ＢＵＧ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

サム・メンデスの前の作品は　ボクのアンテナにどうもひっかかってこないので未見なのだが　最新のデカプリオ＆ウィンスレットの「レボリュショナリ・ロード」は優秀な室内劇　この二人で暗い内容で驚いてしまいます　そこで二人を直感的にわかてしまうキＸチガイを演じているのが　「ＢＵＧ」のアシュレイとともに主人公のマイケル・シャノン　舞台でも主演でこの人はこれからの注目株でしょう　不気味です

デカプリオはビジネス・マシーンの仕事人（後のＩＢＭのことでしょうか）　シャノンは機械社会に追われる妄想を抱いています　何だか似通ってるお話です　二人の男女の恋愛悲劇であるのも同じです　

さてフリードキンの久しぶりの作品であり　期待も高まるのですが　メンデスの作品が大変お金のかかった撮影から照明・編集まで凝った内容であるのとは反対に　ぼろっちいモーテルの一室のセットだけ　舞台劇とはいえ　あとは第二班の空撮とロケがあるだけ　巨匠に対し淋しい対応ですが　それでもフリードキンを引っ張り出すライオンズ・ゲートの努力と　やっぱ美術陣は頑張ってますので　よしとしましょう

役者がいいので一体何が起こるんだろうとのサスペンスもあり　一時間ほどは楽しめるのですが　この虫妄想と言いますか「シークレット・サンシャイン」と同じように　隠喩としての病が前景化してきてしまって　すっかり興味が殺がれてしまいます　この意味という病は　シャマランの「ハプニング」がどうどうとハリウッド映画として通用する時代にいくらなんでも古臭いでしょう　もちろん腐ってもフリードキン　映画のちから技はさすがに感じるのですが　もう一工夫欲しかったですね

なにより舞台劇であるので　舞台では虫は見せられませんが　映画では表象可能です　思い切って見せるほうで勝負をすべき時代なんですね　そこは残念　外と中が異次元のような無理な設定はＯＫでしょう　これが映画ですね　最後の一瞬でエンドになり消える　ＣＧでない業火は良かったです　

おすすめ度★★☆☆☆

あ、結構辛口な評価が多いですね・・・。
個人的にはそんなつまらないことはないと思います。

監督は『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン・・・
でも大物監督の割には地味な映画っていうのは否めないですね。
DVDスルーでもいいくらいだけど劇場公開してましたね、さすがに。

オフブロードウェイ作品の映画化みたいですが、ナルホドって感じです。
舞台の展開みたいに物語の変化が唐突で、主人公の二人が徐々に壊れていく様子が描かれず、
あるシーンから急激に狂っちゃったりしています。
それはそれで楽しめるけど、せっかく映画でやるんだからそういうジワジワした恐怖みたいなのを表現してくれてもよかったかな。

統合失調症っていうのは思考の根本に被害妄想が支配しているんですね。
そういった題材を扱っているという面では興味深いものがあります。

アシュレイ・ジャッド演じるアグネスは、アルコール漬け・ドラッグ常習、子供に対するトラウマ、元夫への恐怖心、頼れるのはレズビアンの友達だけ・・・
とても荒廃した精神環境で、ムシ男に出会う前からもう病気だったかも・・・。
だから彼を受け入れられたのかもしれないなあ。

実際、統合失調症の患者同士はいくらか疎通性があるらしいです。

ホラーっていうよりちょっとSFチックなのかもしれません。

気になる方は是非！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

(ネタバレあります）

これって舞台劇の映画化だったんですね。道理で、舞台がほとんど１か所、モーテルの一室です。
話はシンプルで、淡々と進んでいきます。
親友が連れてきたピーターという男。最初から怪しそう。
知り合ったばかりの男の妄想を簡単に信じるかなあと思ったけれど、
アグネスは息子がスーパーで行方不明になり、夫婦間も破綻して離婚、
元夫はムショを出たばかりの暴力男で家にやってくる。
こんな辛い生活に耐え切れず、アスピリンとアルコール、ヤクまで常用している…
ここまで最悪の状況なら、精神状態も健康とは言えないし、
不安で寂しすぎて頼ってしまうのも無理もないのかなあ。

