ジャッキー・ブラウン

よく取り上げられるほどには感動はない。雰囲気だけで乗り切ろうっていう感じが伝わってくる。作品的には玄人向けなのかな・・・
それにしても、サミュエルってあちゃこちゃ出てるなぁ、津川雅彦みたいだ。

タランティーノ脚本、演出の映画は、登場人物のクセやこだわりを
きっちり撮っていて、それがいちいちおもしろいです。
生きている人間というのは、何気ない日常の中で、クセやこだわりを
意識もせずやっているわけだから、観ていているようなぁ、こういう人、
と観るたび毎回思っていしまいます。
それが、キャラクターの深みにもなっています。

この映画、ストーリーと無駄な部分でそりゃあ長いです。
でも、おもしろく、なぜかかっこいいです。
だらだら長く、キャスティングが贅沢、音楽がかっこよく、
ドロドロぐちゃぐちゃなストーリーがなぜかスタイリッシュに感じてしまうのが、
タランティーノのお家芸といったところではないでしょうか。

この映画、１９９７年公開時に映画館で観て、気に入ってサントラを購入しています。
今でも愛聴しているくらい、とってもいいです。
サントラの出来は、パルプフィクションを超えている気がします。

主演のパム・グリア演じるジャッキー・ブラウンが若くはないが、格好いい。
しがないローカル線のスチュワーデスの役どころ。

物語は武器密輸で儲けている男(サミュエルＬジャクソン)が稼いだ金を所詮あぶく銭だから
分捕ってもかまわないと言う発想で、ジャッキー・ブラウンとこれも、しがない初老の保釈金融業者が組んで
まんまと５０万ドルをせしめると言うストーリー。

武器密売人と組む男が“ロバート・デニーロ”刑務所から出てきたばかりで、昔ほどの迫力と切れがないと言う役どころ。

その他では武器密売人の女の役でヘンリー・フォンダの孫の“ブリジッド・フォンダ”

この物語はタッチの良い作品で、所々にマッチした音楽が流れる。

途中からどんどん映画に引き込まれていく。
武器密売人の組と、ジャッキー・ブラウンの組との手の込んだトリックまがいのやりとりが面白い。

武器密売人の組とジャッキー・ブラウンの組に捜査官の二人組が絡み合い全然暗さの無く、
タッチの良さのストーリーの進展によって、タランチーノの世界に引き込まれてゆきます。

ジャッキー・ブラウンの重量感に圧倒されっぱなし。

ラストシーンに流れる音楽に痺れました。

彼がかっこよくって仕方なかったです。だってカンゴールのハンチングを逆にかぶってもかっこいいんですよ。たぶん今見てもかっこいいといえる自信がある。
パムグリアーもかっこよかった。迫力あるもんね。女っぽいタバコの吸い方がかっこいい。
で、デニーロがまたまたどうしようもない男になってて・・・どうしようもないデニーロがおもしろくてよかったです。
ちょっとタランティーノにしては、うすい映画だったけど相変わらず音楽センスとキャストがよいので面白いです。

どうですかこのジャケット。
ワクワクしてくるでしょ。
クセ者共の宴が始まるって。
ドキドキしてくるでしょ。
ボビー・ウーマックが切なく唄いあげる「１１０番街交差点」。
タランティーノ・ワールドのスイッチオン。
ココより高みにある「カッコイイ」には中々出会えないってぐらいカッコイイ。
そんなオープニング。
楽曲の持つ色気を最大限に引き出して。
アゲイン・アンド・アゲインとばかりに、もう一度時代のメインストリートへ。
選曲の鬼・タランティーノの面目躍如。
でもって「ジャッキーブラウン」って英語の字体が登場したら。
これから始まるクセになる快感に身を委ねないって選択肢は、あり得ない。
これまたパーフェクツにシビれる字体。
観終わっても感じること。
この映画には、あの字体でなければならなかったと。
うだつの上がらない人生に訪れた最大のピンチ。
ジャッキーは思う。
アントニオ猪木ばりに思う。
ピンチはチャンス。
風車の理論だバカヤロー。
いくぞー！！
１！２！３！フラッシュ！
ロイヤル・チョコレート・フラッシュ。
彼女の閃きから生まれた一世一代の大勝負。
タランティーノ・ワールドではお馴染みの「無駄話」を挿み込み。
そこから流れる物語。
これはもうアイドリングです。
地球に優しくないアイドリングですが。
タランティーノ・ワールドには不可欠なのが、この無駄話アイドリング。
ジャッキーのダイナマイトバディーを包み込むブルーのスカートスーツ。
サミュエルが有名にしたといってもいい（少なくともボクにとっては）カンゴールの帽子。
パープリン・ブロンドの完ぺきなフォルムといっていいでしょう、ブリジット・フォンダ。
絶妙に足りない感・・をサラっと演じてのけるデ。
小物からキャラ設定まで。
全てがタランティーノ・ワールドで煌めく。
鮮明な輝きを放つ。
そこにリズムを与えるサミュエルのセリフ回し。
レディ・ステディ・キャセッツ・オン！
デルフォニックスが流れたら。
カーステから響いたら。
ビターでスウィートでメロウな時間の始まりだ。
大人は知っている。
だから去り際もカッチョイイ。

タランティーノ作品では一番地味かも。
でも好きだなぁ。

パム・グリアーの魅力を世界に再認識させる再生工場の職人でもあるタランティーノ。
あんたは凄い。

それにしてもシビれるなぁ。
キャセッツにシビれるなぁ。
ＣＤじゃなくてキャセッツ。
キャセッツ買ってきて、カーステにオン。
それがロバート・フォスターってのがいい。
ロバート・フォスターだからこそイイ。