悪の華 / ナタリー・バイ
悪の華
/クロード・シャブロル
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全体の平均評価点: (5点満点)
(11)
解説・ストーリー
2010年にこの世を去ったヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、クロード・シャブロル監督によるサスペンスドラマ。第二次大戦末期のボルドー地方に暮らすブルジョア一族・ヴァスール家。ある日送られて来た1枚の中傷ビラにより、一家の悪の顔が暴かれる。
2010年にこの世を去ったヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、クロード・シャブロル監督によるサスペンスドラマ。第二次大戦末期のボルドー地方に暮らすブルジョア一族・ヴァスール家。ある日送られて来た1枚の中傷ビラにより、一家の悪の顔が暴かれる。
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「悪の華」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
2010年にこの世を去ったヌーヴェル・ヴァーグの巨匠、クロード・シャブロル監督によるサスペンスドラマ。第二次大戦末期のボルドー地方に暮らすブルジョア一族・ヴァスール家。ある日送られて来た1枚の中傷ビラにより、一家の悪の顔が暴かれる。
「悪の華」 の作品情報
「悪の華」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
悪の華の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
104分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/フランス語 |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DABR4096 |
2011年12月02日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
8枚
|
0人
|
0人
|
悪の華の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
104分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/ステレオ/フランス語 |
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DABR4096 |
2011年12月02日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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8枚
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ユーザーレビュー:11件
フランス版「犬神家の一族」
投稿日:2011/12/11
レビュアー:忙中有閑
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
なんかクロード・シャブロル監督の追っかけやってるみたいな気がして来ましたが、単なる「成り行き」です(笑)。最近ちょっとフランス映画意識的に観るようになってるところに、何故か「新作」でシャブロル作品がどんどん出て来るんですね(晩年の作品が多いようですが)。それにしてもこの作品は「シャブロル的」なのか「フランス映画的」なのか知りませんが、とにかく英米や日本の現代映画とは「世界」がまるで違うんですね。「フランスの田舎(ボルドー)」では「ブルジョワ」という社会的、経済的「階級」が今なお厳然と存在していて、オハナシはその「名家」を舞台にした「ホームドラマ」なんですが、この家族関係が矢鱈ややこしい。
この先は完全にネタバレです(ネタバレしないことにはレビュー書けない作品なんです)。未見の方は作品を先に鑑賞下さい。あ、言っときますけどボードレールの詩集とはこの作品は一切関係ありません、念のため。
当主のジェラール、その妻アンヌは共に子連れ同士の再婚でジェラールの息子フィリップとアンヌの娘ミシェルは愛し合ってるし、ジェラールは手当たり次第に浮気するし、アンヌは市長選に立候補していて選挙参謀のマチューと妖しい関係。さらにアンヌの元夫はジェラールの兄で、この男なんとジェラールの元妻と一緒に自動車事故で死亡(不倫心中?)している。つまりフィリップとミシェルは義理の兄妹なのか畑違いの兄妹なのかハッキリしないという関係なんですね。それだけでもアタマ混乱しそうなのに、この家族と同居しているミシュリーヌ叔母さんという老婆(アンヌの父親の妹)が終盤俄然重要人物としてクローズアップされるんですが、このヒトがまた凄い。父親(アンヌの祖父)はナチ占領下のヴィシー政権の高官で、レジスタンスに走った実の息子(アンヌの父親、ミシュリーヌの兄)を逮捕させて死刑にした「極悪人」らしいんですが、ミシュリーヌは兄を愛していて(どうも尋常な愛し方じゃ無かったみたいで)父親を憎悪して殺したらしい。と、まぁ横溝正史「犬神家の一族」も真っ青の異常な(我々非フランス人にとっては)世界ですが、この複雑怪奇な事情は殆どアンヌの選挙戦の最中に市中に流れた「怪文書」とミシュリーヌの断片的な昔語りによってサラっと説明されるだけで、なんかまるで「フランスの田舎のブルジョア」にはこの程度の「退廃」や「悪」は珍しくも無い、とでも言いたげな素っ気無さです。「不倫」「近親姦」などの「退廃的」恋愛形態が全然「常識外れ」じゃ無い(らしい)。そしてオハナシの中心は飽くまでフィリップとミシェルの「恋愛」とジェラールに対するフィリップ、ミシェル、ミシュリーヌの「父親憎悪」なんですが、両方とも敢えて「掘り下げ」はしていない。それが「フランス映画流儀」または「シャブロル流儀」なんでしょうかね?
