恋人たちの食卓

中国映画とも韓流とも違う台湾映画独特の味がある。どちらかと言えば日本映画に近い気もするがその旺盛な食欲と色気は日本映画を超えている。
どこか古典的な男優、女優の顔、父親や家族を気にするWETな感情、コミカルな話の展開、見どころは色々あれどなんといっても
台湾料理の制作過程である。
実は昨日台湾料理を食べたのだが最近の味の素をたっぷり使った中華とは一線を画す淡白かつ「こく」のあるものだった。
映画は少し古いがすぐにでも台湾旅行にでかけたくなるような映画で楽しめた。

いいですね、アジアの三姉妹と、やもめのお父さん。

女を数人並べて、話し、食べ、想いあい、ときに蔑みあう姿。
文字通り姦しくて、まとまりのない、張り切って言ったけどうけなかったジョークのような後味を残してしまう映画になりかねない造りですが、
なんとなくドキュメンタリータッチで、飾らず、じんわりと嫌みなく伝わるものがあります。
さすがの監督技だと思います。
ストーリーも、舞台はせまい範囲だし、派手な事件も動きもないようで、と油断させておいて、いつのまにか静かに確実に話が進んでびっくりさせられます。
面白い脚本！

また、登場する台湾の人たちの、
素朴というべきか、はたまたラテン系なのか…
わからない、読めないテンションの極端さと、みんなでそれを受け入れるおおらかさが、とても愛おしく思えます。

また、たぶんそんなことが主要なテーマなわけないんですけど(笑)、
私はアン・リー監督の作品ではいつも、「色気」ってなんだろうな〜と考えさせられます。
「8人の女たち」は、フランスのミュージカル映画ですが、
この作品を見たあとなぜか、比べてみたくなりました。

フランス女のファム・ファタール的なむせかえる色気にもあこがれますが、
台湾女性の一途で不器用な色気も、なかなか学ぶものが多く、よかったです。

完成度が高く面白い。三姉妹のエピソードは無駄がなく人物を描ききっている。最後のお父さんの結婚の落ちも最高で大笑い。弁当を作ってもらう女の子が可愛い可愛い。演出が上品でアンリーは昔から素晴らしい監督なんだと関心しました。

ようやく観れました！アン・リー監督の父親三部作「恋人たちの食卓」！残りは“推手”

面白かったーー。

そして究極の飯テロ映画です。映像もさることながら、音ですね、音。油のパチパチ。包丁のトントン。揚げ物のジュワッ。湯気のフワッ。鍋のクツクツ。蒸籠のモワワワワァン。

うっかりすると、お鼻はクンクン。お腹はグゥーーーです。満腹のときでよかったーー。

さてさて、本作は母親を早くに亡くした三姉妹と、名シェフの父親がおりなす人生いろいろのファミリームービー。

過去の失恋から立ち直れないクリスチャンの長女。恋も仕事もいろいろなキャリアウーマンの次女。自由奔放で無邪気な末娘。

毎週日曜の晩ごはんは、家族揃って父の手料理を囲むのが約束。でもそれが子供たちは窮屈な義務に感じてしまう。

父親の老いを向き合いつつ、家族という呪縛にも向き合わざるを得ない娘たち。

家族だからこそ素直になれない。家族だからこそ伝わる想い。そのアンバランスさがちょうどいいし、どの登場人物にもほんの少し自分と同じ要素を感じたり、家族アルアルがいっぱい。

意外と外側から見てる他人の言葉から気づきをもらえる……なんてのも家族アルアルですね。

ウェディング・バンケットでも本作でも、やはり途中までは「どう考えても主人公は父親じゃないよなぁ…」と感じてたけども、やっぱりすべての道は父に通ず。

娘たちあっての父。父あっての娘たち。

ちゃーーーんと、父親の話として終わりました。ほんとお見事。

ラストのちょっとしたどんでん返しと、家族という名の呪縛からの鮮やかな逆転劇。

ほろり…はなくても目尻にじんわり涙がにじむ。声援はでなくても心の底から幸運を祈りたくなる。そんな映画でした。

個人的にはウェディング・バンケットの無責任男ウェイトンが出てるのがうれしーー。

次女役のウー・チェンリンの美しさもたまらん！

どうぞ、満腹のときにご覧になってください。

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　名料理人の父親とその娘の三姉妹が親の心子知らず子の心親知らずな話。

　長女は学校の先生をしていて次女はキャリアウーマン、三女はファストフードで働いていて、父親の面倒が誰が見るのかと考えながらそれぞれの恋愛が描かれていきます。
　それに挿入される料理の数々が魅力的に映し出されていて、お腹へること間違いないです。主人公があれだけ美味しそうな料理なのに不機嫌に食べていく家族が笑えました。

　料理人のお父さんが味覚をなくしたところから始まり、長女には学校の同僚の教師の恋愛があったり、次女は職場で良い感じの人が現れたり、三女は親友の恋人との関係が描かれて行ったり。その間に主人公がいろんな料理を作っていくという。
　そしてあっけなくみんな家を離れていき、お父さんが一人残るのかな?　と思いきやの大どんでん返し。
　
　主人公が職場で応援を依頼されて颯爽とホテルの厨房に入っていくところをステディカムで追いかけるところの迫力なんかも素晴らしかったです。
　学校とか大通りとかの雑多な感じが台湾って人口密度凄いんだなと勉強になりました。食べるために鶏飼ってるとかって驚きで、いろんな包丁がずらりと並んでるのとかも驚きでした。
　そして味覚を取り戻した父親が次女の料理の味がわかったと語るラスト。今まで相手を受け入れることのなかった父親が最後の最後で料理を作った相手を受け入れるという静かで優しいラストが印象的でよかったです。
　それにしても家族で集まった時の食事の量がハンパなくてエンゲル係数どんだけ高いんだろう台湾の一家ってと勉強になる映画でした。