く見ることができました。夫婦（この場合はパートナーなんだけど）関係についても考えさせられた。
ジュリエット・ビノシュは決して若いとはいえないのにあの裸体、そしてアミラの行動はすごかったです。
ただ、よくわからない暗喩（キツネとか、車を盗んで姿を消す娼婦とか）が多くて、そのへんはすっきりしませんでした。

登場人物がそれぞれ悪人ではないんだけどバカやってしまう。
配役がとてもはまっていてリアリティがある。

貧乏は貧乏なりに、金持ちは金持ちなりに、
傍目には幸福そうに見えるし、本人達もまあ不幸だとは思ってない。
でもやっぱりどのカップル、どの家庭にも問題はあって
不満を抱えながら破綻しないよう折り合いを付けて生きている。
ハッピーかアンハッピーかなんて一言で語れないのが現実。

映画が終わっても彼らの物語は続いていく。
複雑微妙な気分が残ってしまうが、人生ってそんなもの。
大人な映画です。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

夫婦間の問題として、
考えさせられるところがあった。

映画自体は、それほど、突飛ではなく、
新しいロンドンという、イメージの表現は、
あんまり、ない感じで、少し新鮮だが、
ストーリー展開は、
それほど、目新しくはない。

心のバランスを崩している人々、
というか、たぶん、ある意味では、みんなそうなんだろうけど、
なかなか、しっかりとした、
拠り所を持ちにくい、大都会での暮らし。

そこに、ある意味、
サラエボからの難民？という形の、
ギャップのある人に惹かれるという表現は、
なるほどなと思う。

ま、浮気をしてるわけだから、まじめというのは、
変なのかもしれないが、
少なくとも、妻や子供に向き合ってないというわけではない。
でも、満点のことができてるかというと、
もちろん、そうではないが、
そんなことが、できる人は、この世に、
そう多くはない。

結末は、もとさやっぽいが、
なぜ、そうなったのか、すこし、興味深いと思った。

不倫にはまっていく男の心情、女の抱え込んだ負担など大人の憂鬱は複雑であり、一見し幸せな環境の中にも様々な障害が横たわります。ちょっとした弱い部分が露見してもろく崩れる様子が静かな中に激しさも感じさせ見応えがありました。

私はジュリエットビノシェ演じる移民の母親に共感しました。母親と言うのはそういうものだなとつくづく。彼女のような極端な状況に置かれるわけでは無く、日常のたいしたこと無い出来事、例えば学校への遅刻の言い訳だと興ざめになりそうですが、、親は自分のためには決してつかない嘘でも子どものためにはつき、不利になることは隠し擁護します。追いつめられ、理性を失えば犯した罪の肩代わりをしたり、自ら犯罪を犯す可能性すらあると思います。
ボスニアの内戦を耐え抜き、イギリスで暮らし始めた。大切な息子が義弟の犯罪に利用されることを知って心を痛めていた。そんな時目の前に現れた誠実で優しい男性。惹かれあって結ばれたのに、、、ためらいながらも信じたのに。彼の当初の目的を知ってしまい、それを利用するしか手立てをなくしてしまった。
私もミルクチョコさんと同じにアミラの言葉がほんとに切なく響きました。

男も弱いが女も弱い、そんな大人も病を持つ少女も強く求めている。自分が必要とされ、そのことがまた自分を強くしてくれる相手を。皆が辛く傷ついてしまいながらも、ぶつかり、受入れ、支え、また新たな１歩を踏み出すことができそうな、そんな作品で
した。
◆今日も読んでくださりうれしいです。有難う。お・辞・儀◆

人は 対等だ

誰かを愛したい
それだけの事なのだと思う …

胸に溢れるもの
愛情であり 欲望であり
希望 …
そして 絶望 …
いい子では 居続けられない
人は 心を 持つ
割り切れる筈などない
壊すか 繕うか …
新しく建てるのか …

そして 選択するのは 自分