ニューヨーク１９９７

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　レヴュアーの贔屓、ジョン・カーペンター監督の初期の傑作です。この作品が制作された時点から１５、６年ほど未来の設定、だいたい８０年代のＳＦというと近未来は酸性雨が降り続いていたり、治安の低下が凄くて禄でもない世界というのが通り相場ですが、この作品もそれに漏れないマンハッタン島全部を刑務所にして囚人を放り込んだら後はかってにさせておくというトンデモナイ状況になっております。
　そんなマンハッタンへ大統領専用機が墜落。大統領は脱出するも囚人達の人質になってしまいます。そこで大統領救出に白羽の矢が立ったのが元特殊部隊員で終身刑で服役しているスネーク・プリスキン（カート・ラッセル）。アイパッチをした実にふてぶてしい面構えであります。で、この主人公に大統領救出を命じるのが懐かしいリー・ヴァン・クリーフ（役名忘れました。確か刑務所の所長だったと思います。）で、荒っぽいことにいきなり時限爆弾だったか時間が経つと発症するウィルスだったかを注射して２４時間以内に戻らないと死んじゃうと告げてマンハッタン島へ放り出すというのが出だしです。
　とにかく出てくる人物がワルばっかりというのが却って爽快です。大統領も例外でなく、演じているのがドナルド・プレザンスですからマトモかどうか分からない。従ってスネークの任務自体、彼自身の命がかかっているから仕方なしに助けるというノリで、事態はどんどん混乱の度合いを深めていきます。さて、主人公の運命は、というところでストーリーの紹介は終わりとさせていただいます。
　プロット自体は以上のように単純ですから、見所は刑務所にされたマンハッタン島の住人（囚人）の凶悪さとかスネークがどうやって彼らを出し抜いていくかとか、風景というか美術のセンスとかそういったところになります。この辺りが感性にマッチするかそうでないかで面白いかどうかの分かれ目になります。私は監督のセンスにこの作品と次の『遊星からの物体Ｘ』ではまってしまったので、これ以降できるだけ見るようにしています。
　初期の作品には本作を含めて、かなり観客を選ぶものが多かったと思いますが、『光る眼』あたりからセンスはあまり変わらずに演出の腕前が上がっていますので、初めてご覧になる方はそういった作品から逆に見ていくのもひとつの手かと思います。

派手なアクションシーンはほとんどカット、予算の無さがうかがえるしょぼい特撮やセット等Ｂ級感たっぷりなんですが、うまいというか、真剣に熱意をもって作ってるのが伝わってくるので見る側が想像力で補えればものすごくいい世界観を味わえる不思議な魅力のある監督だと思います。

カートラッセル、若くて精悍でかっこいいです、スネークのキャラはちょっとまんがっぽいですが、渋くて強くてちょっとおまぬけでひねくれててやっぱり良いです。

脇役も名キャラ揃い、

スネークを嵌めて利用する冷徹なプロながらスネークに対する好感が垣間見える署長役リーバンクリーフ、西部劇で渋い演技を見せていた方ですね。

スネークのファンだった為事件に巻き込まれる気のいいタクシーの運ちゃんにアーネストボーグナイン、独特で怪異な風貌から北国の帝王の怖い敵役や魔鬼雨の悪魔的役から、屈託の無い笑顔でワイルドバンチなどの好漢からポセイドンアドベンチャーの短気なおっさんまで幅広い演技を見せてくれて好きです。

大統領役ドナルドブレザンス、００７の敵役、大脱走でやられちゃう人、コロンボのワインの話しなどで印象深いです、そしてハロウィンシリーズ、名優さんなのに２以降つまらなくなったシリーズに最後まで出続けたのは不思議ですが、いい人なんでしょうか。でも大統領って感じじゃないすね。

