パルス−回路−　アンレイテッド・バージョン

今までに何度も何度も書いていますが、なぜハリウッドのリメイクでは「現象がより解り易く」なってしまうのでしょうか？
何か解からないものによる恐怖ってのは売りにしては見るけれど、最後には何らかのネタばらしがある作品がほとんど。
ん〜解からないままにしておくとダメなのでしょうかねぇ？

この作品はご存じの通り「回路」のリメイクです。
原作の当時、ネットを通じた心霊現象を描いた本作は非常に斬新でかなり恐怖感たっぷりの良作でした。
さて、本作。
ストーリーはほぼ原作を踏襲、テイストもかなりいい感じで、出演者の質も良く、上手く行けば原作を超えるクオリティかもしれません。

ただ、如何せん恐怖の対象がでしゃばりすぎ（笑）
また、全体的に説明的で、原作のストーリーがより鮮明に解釈されています。

終わってみれば、あまり面白くなかった。と言わざるを得ない出来。
非常に残念な作りになってしまいました。

と思いましたがレビューを書くにあたり理解できていない自分に気がつきました。
ｍａｓａｍｕｎｅ様がお書きのように解釈できたらいいんですが・・・
いかんせん、鈍行列車に乗っているようなオバサンには奥の奥、その後ろですらわかりませんでした。
黒沢監督の「回路」は観ております。
皆さんの絶賛に後押しされるように何作か拝見いたしました。

結論。もちろん私だけのです。

「ああ、恐かった〜！」
「トイレいけないよ〜！」

こんな感覚で「ホラー」を楽しむことぐらいしか出来ないおばさんには、高尚過ぎてきついです。

何で？どうして？　などなど作者の意図を考えるなんてとてもとても・・・

このままの感性で行くんでしょうね、これからも。
単純、明快、起承転結。大好きなおばさんが手にする作品ではなかったということでしょうか。
でも本作のほうが何も考えずに観賞出来ました。
こちらのほうが単純向けということでしょうか。

１つだけいえることは「回路」の時も感じました・・・

点けっぱなしのＰＣの電源。久しぶりに消しました。

恐かったんかい！　　「はい」

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なぜか画面がすごく暗いんですよね。
同包されてる予告編の方は画面がクリアで明るいのになぜ？
その暗さが現象の足をすごく引っ張ってると思うんだけどどうなんだろう？
・・・もしやうちのアナログテレビがダメなのか？^^；

あーそうだったそうだったと思いつつぼんやりみてたら、予期せぬ場面にブラッド・ダーリフが！
うおおおお！ダーリフだぁ！と座りなおしたんですが、あっという間にええもう終わり？みたいな。「ザ・リング２」のシシーもこのダーリフも、もったいないお化けが出ると思います。マジで。

もともと怖ツボに来なかった「回路」のリメイクということでノーチェックだったんですが、元作より怖い要素はたくさん入ってるしクリーチャーのディティールも元作より怖いし端キャラもいいし展開がわかりやすくスムーズだし、黒沢ファンよりむしろ洋画オンリーで元作を知らない人に見てもらった方がいいのかも。

ただ、やっぱりこれも怖くない。
要素はたくさん入ってるのに怖くないとはこれいかに？なんだけど、そもそも元作そのものが怖がるための作品じゃないし、やっぱり着地点がえ？そこ？という方向は変わってないので（むしろ元作に対する敬意すら感じます）しぶしぶ納得する羽目に。

あえてチェックしてるつもりはないんですが、猫。今作も無駄にかわいそうでしたねぇ。
この子はなんでこうなっちゃったんだろ？と考えると一番怖い場面でした。

　ハリウッドでリメイクされた日本のホラーといえば、とりあえず『リング』『呪怨』『仄暗い水の底から』が思い浮かぶでしょう。これらの作品に共通するのは、“見たまま”であるということ。それに対して、黒沢清の『回路』は“解釈”が必要な作品だと思います。だからハリウッドの作り手が『回路』をどんな風に解釈しているかがリメイクするうえでのポイントになるのではと思うのですが、本作『パルス』は何となく解釈を放棄、もしくは諦めて、『回路』の見たままな部分だけを抽出しているような印象を受けました。『回路』を単純に英語にすると“CIRCUIT”なのに、リメイク作のタイトルを脈拍、律動、波動といった意味を持つ“PUSLE”にしているのも、そのあたりが関係している気もします。
　で、本編については、さまざまな場面で『回路』を模倣していて、それはもちろんリメイクだから当然といえば当然なのですが全体をみると何か『回路』とは似て非なるものに思えてしかたありません。だから、『回路』と同じような場面が出てくる、という視線で観たらそれなりな興味を持って観られるのだけど、それを切り離すと、面白くもつまらなくもないという中途半端な印象が強かったです。まあ、オレ自身にとって『回路』は、よくわからない映画であるので、勝王さんが述べておられるように「あの難解な映画をよくわかりやすくリメイクした」というのが、本作に対するまっとうな評なのでしょう。

　とにもかくにも、本作を観たことで、４年程前に１回だけ観たきりの『回路』を猛烈に観直したくなったのは確かです。

っていうか、その「回路」をほとんど覚えてない＾＾；
こんなシーンあったな、ぐらいしか思い出せなかった。
ということで、リメイクとして観なかったらなかなかだと思います。

全編で暗い映像の中に時たま目に飛び込んでくる「赤」の使い方がとても良かった。
モノクロ映像を見てるような感覚を所々現れる「赤」によって色彩を取り戻してくれる。
そんな印象を受けました。
その「赤」を血の色で見せないのも評価できますね。

「回路」を覚えてないか未見の人、もしくはリメイクというのを忘れられる人向きの作品じゃないかなと思います。