「血縁(家族)」と「恋愛」ってつまり人間の最大関心事で、世界中の殆ど全ての映画がそれをテーマにしてるワケですが、その二つの点においてこれだけ「特異」な世界は、そのまま描いてもそれだけでそれなりの「作品」になっちゃう。この映画確かに面白いんですけど、観終わって何の感動も残らなかったですね、私は。
週刊誌の「実話」記事読んだ後みたいで、「へぇ〜、そうなの」って「だけ」の映画でしたねぇ。
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3人の会員が気に入ったと投稿しています
毒の実をつける徒花
投稿日:2013/01/15
レビュアー:ひろぼう
シャブロルの物語の特徴は何気なさにあると思う。妖しげな秘密を隠し持つ一族の血の呪いを描写した本作でさえ、実に軽やかに時にユーモアまで漂わせて伝えてくれる。
その何気なさが強調する毒もまたシャブロルの、らしさ。隠し事を持つ人たちの平静を装う様を陰湿にならないような気軽さで描写し、狙い澄ましたように垣間見せるほころびの深さにハッとさせられるのだ。
本作で毒の華となるのは老婆リーヌ。生粋のブルジョワである彼女の生い立ちにはナチス・ドイツが作った闇も加わり、淫靡な香りがむせ返るように臭いたつ。リーヌの陰に対する陽は若きカップル、フランソワとミシェル。リーヌと二人の橋渡し役がジェラールとアンヌであろう。物語の軸となるのはアンヌの選挙を妨害した怪文書だが、あくまでも案内役として控え、でしゃばることなくその顛末はどうでもよくなる。人物像の掘り下げを優先し、些細な(と言ってよいだろう)出来事なんてほったらかしにするのも、またシャブロルらしさと言える。
怪文書以外にも明らかにされない出来事は幾つかある。それが作品の質を落とすかと言えばそうではなく、もちろん筋書きに破綻などなく、エンディングの先を想像させ物語を反芻する余韻を醸成してくれるのだ。鑑賞者の想像が付け入るすきを巧妙に用意する、それもまたシャブリ、もといシャブロルの味なのだと思う。
私が本作に足りないと思ったのはエロスである。祖父と父にある卑猥さを、若い二人が打ち消すからだろうか。それとも、リーヌの回想がセリフのみなのが物足りなかったのかもしれない。
物語にはっきりとした起承転結を求める方には不向きな作品です。
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2人の会員が気に入ったと投稿しています
退廃を退廃に見せない洗練
投稿日:2012/12/31
レビュアー:港のマリー
市長選の有力候補者アンヌ・シャルパン・ヴァスール女史の家庭の秘密。複雑なのでちょっと、整理してみます。
土地の名門、シャルパン家出身のアンヌ は同じく裕福な名門ヴァスール家の次男の結婚したが、夫と長男の妻(義理の姉)が交通事故で死亡(おそらく不倫ドライブ中)、その後、長男のほう、つまり義理の兄ジェラールと結婚。不倫された者同士、一族間で再婚したわけです。
そんな事情でか、夫婦はしっくりいかず、アンヌは政治活動に熱中することで救いを見いだし、ジェラールは女と見れば手当たり次第、淫蕩にふける。冒頭、気怠いシャンソンに乗って登場する死体は彼です。
アンヌの連れ子がミシェル、ジェラールの連れ子がフランソワ、二人はいとこ同士であり、かつ義理の兄妹なのですが、ジェラールの母は、アンヌの夫と不倫をしていたわけですから、フランソワの父親はジェラールではなく、アンヌの夫、つまりミシェルとは「異母兄妹」の可能性が示唆されています。まあほぼ確実に兄と妹。
