ゴーン・ベイビー・ゴーン

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　秀作。深夜に見始めてやめられず、寝不足だ。
　ベン・アフレックはあの茫洋とした容貌にも関わらず（と言っては何だが）、とてもオーソドックスで力強い演出の腕を見せる。探偵コンビが初めて少女アマンダの家を訪ねたシーンなど、汚らしく狭い室内に詰め込まれた多くの人数を見事に捌いているし（エイミー・マディガン！）、少年誘拐犯の家でのサスペンス、終幕間際のバー襲撃に始まる追跡劇などアクションもいい。風景の切り取り方がいいなあと思う箇所もいくつもあった。ケイシー・アフレックは『ジェシー・ジェームズの暗殺』が嘘のように、ハードボイルドな探偵が似合う。アマンダのジャンキーな母親も、素晴らしい。
　だがそれ以上にミシェル・モナハン演じるアンジーが魅力的だ。寡黙な彼女が子どもに寄せる思いは、ただ子どもを切望する女性としてのそればかりでなく、映画では語られざる物語が秘められているような気がした（そのあたりは原作にはあるのかもしれないが、読んでいない）。
　そして演出的には、少女アマンダに余計な演技をさせていない点がとても重要で、アフレックのクレバーなところだと思う。
　もっとも、事件の真相は、キャストを見渡すとだいたい想像できてしまう。物語は魅力的とはいえない。だがラスト、巧妙にアフレックに重い二者択一を迫り、彼の逡巡を演出することで、観る者にも「自分ならどうする」と考えることを促す。そのことが、物語の薄さをカバーして効果的なのだ。僕にもアフレックが決断するまでの間は実に長く感じられ、「自分なら」と考えずにはいられなかった。
　というのも、少年誘拐犯を射殺するかどうか、という二者択一を僕らはすでに経験しているからだ。無抵抗で弱々しい男を後ろから射殺するというアフレックの激情は、男の残虐な行為の露呈によって中和され、どう評価してよいのか、宙ぶらりんになっているからだ。ラストにいたって、正義と法の間で観る者自信が懊悩してしまうのは、この前触れが効いていることもあるだろう。
　よく考えれば、本当の誘拐犯が見逃されて良いはずはなく、僕はもちろんアフレックの選択に全面的に賛成する。普段あまり好きでないモーガン・フリーマンがアフレックに懇願することしかできないという演技で示しているように、彼は自分の傲慢と欺瞞を自覚しているのだ。つまり、すべては自分のための行動であるということに。どんなに愚かだろうと、すべてを理解していると勘違いした一個人の身勝手な理屈で、親子が引き離されることは許されまい。
　だから僕は、ソファに並ぶ二人というラストカットには、フェアな選択がなされたという意味で、幸福感を感じる。これはハッピーエンドに他ならないと思った。75点。

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先が読めないどころか想像もできなくて、
真剣に観てしまいました。

モーガン・フリーマンがこのままのはずがない、再登場するはずだと、
モーガン頼みでそれなりな推測していました。
が、男の子の悲惨な結果あたりで大混乱となってしまいました。
内臓器にどんどん石がたまっていく感じ。

パトリックとアンジー。この二人組みの探偵。
ベタベタしてなくて、魅力的です。
アンジーは同姓ゆえかもしれませんが、わかりやすかったのだけど
パトリックの方がつかみどろころがない。
探偵になるにいたるまでの生い立ちも触れられていなかったので、
彼の感情の動向と動機がもやもやっとしてて、これが石のたまる要因でした。
刑事レミーとの会話、じれったいものでした。

ラスト、頼みのモーガン登場しましたが、
ああなるとは…。
パトリック役のケイシー・アフレック。ああいう無表情は苦手です。
見ていてハラワタがよじれます。
最後のツーショットはあれ偶然の賜物でしょうか。
同じ表情のふたり。正しい羊と善き鳩。
正しいことが、イコール＝善いことではない、けれども、イコールとなるかもしれない。
３０年経てば…などとあってないような近い彼方への言い逃れはずるい。
それこそ、ＧＯＮＥ。
そう言えば過去分詞にはよく騙された。
”いなくなってしまった。失われてしまった。行ってしまった。…”
取り返しのつかないことだけど、かなりの未来でなんとかなってるかも…な余韻に騙されてしまいます。

