記憶のはばたき

予告編を映画館で見たとき、ちょっとオカルトっぽい作品かなと思っていましたが、本編を見終わってみれば、全然違うジャンルのドラマでした。しっとりとした、悲しい物語で、ガイ・ピアーズの自分を殺すように押さえ込んだ演技に見入っているうちに、いつの間にか感情移入してしまい、最後にはじーんときてしまいました。つらすぎる過去と向かい合おうとする主人公の姿に感動します。
劇中の風景や登場人物の話し方から、イギリス映画かとも思いましたが、オーストラリア映画の傑作でした。監督は、この脚本で注目された方だそうです。
美しい自然の風景や、昆虫などの動物、月明かりの水の中など、画面もとてもきれいです。私としては４つくらい星をあげたい作品です。

ガイ・ピアースとヘレナ・ボナム＝カーターの組み合わせなら間違いはないかなと思って借りました。

ヘレナは『眺めのいい部屋』で初めて見て、それ以来けっこう好きです。個性的で、強くてでもはかなげでもあって、品があるので顔立ちのわりには扇情的にならずに逆に抑制的な、不思議は女優さんだと思います。イギリス人というのが大きいのかな。
ま、それはともかく。

映像も音楽も美しく（音楽はなんか久石譲さんみたいな透明感とせつなさがありました）、子役の二人の演技もみずみずしく（とくにガイの子供時代を演じたリンドレイ・ジョイナー君は超いいです）、途中まで「おお、これはアタリだったかも！」と思って見てました。

幼なじみのフランクとシルヴィが、お互いをとても好きでいたわり合っている様子が、あたたかくやさしく心に迫りました。
成長してからのフランク（ガイ・ピアース）が、「シルヴィと一緒に見る世界は美しかった」というようなことを言っていますが、それが見ているこちらにも伝わってきます。

そんなふたりに悲しい出来事が起こり、やがて成長して故郷を離れたフランクは、父の訃報に接し、葬儀のために故郷へ戻る、その途中で出逢った謎めいた女性ルビー。
のちに彼女が川に落ちたのを助け、記憶喪失をもとに戻そうとあれこれ試みる。

ここらへんまでは「おっ　どうなるのこの次」と期待しながら見ていました。

それが・・・。

幻想的な後半部分と余韻を残した結末、と言えば言えなくもないのかもしれませんが、どうも私は何か釈然としないものが胸に残ってしまいました。

結局どうなったのか、どうだったのか。

見る人にゆだねるというのはもちろんアリなのですが、でも何かもう少しきちんとゆだねてほしかった。

私にそこらへんを理解する情緒が足りないと言えばそれまでですが・・・。

でもヘレナとガイが好きな人ならまあまあ楽しめると思います。

ヘレナが出た映画では、ティム・バートンのももちろんいいですが、『ハリー・ポッター』のベラトリックス役のきれっぷりなんかが楽しいし、個人的に大好きなのはアーロン・エッカートと共演した『カンバセーションズ』ですね。まだの方、ぜひどうぞ！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

物語の始まりはとても期待させられた。夏休みに寄宿学校から帰省した主人公の少年と幼なじみの少女との再会。２人の間に恋が芽生えるのを予感させる。少年と少女の父親との関係も良い。厳格な自分の父親からは得られない、人生における大切なことを少女の父は教えてくれる。そして村のお祭の日、足が不自由なためダンスができない少女を湖へ誘い、水の中でダンスをするのだが・・・このシーンは本当に美しかった。星空の下、月の光に照らされながらの水の中でのダンス、そしてファーストキス。しかし物語は暗転する。

それから十数年の歳月が流れて・・・主人公は過去の事故のことで自分を責め、毎日を死んだように生きている。ある日故郷に戻る途中、ミステリアスな女性に出会う・・・ここから物語がいかにドラマティックに展開していくのか大いに期待したのだが、何と言うか話の起伏が乏しく前半のように観る者を引っ張ってこない。結局、消化不良のままエンディングを迎えた。監督や脚本家の力量不足ということか。役者も前半の子供たちの方がみずみずしい演技で好感が持てた。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

消したくなるような昔の記憶というものは誰にでもあるもの。
あの時に戻って、やり直すことができたら・・・。
そんな願いを少しだけかなえてくれます。

決してすべてを元に戻すことはできないが、
少しでも謝ることができれば、
新しい人生を歩むことができるかもしれない。

森と水と空の美しい映像でつづられる映画。
ステキな映像と音楽におぼれてください。

心に沁みるお話でした（≧∀≦）映像もとても美しかったです。
シルヴィの父親は感情を外に出しなさいとサムに教え、サムの父親は感情を抑える様に育ててきた事は分かるのですが、その育て方の違いが大人になってどう影響を与えたのかがイマイチ分かりませんでした。
ＲＵＢＹは多分シルヴィによって招かれたのでしょうね。
魂にまつわる人々の思いはどの国も同じなんだなぁと感心しました。
後半謎が解けたときのサムの表情をもう少し顕しても良かったと思いますがガイピアースの演技力不足かも（ｏ￣∇￣）ｏ