この兄妹が一線を超えて愛し合う。
さらにシャルパン家にも過去にスキャンダルがあり、これはフランス人の歴史的な心の傷、第二次世界大戦下でのドイツとの関係に関したもの。
アンヌの祖父、そして本作のキーパーソンとなるリーヌ叔母の父は親ドイツ政府の高官で、レジスタンスを弾圧、レジスタンスに加わった実の息子も密告して殺させたが、その祖父も誰かに殺害された。リーヌ叔母が犯人と目されたが不起訴。
この叔母さんの最後の告白によると、レジスタンスの兄とはやはり近親相姦的な愛で結ばれていた、だから父を許せなかったと。
これらの事情を選挙戦につきものの「怪文書」の内容として、一挙に知らせるところが上手い。
殺人と近親相姦がアクセントとなる、三代にわたるブルジョワ一族のどろどろに濃い、道を踏み外した愛憎を、「犬神家の一族」や「悪魔が来たりて笛を吹く」みたいにせずに、品よくさらりと日常的に見せる技が見事です。
正直なところ、一家の雰囲気にそれほどおどろおどろしい「悪」は感じなかったし、若い二人が結ばれるのも自然な感じでした。
もしや、殺したいほどの憎悪が渦巻き、実際家庭内殺人が起き、兄嫁との不倫、近親相姦までが続く一族の退廃を、悪臭立ちこめ目を背けたくなるような、いかにもの退廃として描かないことこそ、真に成熟した退廃文化なのかもしれませんね。
フランス映画おそるべし。
アンヌの選挙活動、とくに低賃金アパートへの戸別訪問は面白かった、をはさんで一族を外から見るシニカルな視点を入れたことがよかったと思います。
時間は流れない、永遠の今が続くだけ、という、リーヌ叔母さんの気持ちはよくわかる。誰しもその時で時間が止まってしまったと感じる経験があるものです。
殺人事件が事件として認知される前に映画は終わるのですが、さて、リーヌ叔母さんの時間は再び動き出すのでしょうか。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
怪しい人びと
のっけから死体で始まります。りっぱな邸宅。優雅な音楽に、テーブルを整える老婦人、階段、そして・・・死体。「え?」と面食らった瞬間、画面はパッと着陸するエールフランスの映像に切り替わります。
ここから華麗なる一族の面々が次々にご登場・・・となるんだけど、これがもう、とにかくややこしい。
父ジェラールと母アンヌはともに再婚。
兄のフランソワは父の連れ子で、妹のミシェルは母の連れ子。
しかもジェラールの元妻とアンヌの元夫は、同じ自動車の中で事故死している(!)。
さらにアンヌの両親は飛行機事故で死んでいて(!!)、伯父のフランソワは実父である祖父に殺され(!!!!)、その祖父もなんと殺されている(!!!!!)。結局、不起訴となったものの、容疑者としてあがっていたのは実の娘、叔母のミシュリーヌ(!!!!!!)。
な、なんだ?この呪われた一族は。不自然な死人が多すぎるわ!とりあえず一旦停止して、相関図をまとめなくちゃ。。
と、表面の優雅さとはかけ離れた真っ黒い歴史を持つこの一族。怪しいのは、もちろんその歴史だけではない。
母アンヌと仕事上の右腕マチューの何となく怪しい関係。義理の兄妹フランソワとミシェルの禁忌的な関係。その息子と娘に執拗なほど憎まれている父ジェラールの絶倫好色オヤジっぷり。
そして何といっても最も怪しいのが、その一家にあって一番楽しそうなリーヌ叔母さん。そう、実父殺しの罪に問われ、不起訴になった、あのミシュリーヌ。
若い兄妹フランソワとミシェルの禁断の関係を手放しで応援し、2人が一線を越えてからは、一段と嬉々とし始めたリーヌ叔母さん。まるで「これこそわが一族!」と、その気高き血の継承を賛美しているかのように。。。
