栄光のル・マン

1971年　アメリカ映画
原題：LE　MANES

スティーヴ・マックイーンのこだわりがぎゅっと詰まったカーレース映画「栄光のル・マン」。“栄光の”を付けずとも充分にル・マンの魅力が伝わって来る。私は原題のままでいいように思う。とにかく余計なストーリーをそぎ落とし、レースそのものにスポットを当てて作られた作品で、実際にマックイーンはそれを望んでプロデュースし、当初の監督だったジョン・スタージェスとの意見の食い違いで衝突したという。アメリカではあまり評価されなかったらしいが、日本のマニアにはかなり嬉しい作品になったのも事実だろう。
マックイーン自身、台詞は最小限に抑え、それがまた過酷なレースのシビアな感じがよく出ている。スタート直前の緊張感は言葉にできない程で、観ている側の心拍数も上がってくる程だった。「グランプリ」もそうだった様に、本作においてもCGを使っていない本物のカー・レース映画と言え、もし現代でCGを使って作ったらここまでの本物の臨場感が出ていただろうか。下手したら単なる“作り物”になっていたかもしれない。
ハンドルさばきはプロ級の腕前なのは自他共に認めるところで、マックイーンは実際にこのル・マンレースに出場を希望していたとか。マシンに詳しくない私でもここまで引っ張られるのだから、車好きには堪らない映画だと思う。ポルシェとフェラーリのエンジン音の違いも見（聴き）どころらしい。
冒頭のフランスの郊外の雰囲気がお洒落で居心地良く、この部分はこれから始まるル・マンレースの嵐の前の静けさを予兆させる。

ル・マンというのはパリの南西約２００キロにある小都市の名前だそうです。全長約１３．５キロのサーキット場を、２４時間走りきる．．．想像を絶する体力と忍耐力です。

セミ・ドキュメンタリーなタッチで製作されたこの作品は、レース映画としては非常に貴重な一作で、伝説のスーパー・スターであるＳ・マックィーンともあわせて、永久保存版としてもおすすめです。

実際のレース場面には、１０数人のプロ・レーサーが特別出演し、マシンの映像や、荒れた天候とも闘う男たちの表情など、カメラ演出も素晴らしい。

開始20分頃、会場の関係者用の廊下の奥の暗闇からレースユニフォームで颯爽と登場するシーンから最後のレース後、ライバルに指で合図するポーズまで如何にマックィーンを格好良く見せるかに徹底していてファンには堪らない超クールな作品なのだ。リアリティ重視の余り過去のライバル、ポール・ニューマンの「レーサー」、ジェームス・ガーナーの「グランプリ」の様な彼には余計で不自然な男女のドラマ等を排除してレースシーンのみに貫徹したスタイルが如何にもマックィーンらしくて好感が持てる。当初組む予定の「大脱走」のジョン・スタージェスが余りにドラマ性が無さ過ぎると抗議したので衝突してクビにしてしまったのは結果的に正解だと思う。スタージェスは「大脱走」後は燃え尽きたかの様にその後の作品は殆どロクなものが無く、このまま組んでいても大失敗した可能性は高い。故にマックィーンファンでないと特には好きにはなれない作品だろう。アメリカではコケて不評だったそうだがファンが多い日本では大ヒットしたのは納得である。なのにこの際の写真で日本の企業と無断使用の肖像権で裁判沙汰となりその為に来日したのは残念な限りだった。

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24時間耐久レースの映画。セミ・ドキュメントとして製作されてるようです。
ただ、女性との絡み（恋愛）との進行なのですが、私的にはレースだけで十分だったように思う。

一瞬の気のゆるみや脇見が大きな事故につながる…そんな怖い場面が一杯。
それだけに自分も運転する時は慎重に運転しなければと反省。

ステーブ・マックイーンの若い事。『パピオン』のマックも格好いいけれど、今回のマックも格好いいですよ。

モータースポーツに知識がないので、冒頭のアナウンスは勉強になった。
さて、ドキュメンタリーなので興味があるテーマか俳優とかでないと、
正直面白くないのかもしれない。
２４時間の耐久レースの中で、チームとレースを愛する情熱の男たち。
淡々としているのですごく感情移入ができるわけではないが、きっと
この独特の緊張感と命を懸けている男の渋さは伝わるのではないだろうか。