スネークを利用して刑務所脱出を計るブレインにハリーディーンスタントン、エイリアンで最初に襲われる帽子の人ですよね、

壮烈な最期を見せるブレインの恋人役の人はザ、フォッグの人。

みんないい味出してます。

刑務所内のストーリーなので銃器は主人公が持ち込んだ銃と刑務官の装備のみで、囚人はボウガンなどで武装してるのですが、スネークの持つ何故かライフルスコープの付いたサブマシンガン、イングラムがかっこよくて好きでした、拳銃は多分ステンのコンバットマグナム、こちらもスコープ付きで要所で炸裂。意味は無くともこのスコープ付きなのが近未来っぽくかっこいいのです。

カートラッセル演じるスネークが良い。片目の眼帯も渋い。初っ端、大統領を救い出すよう命令する刑務所の所長との会話など、立場上却下されるのが分かりきっているのに精一杯の強がりを言ってみて、結局応じざるを得ないやり取りなど、可愛らしくもある。

少し古い映画なんで、アクションや効果がショボかったり、画面が薄暗かったりはするけど、随所にカーペンターらしいB級臭さが見え隠れして、色んな意味で楽しめる映画です。いきなりストロング金剛みたいなのと戦ったりね。

それにしても、スネークの腹にヘビが入れ墨されてるんだけど、最初クエスチョンマークにしか見えず笑った。なんでこいつは全身で疑問を表しているのかと。自分だけかな？

1981年製作・監督ジョン・カーペンター。

当時一斉を風靡した作品のようです。
1981年製作で時代設定は1997年と、近未来。
もう20年も超えた2018年に観るのも乙なものです。

サミットへ行くための大統領専用機が爆破される。
その直前に、大統領は一人脱出ポッドで機を離れ助かるらしい。
大統領の生存の電波が感知されている。
大統領救出を任されたのは、凶暴な囚人、歴戦のアウトロー、
スネーク・ブリスキン(カート・ラッセル）

マンハッタン島そのものが巨大な刑務所。
この突飛で斬新なな発想にワクワクする。
「マンハッタン島に墜落した大統領専用機から大統領を救出して、
24時間以内に戻って来い」
来なければスネーク・ブリスキンは死ぬ運命だ。

大ボスのデュークの車にはフェンダーミラーの位置にシャンデリアが付いているキャデラックだかのごついアメ車。

最後のオチも、ヒネたダーティヒーローの面目躍如って感じ漂い、最高。
カーペンター監督といえば1982年の監督作
「遊星からの物体X」
本作「ニューヨーク1997」とはSFジャンルでもまったくテイストが違います。
しかし主演はどちらもカート・ラッセル。
お気に入りだったのですね。

1997年はもはやフィクションではない。
それは私たちの目の前に現実としてそびえ立つ。
ニューヨークはもちろん監獄ではない、ではスネークはどこにいるのだろうか？あの不思議な世界はどこにあるのだろう？
そう、そこは不思議の世界だった、住んでいるものは皆犯罪者ばかり、
犯罪の王様が君臨し王様のそばには道化師がいる、まるで中世の物語のようだ。囚われの身となったのはお姫様ではなく大統領、
だが、騎士がちゃんと助けに来る、闇にうごめく魔物、王様のブレーン
中世のおとぎ話がカーペンターの手を通って、ダンディズムな子ワンダーランドへと姿を変える。
ニヒルな騎士スネーク。この映画こそ私をジョンカーペンターの世界へ導いた原点だった。この作品以降彼の作品を意識して見るようになる。
なぜこの作品に私はそんなに魅せられたのだろうか？
それは多分人の真似をしない、そして自分の真似をもしない彼の世界に
魅入られたのだろう。彼の世界には強さがある。
1つヒットを飛ばせば矢継早に続編を作ると言う今のこのブーム、
いい加減マーベル映画は飽き飽きだ！
その安易さがカーペンターにはない！
そのカーペンターがこの作品の15年後スネークを蘇らせた！
彼はどんな新しい世界を見せてくれるのだろうか？
それがエスケープフロムLAだ！
続く