そして映画は、冒頭のシーンへとつながっていきます。
最初に観た老婦人はリーヌだったのですね。別室に死体の横たわる屋敷で、鼻歌を唄いながらテーブルを整える彼女の姿が目に焼きついて離れません。
シャブロル監督作品が面白くてとまりません。順番が前後してしまいましたが、次は『甘い罠』を観ます。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
シャブロルって面白い
尊敬するレビュアー諸氏の文章を拝見する度に興味が湧くシャブロル作品ですが、難解そうで敷居が高い印象が拭えず、ついつい尻込みしていました。
しかし…フランス版「犬神家の一族」…のタイトルに背中を押され、ようやくこれが初体験となりました。
ミステリーともサスペンスともメロドラマとも言える、何とも不可思議な印象。
冒頭、訳ありげな死体を見せておきながら、その後謎解きをするで無く、いつの間にかその存在すら忘れさせてしまう展開。
登場人物の複雑怪奇な相関図は把握するのもひと苦労で、おまけに叔母さんの思い出す過去に益々複雑な様相を呈する始末。
笑顔が可愛い叔母さんのよく考えれば鳥肌ものの過去も、極く自然に語られる。
愛し合う義兄妹の振る舞いも、周囲は当然の如く受け入れる。
おんなには手当たり次第の父親も、選挙参謀と何やら妖しげな(実はそうでは無いと思うんですが)母親も、別に特別な存在には描かれない。
一見優雅なブルジョワ家庭の笑顔の下のドロドロは極まっている筈なのに、彼等は表面上それをさらりと受け流し、悲壮感さえ匂わさない。
で、ようやく冒頭の「死体」に辿り着いたのに、何の解決も示さない。
「決着」は二人と叔母さんの中に有り、観客はつんのめったまま、余韻の中に置き去りにされたまま。
でもこの「置き去り」が妙に不思議で快感なんですね。
叔母さんの思う通りになればいい、気付けば、叔母さんの笑顔が凄く好きになっているんですね。
「好き」と言えば、妹の崩れて生々しい唇と胸元も好きになりました。
「犬神家の一族」もフランス版だと肩の力が抜けますね。
シャブロルって面白い。
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2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
フランス版「犬神家の一族」
投稿日
2011/12/11
レビュアー
忙中有閑
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
なんかクロード・シャブロル監督の追っかけやってるみたいな気がして来ましたが、単なる「成り行き」です(笑)。最近ちょっとフランス映画意識的に観るようになってるところに、何故か「新作」でシャブロル作品がどんどん出て来るんですね(晩年の作品が多いようですが)。それにしてもこの作品は「シャブロル的」なのか「フランス映画的」なのか知りませんが、とにかく英米や日本の現代映画とは「世界」がまるで違うんですね。「フランスの田舎(ボルドー)」では「ブルジョワ」という社会的、経済的「階級」が今なお厳然と存在していて、オハナシはその「名家」を舞台にした「ホームドラマ」なんですが、この家族関係が矢鱈ややこしい。
この先は完全にネタバレです(ネタバレしないことにはレビュー書けない作品なんです)。未見の方は作品を先に鑑賞下さい。あ、言っときますけどボードレールの詩集とはこの作品は一切関係ありません、念のため。
