太陽の雫

歴史という大きな流れの中に飲み込まれる、小さき人達。
だが、小さき者の囁きは、一つにまとめると轟く響きとなり、観る者を魅了し感嘆させる。
その響きは生命の紡ぎ。たゆたう大河の荒々しさではなく、命を連綿と続けてゆく悠久の永さ、若葉が大樹へと育つ時間の移ろいとも言える。

持って生まれた血。その血は誰が決めたでも無く有るように在った。その血に、ある時は従いある時は抗い、支えにもなり足枷にも成り、飲み込まれもし反発を覚えたりもする。
しかし、血は知とも成り得る。生まれ育った地の生命の営みは、血と生り、知と成って孫子に伝え継がれて行くのではなかろうか。

人が人として、その血に恥じない生き方を続けることが、かように辛い世情に生きた人達。その生き様を伝えるには時間が短か過ぎたような気がするが、時に鮮烈に、時には過剰に情緒に訴える場面の連なりを観続けると、このフィルムに焼き付けた思いの幾何かを感じ取ることが出来、我は如何に今までの生を過ごして来たのかと、悔恨の情に駆られることは必須なのでした。
と、今回のレビューは非常に詩的なのでした。

出演者の素晴らしさにひかれ、役者目当てで
見ようと思ったこの映画。
正直、３時間も飽きずに見られるか不安でしたが
物語の舞台の壮大さ、レイフ・ファインズの一人三役に
興味を持ち、見ることに。


もうすごいとしか言えません。
情熱的な一族の愛。
とにかく激しかった。
しかし、世間からは受け入れられない一族。
才能や愛があっても、かなわないなんて・・・。
時代を呪いますね。
あまりにもかわいそうな時代に生きた人々に涙しました。


終わってみればもう３時間経ったの・・・？って感じでした。
感動して涙したのに、心はスッキリ。
良かったです。

本当に正直に感じました。こんなに重厚な物語を撮る映画監督がまだいたんですね。もちろんフィクションなんでしょうけど、歴史に翻弄される家族の愛情、憎しみ、怒り、悲しみという極めて人間の感情の表現が、3代に渡って展開されていきます。
ビデオで最後の字幕まで見たのは初めてでした。
それはこの作品が単に映像を見せるだけではなく、音楽や光などもその出演者達と同じくらいに重要な役割を果たしていたから。
大画面でもう一度堪能してみたい。
余計なCGもなく、そういったヒット作しか見ていない人にとっては退屈な映画かもしれないですね。
豊かな時間を与えてくれた作品でした。

無類の映画好きですが面倒くさくてほとんどレビューを書かない者です。
ただこの映画にだけは一言書きたいと思いました。とにかく長い、深い、暗い、重い、でもこんなに心にしみる映画は他にはないです。ぜひ見てください、自信をもってお勧めします。

この映画を見終わって、強く思いました。アダムがアウシュビッツで処刑される場面は、胸が張り裂けそうでした。今でも思い出すと胸が痛みます。罪のない人間に罪を着せたり、家族を自分の支配するもののように扱ったり。人間らしい感情を奪う「愛国心」は恐ろしいです。3代にわたってそれが繰り返されますが、最後に救いがあるのが良かった。他の方のレビューにありましたが、若い娘役と老け役の2人一役は親子なんですね。知らずに見ていたので、ぴちぴち可愛かった娘がおばあさんになって出たとき「メイクさんすごい！上手！」と勘違いしていました(^_^;)