さらば青春の光

いってみれば、ふだん芸能ネタやエロ話で盛り上がっている遊び仲間たちが実は進学塾に通っていたり家庭教師に勉強を見てもらっていると知り「ええーッ」「ガガーン」ってなる映画。

自分一人が置いてきぼりにされていたと気づき追い詰められたような表情になる。
かっこ悪いし、気持ち悪い。もちろん頭も弱そうで、金もなく、金を稼ぐ気もない。
そういう主人公を演じきったフィル・ダニエルズおみごと。

およそ「光」とは縁遠い主人公ですが、しかし青春の光という邦題をひねり出した人の気持ちもわかる気がします。人生はかけがえのないものです。

ラストシーンの白い断崖はロマンチックな印象で映画を締めくくっています。
この主人公を現代に描くとすれば、ホームレスを襲撃して金を奪うといったところまで描かねばならないはず。
みんなが大人になったというか、世の中が悪くなったというか。
ともあれ、ほんとに“体だけは大事にしてくださいネ！”（林家三平）

この映画がアルバム「Quadrophenia」を元にした映画だとは知りませんでした。「四重人格」を「さらば青春の光」と訳した当時の配給会社は偉かった。「四重人格」じゃ、何の映画か分からないし。

でも、アルバムの内容とストーリーは関係ないんだ。
どこにでもあるような「青春の蹉跌」という映画だ。強いて言えばイギリスの労働者階級の生活と風俗が中心に描かれている所が、他の国のどことも違う所。

モッズの乗っているスクーターがヴェスパだったと言うのは今回初めて知りました。英国にはスクーター作る会社が無いんだ。そういう風俗の姿も実は社会環境を反映しているのだということが、この映画ではよく分かってしまう。モッズだロックだと粋がってみても、所詮同じ労働者階級のあがきでしかないのだ。そういう事を描いているだけで、結論が無い。やれやれ、と公開時に映画館で観た人は帰り道に思っただろう。

フーの唄も映画の中でかかるが、今聞くと、なんて幼い歌詞なんだとびっくりする。ロックって、もっとプロテストするもののはずじゃなかったんだろうか？と思ってしまうのです。

さらば青春の思い出。そういう映画だ。
二度と観ないだろう。

モッズをこよなく愛する若者たちの青春映画。
ジャケットもお洒落で、ＣＤの盤面にモッズ・ムーブメント
ロゴのロゴとして用いられた、“ラウンデル”が大きく描か
れていているのもグッドデザインで好印象。

モッズの歴史を全く知らなかった私にとって、この作品で
見せるモッズライフは新鮮味があり、実話も含まれた内容に
元祖モッズの時代背景を断片ながらも知ることができて良かったです。
映画としても、ラストの映像がとても綺麗で見入ってしまいました。

本作を見るまで私が勝手にもっていたモッズのイメージでは
髪型、音楽、服装、バイク、どれをとっても優等生なイメージ
だったので、ロッカーと一悶着起こすやんちゃな彼らを見て
驚きました。
ミリタリーコート（踊る青島さんのアレです）が防寒着、
シャツはフレッドペリー、愛車はスクーターなんてのは、
高校時代にそれを好んでいた友人らのファッションで知って
いましたが、日本のヤンキーも“どこの同業者や！？”と
言わんばかりの、ベスパやランブレッタに施す装飾は、
この映画を見て初めて知りました。
Ｇパンに多少のこだわりがある方なら、主人公がＧパンをよく
見せようとする仕草に笑みがこぼれると思います。
私は、主人公とは全く逆のスタイルだったので、Ｇパンをあの
ようにしてしまうのは今でもご法度ですが・・。

主人公の見た目はＴＶ栄えすることないのですが、
モッズスピリットを見ていく中でどんどん格好良く見えて
しまうのが不思議です。おっ。こいつ荒削りながらもなかなか
自分をもっていやがるな。と感心しちゃいます。はい、上から目線。

彼のような裏のない性格も決して嫌いではないのですが、
やはり締めるとこはきっちりと締める！といっためりはりが
ないと、その格好良さがただの自己中心的な野郎になっちゃうので、
自分の大切なものを守るために、現代社会の波に乗るエース役
のスティングの行動は、決して妥協には見えなかったです。
（出勤するバイクがドノーマルであれば、それこそ彼は妥協者です。）

モッズ好きな方やモッズに足を踏み入れようとする方々へ。
本作を見て、We are Mods!!!と叫んでみてください♪

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ザ・フーのアルバム『四重人格』を原作として製作された、フランク・ロッダムの作品で、1960年代のブライトンを舞台にモッズとロッカーズの対立と青春の苛立ちを描いた名作である。

ドラッグに溺れ、友人や仕事、家族を失い、遂には憧れの存在 にも失望、主人公のやるせない絶望感がドラマティックに描かれる。鬱屈とした重苦しい時間の末、主人公が出した結論はあまりに救いがないのだけど。その衝動的な行動は何やら爽快ですらある。

モッズのお約束のベスパやフレッドペリーのポロシャツ、米軍放出のグリーンコート、三つボタンの極端に短いボックスジャケットと細身のストレートパンツなど、全てがクールで今見てもヴィヴィットだ。ちなみにモッズとは「モダーンズ」の略で、こういうファッションとキレのいい音楽を愛した奴らという意味らしい。

またザ・ポリスのいとしのスティングが、モッズのリーダーのエース役で登場。彼の整形前の少し団子な鼻が見れるのも注目。

こういう思春期の閉塞感は、大人になったら遠い日の思い出になると思っていた。いや、確かに今見ると青くさいなあと思う場面もあるんだけど。
それでもいまだこの映画に眉を潜めるような、良識ある大人にはなれてない。もしかしたら、どんな真っ当なサラリーマンや貞淑な奥様でも「盗んだバイクで走り出す」尾崎豊的衝動が心の奥底に眠ってるのかな。

ちなみにラストシーンの断崖絶壁セブンシスターズは、イギリスでは自殺の名所として有名。

モッズ映画の代名詞のようにいわれる映画なのですがパンツの穴みたいなD.T.映画で驚きました。

モッズアイテムと音楽はカッコいいですよ。