当主のジェラール、その妻アンヌは共に子連れ同士の再婚でジェラールの息子フィリップとアンヌの娘ミシェルは愛し合ってるし、ジェラールは手当たり次第に浮気するし、アンヌは市長選に立候補していて選挙参謀のマチューと妖しい関係。さらにアンヌの元夫はジェラールの兄で、この男なんとジェラールの元妻と一緒に自動車事故で死亡(不倫心中?)している。つまりフィリップとミシェルは義理の兄妹なのか畑違いの兄妹なのかハッキリしないという関係なんですね。それだけでもアタマ混乱しそうなのに、この家族と同居しているミシュリーヌ叔母さんという老婆(アンヌの父親の妹)が終盤俄然重要人物としてクローズアップされるんですが、このヒトがまた凄い。父親(アンヌの祖父)はナチ占領下のヴィシー政権の高官で、レジスタンスに走った実の息子(アンヌの父親、ミシュリーヌの兄)を逮捕させて死刑にした「極悪人」らしいんですが、ミシュリーヌは兄を愛していて(どうも尋常な愛し方じゃ無かったみたいで)父親を憎悪して殺したらしい。と、まぁ横溝正史「犬神家の一族」も真っ青の異常な(我々非フランス人にとっては)世界ですが、この複雑怪奇な事情は殆どアンヌの選挙戦の最中に市中に流れた「怪文書」とミシュリーヌの断片的な昔語りによってサラっと説明されるだけで、なんかまるで「フランスの田舎のブルジョア」にはこの程度の「退廃」や「悪」は珍しくも無い、とでも言いたげな素っ気無さです。「不倫」「近親姦」などの「退廃的」恋愛形態が全然「常識外れ」じゃ無い(らしい)。そしてオハナシの中心は飽くまでフィリップとミシェルの「恋愛」とジェラールに対するフィリップ、ミシェル、ミシュリーヌの「父親憎悪」なんですが、両方とも敢えて「掘り下げ」はしていない。それが「フランス映画流儀」または「シャブロル流儀」なんでしょうかね?
「血縁(家族)」と「恋愛」ってつまり人間の最大関心事で、世界中の殆ど全ての映画がそれをテーマにしてるワケですが、その二つの点においてこれだけ「特異」な世界は、そのまま描いてもそれだけでそれなりの「作品」になっちゃう。この映画確かに面白いんですけど、観終わって何の感動も残らなかったですね、私は。
週刊誌の「実話」記事読んだ後みたいで、「へぇ〜、そうなの」って「だけ」の映画でしたねぇ。
毒の実をつける徒花
投稿日
2013/01/15
レビュアー
ひろぼう
シャブロルの物語の特徴は何気なさにあると思う。妖しげな秘密を隠し持つ一族の血の呪いを描写した本作でさえ、実に軽やかに時にユーモアまで漂わせて伝えてくれる。
その何気なさが強調する毒もまたシャブロルの、らしさ。隠し事を持つ人たちの平静を装う様を陰湿にならないような気軽さで描写し、狙い澄ましたように垣間見せるほころびの深さにハッとさせられるのだ。
本作で毒の華となるのは老婆リーヌ。生粋のブルジョワである彼女の生い立ちにはナチス・ドイツが作った闇も加わり、淫靡な香りがむせ返るように臭いたつ。リーヌの陰に対する陽は若きカップル、フランソワとミシェル。リーヌと二人の橋渡し役がジェラールとアンヌであろう。物語の軸となるのはアンヌの選挙を妨害した怪文書だが、あくまでも案内役として控え、でしゃばることなくその顛末はどうでもよくなる。人物像の掘り下げを優先し、些細な(と言ってよいだろう)出来事なんてほったらかしにするのも、またシャブロルらしさと言える。
怪文書以外にも明らかにされない出来事は幾つかある。それが作品の質を落とすかと言えばそうではなく、もちろん筋書きに破綻などなく、エンディングの先を想像させ物語を反芻する余韻を醸成してくれるのだ。鑑賞者の想像が付け入るすきを巧妙に用意する、それもまたシャブリ、もといシャブロルの味なのだと思う。
