バレエ・リュス　踊る歓び、生きる歓び

あくまでバレーファンのための映画である。
歴史的にも有名なバレリーナの古い映像がでてくるが、バレーの歴史を知りそのテクニックに興味のある人にはたまらないだろうが、
現代のバレーの厳しいトレーニング風景などを期待するむきには
お薦めしない。
ロシア革命で本国を追われたバレリーナたちがその卓越した技術を
アメリカやオーストラリアで披露し人々を驚かしたロシア人のバレー団がその歴史的使命をはたし解散するまでを描いた映画である。
またこのバレー団を経営した男たちの苦闘の物語である。
ど素人の私には不向きであった。

ディアギレフの遺したロシアバレエ団。
彼は、単なるダンサー集団を遺したのではない。
「芸術とは何か」という考え方を、思考のあり方を遺していってくれたのだ。

その芸術遺産を維持すべく奮闘した男達。
ある面から見れば、権力に固執した男。
ある面から見れば、金銭に固執した男。
等々、責められる面もあるだろう。
しかし、彼らは一様に頑張った。
力の限り、バレリーナに踊る場所を与え続けようと奮闘した。
それは、大いに評価されるべきであろう。
ロシア・バレエ団は、とうとう解散する日を迎えてしまったが、バレリーナの踊る歓びは、各自の心身にそのまま維持された。
踊る歓びの種は世界中にばらまかれ、芽が出て花が咲き実を結び、次世代を育んでいる。
これは、嬉しい限りだ！

作品中、芸術表現としての踊りを堪能させてくれた古い記録映像の数々。
古いフィルムの中のバレエの芸術性の高さ、その優美さに、心が揺さぶられた。
多くの方々に見ていただきたいドキュメントである。

ディアギレフの伝記を読み終わったところなので、その続編、という感じで興味深く楽しみました。ディアギレフの死、そしてバレエ・リュス・ド・モンテカルロの時代から１９６０年代後半のバレエ団の解散にいたるまでのお話です。
世界大恐慌、第二次世界大戦と、大変な時代を、バレエという優雅な芸術が乗り越えて行くのは大変だったと思います。慣れない南米とか米国大陸ツアー。本当に、列車と劇場の繰り返し。また、両親と別れてカンパニーに加わっていく幼いバレリーナたち。このドキュメンタリーはどちらかというと、歴史の紹介、という感じで、作品を詳しく見せてくれる余裕はありませんでした。

バレエ・リュスから、このバレエ団を通じて有力な振付師だったジョージ・バランシンが、あのニューヨーク・シティ・バレエの創立者だった・・というつながりが、今まで知りませんでした。
おすすめですが、バレエ作品を楽しむのではなく、歴史の勉強みたいになります。

豊富なインタビューと映像、バランスのとれた編集。素晴らしい！

バレエ・リュス・・・人生の半ばになｌってからバレエをはじめたので　ごく若いころから人生の最後までバレエの道を生きたバレエダンサーの生き方はとてもとても感動的で興味深いものでした。
もちろんバレエは毎日の訓練で鍛え抜かれた肉体を使って至高の美しさを表現するものですが　それだけじゃない　年を重ねて体がスムーズに動かなくなっても　重くなってしまっても　バレエ・リュスの人たちのなんと優美でうつくしい表現！！
バレエの方にとってはもちろん　広く一般的にもきらきらと人生の歩み方のヒントのつまったドキュメンタリーだと思います。