妄想は怖い。人間、孤独なのはよくない。
何かがきっかけで精神のバランスを崩してしまったとき、放っておいたら
大変なことになると再認識しました…

キャストは主演の二人の演技がお見事。
アシュレイ・ジャッドが演じるアグネスのすさんだ生活ぶり、
クライマックスの長い台詞とエキサイトした演技には圧倒されました。
マイケル・シャノンは、舞台でもピーター役をやってたというだけあって
このキャラクターを知り尽くしていましたね。

特典映像にウィリアム・フリードキン監督のインタビューがありました。（レンタル版）
神経質そうなイメージがあったのですが、意外にもツヤツヤしたすてきなおじさま。
思わず、何歳なのかと調べてみたら、１９３５年生まれ。とても信じられないです。
「自作に、絶対に二度と見たくない駄作がある」とおっしゃってたけど、何なんでしょうか？ファンならわかるらしいです。

うーん、舞台劇ではこれでもありなのかもしれないけれど、映画としては何とも薄っぺらさを感じずにはいられなかった。
イントロでサスペンススリラーとなっているけど、なんかちょいと違う気がする。
スリラーちゃあスリラー、でもサスペンスっていうほどのもんでもない。

なんの因果でそうなったのか、本人は軍の実験台だというが・・自分の体に虫が寄生していると思い込んでいる変な男の話。
そして、一緒に過ごすうちにやがて女にも虫が寄生していく・・と思い込みやがては破滅的な結末を迎える。
心に巣食ってしまった虫は、精神を破壊し、人間性を失わせるこわーい虫。

観終わった後、非常にいや〜な気分になること間違いなし。

そういえば、私も時々、寝ているとむずむずっとかゆくなることがある。かゆいと思うと、かまれてもいないのに、体中がもんぞもんぞしてくるから不思議。
それも神経的なものなのか・・・？

あるいは、疲れてるのかな？？わたし・・？？

アシュレイ・ジャッド狙いで観た。心が傷だらけの南部の女性という役柄は「恋愛依存症(2006)」とよく似ていて彼女の得意な役柄だと思うが、この映画の演技は本当に素晴らしい。芸域の広い女優だと書いたことがあるが、ここまで広いと、もう誉める言葉が見つからない。彼女の壊れていく心を見ていると（演技だが）可哀想で可哀想で、本当にダークな気分になる映画だ。監督は「自作の中でもっともdisturbingな映画だ」と言っているが、その通りだ。アシュレイは「意味が分からなくてお金を返せという観客もいるけど…」などと特典で言っていて笑わせるが、アシュレイ・ジャッドの芸域の中ではダントツの作品だと思う。（「恋愛依存症(2006)」と双璧だ）

この映画はバグと題しているが、バグの話ではない。バグは得体の知れないものの暗喩なのであるから、虫の絵なんか映像で見せてしまったらマンガなのである。虫の姿を映さない演出はだから正しい。

じゃ、バグの正体は何か？それはパラノイヤの人間によって我々に信じ込ませようという嘘の情報であり、我々を騙して管理操作しようとするテクノロジーである。映画の中で描かれるように、人（アグネス）を騙す事は簡単だ。嘘の情報を並べ立て、繰り返し繰り返し伝えれば人は信じてしまう。そして次に、これも映画の中に出てくるが、人（アグネス）を管理操作するチップを埋め込むのである。ピーターのセリフはあながち嘘ばっかりではない。ところどころ本物の話も混ざっている。だから余計に騙されるのだが、1982年以降に生まれた人間には皮膚の下に監視用のチップが埋め込まれているという話はまったくの嘘ではない。

http://www.youtube.com/watch?v=6d7BFzLzKJI
6分14秒からチップの話

アメリカ人は2008年5月から個人情報の入った身分証明書（IDカード）を所持する事が義務付けられている。
これはRFID（無線ID）を導入する準備段階で、RFIDを組み込めば世界中何処にいても監視できるようになる。
アメリカのすべての新規パスポートにはこのマイクロチップが搭載されている。
そして最終的にはチップを体内に埋め込まれる。
世界中何処にいても行動を監視されるようになり、逆らうものはチップを停止させる。
チップ情報がないと何も出来ない仕組みの世界でチップが停止したらどうなるか。

これがバグの正体なのである。
私は普段ホラー映画は観ないのでホラー映画を語る資格は無いが、この作品は間違いなく新しい種類のホラー映画として歴史に残る名作だと言う事は間違いないと思う。