私が本作に足りないと思ったのはエロスである。祖父と父にある卑猥さを、若い二人が打ち消すからだろうか。それとも、リーヌの回想がセリフのみなのが物足りなかったのかもしれない。
物語にはっきりとした起承転結を求める方には不向きな作品です。
退廃を退廃に見せない洗練
投稿日
2012/12/31
レビュアー
港のマリー
市長選の有力候補者アンヌ・シャルパン・ヴァスール女史の家庭の秘密。複雑なのでちょっと、整理してみます。
土地の名門、シャルパン家出身のアンヌ は同じく裕福な名門ヴァスール家の次男の結婚したが、夫と長男の妻(義理の姉)が交通事故で死亡(おそらく不倫ドライブ中)、その後、長男のほう、つまり義理の兄ジェラールと結婚。不倫された者同士、一族間で再婚したわけです。
そんな事情でか、夫婦はしっくりいかず、アンヌは政治活動に熱中することで救いを見いだし、ジェラールは女と見れば手当たり次第、淫蕩にふける。冒頭、気怠いシャンソンに乗って登場する死体は彼です。
アンヌの連れ子がミシェル、ジェラールの連れ子がフランソワ、二人はいとこ同士であり、かつ義理の兄妹なのですが、ジェラールの母は、アンヌの夫と不倫をしていたわけですから、フランソワの父親はジェラールではなく、アンヌの夫、つまりミシェルとは「異母兄妹」の可能性が示唆されています。まあほぼ確実に兄と妹。
この兄妹が一線を超えて愛し合う。
さらにシャルパン家にも過去にスキャンダルがあり、これはフランス人の歴史的な心の傷、第二次世界大戦下でのドイツとの関係に関したもの。
アンヌの祖父、そして本作のキーパーソンとなるリーヌ叔母の父は親ドイツ政府の高官で、レジスタンスを弾圧、レジスタンスに加わった実の息子も密告して殺させたが、その祖父も誰かに殺害された。リーヌ叔母が犯人と目されたが不起訴。
この叔母さんの最後の告白によると、レジスタンスの兄とはやはり近親相姦的な愛で結ばれていた、だから父を許せなかったと。
これらの事情を選挙戦につきものの「怪文書」の内容として、一挙に知らせるところが上手い。
殺人と近親相姦がアクセントとなる、三代にわたるブルジョワ一族のどろどろに濃い、道を踏み外した愛憎を、「犬神家の一族」や「悪魔が来たりて笛を吹く」みたいにせずに、品よくさらりと日常的に見せる技が見事です。
正直なところ、一家の雰囲気にそれほどおどろおどろしい「悪」は感じなかったし、若い二人が結ばれるのも自然な感じでした。
もしや、殺したいほどの憎悪が渦巻き、実際家庭内殺人が起き、兄嫁との不倫、近親相姦までが続く一族の退廃を、悪臭立ちこめ目を背けたくなるような、いかにもの退廃として描かないことこそ、真に成熟した退廃文化なのかもしれませんね。
フランス映画おそるべし。
アンヌの選挙活動、とくに低賃金アパートへの戸別訪問は面白かった、をはさんで一族を外から見るシニカルな視点を入れたことがよかったと思います。
時間は流れない、永遠の今が続くだけ、という、リーヌ叔母さんの気持ちはよくわかる。誰しもその時で時間が止まってしまったと感じる経験があるものです。
殺人事件が事件として認知される前に映画は終わるのですが、さて、リーヌ叔母さんの時間は再び動き出すのでしょうか。
怪しい人びと
投稿日
2012/12/07
レビュアー
みみ
のっけから死体で始まります。りっぱな邸宅。優雅な音楽に、テーブルを整える老婦人、階段、そして・・・死体。「え?」と面食らった瞬間、画面はパッと着陸するエールフランスの映像に切り替わります。
