陽のあたる教室

途中まで、いい映画だけどそれほど感動するかなあ、なんて見てた。
そしたら後半からぐっと盛り上がって、最後は花火があがったようだった。
あんなに「ラスト！」って感じのも意外とないんじゃないかな。

先生物といったら、ある学年の生徒達と交流して感動の卒業式ってのが定番だけど、これはずっと年をとっていく先生を追っていくところがいい。

先生は平等に生徒を見るべきだと思っていたけど、やっぱり思い入れのある生徒、印象の薄い生徒ができてしまうのはある程度仕方ないのかな。
せっかく色々教えたのに、卒業したらまた新しい生徒を１からやり直しって大変だろうけど、立派になった卒業生に会うのは何より嬉しいだろうな。

やっぱり途中で出てきたのはテレンス・ハワードだったんだ。
フォレスト・ウィットカーにそっくりな生徒も・・と思ったら、あれは彼の弟らしい。納得！

会社でも仕事がメインになってしまって家庭をかえりみない人なんてたくさんいるんだから、教師なんてはまってしまう職業をやったらこんな風にもなるだろうなあ。
おじさんでも、先生に恋する生徒なんてたくさんいるだろうし、奥さんは気が気じゃないよね。

安心して見れる映画です。
結論。先生物の映画にハズレは少ない・・と思う。

今まで何個かみた音楽映画の中で、私的にはこれがベストです。
「奇跡のシンフォニー」のように、天才的な才能を持ってるわけでもなく、「ミュージック・ハート」のように、その教育理念が世間に認められるわけではないが、ただ彼のような音楽教師に出会いたかったと思いました。
　途中、中だるみがするかもしれませんが、一人の音楽教師の送った人生を、通しでご覧下さい。

とくに、最後の演奏シーンには、心が震えました。

アメリカン・ドリームを夢見る一人のバンドマン。
でも、何百万人に一人しか訪れないそんな夢を待ち続け、１０年以上が経ち、長年付き合ってる恋人ともこのままでいいのか迷った果て、
あるハイスクールの校長先生からの誘いに「教師でもしてみるか？」と、夢を捨て、人生の第二の選択肢を選んだ男のライフストーリーを
描いた作品。（日本にも「でもしか先生」っていう先生がかつてはいましたよね。）

夢破れ、人生を無為に過ごすかと見えた映画の冒頭で、同僚の体育の先生に自分の捨てきれない夢である作曲活動だけは続けようと自由
時間の取れる教師を選んだと告白したグレン。それに対してあっさりと「そんな時間、全然取れねえよ。」というところから、教師という
仕事にどう取り組むかで、これからが「抜け殻の人生」となるのか「充実した人生」にするのかが窺えます。

結局、グレンは生粋のミュージシャン気質があったのでしょうね。人を惹きつけることができなければ音楽ではない、そのためにはどんな
音楽でも教えてやろう、とビートルズなどのロック音楽を取り入れた授業を行い、生徒を音楽を楽しむようにしていきます。
今では、ビートルズも音楽の教科書に載っていますが、当時はヒッピーや反戦などをけしかける危険な思想のように思われている中、出世
や保護者の意向にへつらうことにも無頓着で、教え子が音楽を好きになるためなら、何でもしてみようという彼の考え方は、プロのショー
マンシップを捨てることがなかったからだと思います。
音楽が人を惹きつけ、その場にいる人々を一体化させる力を信じていた彼の信念は、ある意味、何一つ変わっていなかった。そういう音楽
家としてのプロ根性を見抜いていたのは校長先生だったのかもしれませんね。

家庭生活においては、最愛の息子に聴覚障害が見つかり、ともに音楽を楽しむことのできない不満からかもしれませんが、子の教育は母親
任せにして、教師生活にのめり込む展開もありましたが、最後には音楽を通して（ジョンレノンのあの曲がますます好きになりました。）
息子とも理解しあえるようにもなります。
他に、才能溢れる女子学生とのプチ不倫的なエピソードはありましたが、その他多くの学生が才能には恵まれず、それでいて音楽に出会い
その楽しみを知り、努力することの意義を見出せるまで、彼は惜しみなく教え続けます。
そしてそうした学生たちが卒業していくのを、延々と見送るだけかと見えた最後の展開で、それらが無駄でなかったことが明らかとなります。
その辺りになると、もう展開は予想できましたが、涙なしには観ていられませんでした。シンプルにいい映画だな、と思います。

日本中の「でもしか先生」に観てもらい、私「でも」教え子に対して、自分に「しか」できない教育ができることがあるのでは、と気づいて
もらえたら有難い。

お薦め度：様々な生徒に焦点を当てながら、教師として成長していく姿を描く。教師としてだけではなく親としても。普通一人ないし数人の生徒を中心に話が進む事が多いが、この作品では生徒は毎年変わり、一人の先生を中心に話が進む

対象年齢：子供〜大人（色々学ぶところがありそうです。暴力場面なし。Ｈ場面もなくキスシーン程度）

食事中に見られるか：大丈夫

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何度観てもすばらしい作品です。一人の男が腰掛程度に考えていた高校教師という職、しかし、それが素晴らしいものだと感じ、音楽を通じて生徒の成長を促し、また自身も変わっていく。しかし、そんな彼の人生にはつらい出来事が待ち構えていた。

ベトナム戦争の時代から描かれていく、教室の様子は素晴らしく、また感動的です。歌を通じて時代を描き、そしてジョン・レノンの死をうまくからめて、子供との確執と和解を演出する。私、あのビューティフル・ボーイのシーン好きなんです。自分自身に子供が出来るとさらによく感じますね。

いい人ばっかりが出てくる作品なのではありますが、音楽の力とかそういうのではなく、素直に人間ドラマとして感動できる作品です。