タイトルの”ＧＯＮＥ　ＢＡＢＹ　ＧＯＮＥ”　
作中では脅し文句に使われていて、
字幕と吹き替えでまるで意味が違うのに誤りではない、
この作品そのまんまの善いタイトルと思いました。

アマンダ役のあの女の子、子役らしくなくて、
あの環境の中に最初から居て、他がそこへやってきて演じてるようで、とてもよかった。
１０年後もあんな風にふたりでＴＶ観てるように思いました。
たぶん、その先も。幸か不幸か…幸でも不幸でも。

皆さんのレビューを読んでリストにいれましたが、おっしゃる通りの良い作品でした。ありがとうございます。

主役のケイシー・アフレックも良かったですが、エド・ハリスとモーガン・フリーマンの存在感はやっぱり凄いですね。迫力がありました。エド・ハリスの死に際に「子供は好きだ...」と言った時の優しい眼がやき付いて離れなません。

私は断然彼女派です。迷いはないです。現に少女は楽しそうに笑っていたから。ママに会いたい、帰りたいと毎日泣き暮れているわけじゃなく幸せそうに笑っていたから。

パトリックは全てをかけて少女を救おうとした３人の男達の想いを自分の中の正義を守る為にぶっ壊してしまった。少女の笑顔と一緒に。君の行動は間違っていたのだよ。パトリック君。

虐待を受けてる子供は親を庇うと聞きます。胸がいたいです。だからこそ虐待する親が許せません。それが私の正義です。

親に虐待されて育った子供は、自分が親になったらやはり子供を虐待するという。環境の連鎖だ。
育った環境によって、子供の将来が変わってくること、これは悲しいけど現実。
子供は親を選べない。　
親は自分の責任で子供を作るわけだから、とことん愛して守ってあげなければいけないのに。
どうして自分の子供さえも愛することが出来ない親が増えているのだろうか？　愛情表現が乏しい環境で育ったせいで、自分の子供の愛し方が判らないのか？　大人になりきれないまま親になってしまうのか？
そしてそんな親のもとで育つ子供は果たして幸せなんだろうか？
答えはNoだと思う。
パトリックのとった行動は法律的には正当な行為だけど、子供にとっては正解ではなかった。
けっきょくダメな親は変わることなんて不可能。

パトリックを演じたケーシー・アフレック、適役だった。
兄よりずっと小柄でナイーブな感じが、パトリックにぴったり。
ベンよりタイプだ。　うーん、かなりタイプだ。
（今夜夢に出てくれるかなぁ。。。(*^。^*)）
モーガン・フリードマン、エド・ハリスといった大物俳優を堂々と使って、派手さはないけど十分に心に訴えるものがある秀作に仕上がっている。　ベン・アフレックの監督としての才能開花だ。

それにしても、DISCASさん、なんでイントロダクションなし、出演者情報なし？　それでいて在庫数６００枚ってかなりの強気ですなぁ。。。
日本未公開ながら、これは見て損はなしと思う。
（万吉さん、お勧めありがとうございました！）

この台詞は映画の中の台詞じゃありません。
特典映像の中で監督であるベン・アフレックの口から出た台詞です。

私のお気に入りレビュアーさんたち軒並み絶賛の本作。
期待以上によく出来た作品でした。

幼児虐待、幼児誘拐、ドラッグ、金・・・
事件に関わる人たちの様々な利害や思惑が複雑に絡み合う。

正義とは？人の幸福とは？
見る人の心を見事に揺さぶります。

おそらく見る人によって、二人の探偵の選択のどちらを支持するのか
意見が分かれることでしょう。

悲哀に満ちた切ないラストではありますが
私はケイシー・アフレック演じる主人公パトリックの選択を支持したいです。
同じ女性として、彼のパートナー、アンジーの言うことも理解できるのですが
同じ状況だとしてもそれが大人の私利私欲や欺瞞によってもたらされたものか
フェアに手続きを踏んでもたらされたものなのか・・・
やはりそこには大きな違いがあると思います。

あなたは誰を支持しますか？