ここから華麗なる一族の面々が次々にご登場・・・となるんだけど、これがもう、とにかくややこしい。
父ジェラールと母アンヌはともに再婚。
兄のフランソワは父の連れ子で、妹のミシェルは母の連れ子。
しかもジェラールの元妻とアンヌの元夫は、同じ自動車の中で事故死している(!)。
さらにアンヌの両親は飛行機事故で死んでいて(!!)、伯父のフランソワは実父である祖父に殺され(!!!!)、その祖父もなんと殺されている(!!!!!)。結局、不起訴となったものの、容疑者としてあがっていたのは実の娘、叔母のミシュリーヌ(!!!!!!)。
な、なんだ?この呪われた一族は。不自然な死人が多すぎるわ!とりあえず一旦停止して、相関図をまとめなくちゃ。。
と、表面の優雅さとはかけ離れた真っ黒い歴史を持つこの一族。怪しいのは、もちろんその歴史だけではない。
母アンヌと仕事上の右腕マチューの何となく怪しい関係。義理の兄妹フランソワとミシェルの禁忌的な関係。その息子と娘に執拗なほど憎まれている父ジェラールの絶倫好色オヤジっぷり。
そして何といっても最も怪しいのが、その一家にあって一番楽しそうなリーヌ叔母さん。そう、実父殺しの罪に問われ、不起訴になった、あのミシュリーヌ。
若い兄妹フランソワとミシェルの禁断の関係を手放しで応援し、2人が一線を越えてからは、一段と嬉々とし始めたリーヌ叔母さん。まるで「これこそわが一族!」と、その気高き血の継承を賛美しているかのように。。。
そして映画は、冒頭のシーンへとつながっていきます。
最初に観た老婦人はリーヌだったのですね。別室に死体の横たわる屋敷で、鼻歌を唄いながらテーブルを整える彼女の姿が目に焼きついて離れません。
シャブロル監督作品が面白くてとまりません。順番が前後してしまいましたが、次は『甘い罠』を観ます。
シャブロルって面白い
投稿日
2012/01/03
レビュアー
まりこ
尊敬するレビュアー諸氏の文章を拝見する度に興味が湧くシャブロル作品ですが、難解そうで敷居が高い印象が拭えず、ついつい尻込みしていました。
しかし…フランス版「犬神家の一族」…のタイトルに背中を押され、ようやくこれが初体験となりました。
ミステリーともサスペンスともメロドラマとも言える、何とも不可思議な印象。
冒頭、訳ありげな死体を見せておきながら、その後謎解きをするで無く、いつの間にかその存在すら忘れさせてしまう展開。
登場人物の複雑怪奇な相関図は把握するのもひと苦労で、おまけに叔母さんの思い出す過去に益々複雑な様相を呈する始末。
笑顔が可愛い叔母さんのよく考えれば鳥肌ものの過去も、極く自然に語られる。
愛し合う義兄妹の振る舞いも、周囲は当然の如く受け入れる。
おんなには手当たり次第の父親も、選挙参謀と何やら妖しげな(実はそうでは無いと思うんですが)母親も、別に特別な存在には描かれない。
一見優雅なブルジョワ家庭の笑顔の下のドロドロは極まっている筈なのに、彼等は表面上それをさらりと受け流し、悲壮感さえ匂わさない。
で、ようやく冒頭の「死体」に辿り着いたのに、何の解決も示さない。
「決着」は二人と叔母さんの中に有り、観客はつんのめったまま、余韻の中に置き去りにされたまま。
でもこの「置き去り」が妙に不思議で快感なんですね。
叔母さんの思う通りになればいい、気付けば、叔母さんの笑顔が凄く好きになっているんですね。
「好き」と言えば、妹の崩れて生々しい唇と胸元も好きになりました。
「犬神家の一族」もフランス版だと肩の力が抜けますね。
シャブロルって面白い。
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悪の華