それから / 松田優作
全体の平均評価点: (5点満点)
(22)
解説・ストーリー
明治後期の東京を舞台に、親友の妻への愛に悩む主人公の姿を描いた夏目漱石の同名小説を、森田芳光監督が映画化。明治後期の東京。裕福な家庭に育った長井大助は30歳になっても定職を持たず、読書や思索にふける気ままな毎日を送る。そんなある日、親友の平岡が会社を辞め、妻・三千代とともに3年ぶりに東京へ帰ってきた。大助はかつて三千代に恋心を抱いていたものの、同じく三千代に惹かれる平岡のために自ら身を引いたのだった。数年の間に3人の心は微妙な変化を見せていた……。
明治後期の東京を舞台に、親友の妻への愛に悩む主人公の姿を描いた夏目漱石の同名小説を、森田芳光監督が映画化。明治後期の東京。裕福な家庭に育った長井大助は30歳になっても定職を持たず、読書や思索にふける気ままな毎日を送る。そんなある日、親友の平岡が会社を辞め、妻・三千代とともに3年ぶりに東京へ帰ってきた。大助はかつて三千代に恋心を抱いていたものの、同じく三千代に惹かれる平岡のために自ら身を引いたのだった。数年の間に3人の心は微妙な変化を見せていた……。
もっと見る▼
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
「それから」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
明治後期の東京を舞台に、親友の妻への愛に悩む主人公の姿を描いた夏目漱石の同名小説を、森田芳光監督が映画化。明治後期の東京。裕福な家庭に育った長井大助は30歳になっても定職を持たず、読書や思索にふける気ままな毎日を送る。そんなある日、親友の平岡が会社を辞め、妻・三千代とともに3年ぶりに東京へ帰ってきた。大助はかつて三千代に恋心を抱いていたものの、同じく三千代に惹かれる平岡のために自ら身を引いたのだった。数年の間に3人の心は微妙な変化を見せていた……。
「それから」 の作品情報
「それから」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
それからの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
130分 |
|
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DRTD02499 |
2006年01月13日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
1枚
|
0人
|
1人
|
それからの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
130分 |
|
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DRTD02499 |
2006年01月13日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
1枚
|
0人
|
1人
|
TSUTAYAだから可能な圧倒的作品数!!
洋画・邦画
約35,500
タイトル以上
国内ドラマも一部含まれております
※2022年2月 現在のタイトル数
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ユーザーレビュー:22件
凛冽たり近代なお生彩あり明治人
投稿日:2007/03/25
レビュアー:横浜のタマ
このことばは「坊ちゃんの時代」関川夏央原作、谷口ジロー画の腰巻のものと記憶していましたが調べてみたられっきとした副題でした。
関川は明治からこの100年日本人は変わっていないといっているのですが本作を観ていてそんなことを思い出し、それにつられて以前読んでまったく忘れていた「坊ちゃんの時代」のこのことばも思い出しました。
そうなんです、明治の世を背景にしながら登場人物皆なまめかしいのです。職業を決めあぐねている長井、リストラされた平岡
株で儲けた長井の兄、内心の恋心に忠実であろうとあっけなく決心する三千代、卑近ともいえる人物たちだからこそいきいきとなまめかしいのでしょう。皆すてきな演技でした。
小林薫は少し中村伸郎が入っているけど立派だったし、藤谷美和子はむかし観た時にはへたくそと思ったのだけどとんでもないたっぷりと情感があってよろしいし、松田優作はいうことない、せりふを話していてせりふなんかじゃないせりふを超えてしまっている本物が伝わってくるのです。あぁ....優作。
長井と三千代の間に置かれたきれいな白百合を勝手に濃厚な香りのカサブランカと決めてその香りにむせながら優作の、ちがうって長井の、いややっぱり優作の告白をよだれを流さんばかりにして聴きました。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
森田監督には敬意を表します。が.........
全体としての感触は悪くないと思います。
あまりケチをつけたくないのですが、どうしても我慢できない点だけ。
原作では嫂と美千代の二人の女性が大変に良いのですが。
まず嫂、草笛光子には失礼だが、もっと若い人でなければなりません。最初に登場したときは、これが嫂、母親じゃないのかと唖然としました。代助と嫂の会話は、原作ではなかなか魅力的で、代助の方が若干じゃれているようにも感じられるものです。それが、草笛光子では。
藤谷美和子、美千代の役には明らかに力量不足です。
原作では「仕様がない、覚悟を決めましょう」というところ、美千代(女性)の凄みが感じられ、後の流れを予感させゾクっとさせられるところですが、あれではただお話の流れに乗っているだけで、ただの不幸せな可愛子ちゃんにしかみえません。
この二人についてはミスキャストとしか思えません。
松田優作は案外と悪くありませんが、代助の怜悧さがあまり感じられないような気がします。
もう一点、映画にするとどうしても単なる恋愛ものになってしまいます、残念です。美千代についてはともかく、代助が何故そういう方向へと進んだかということは描きえてない部分があります。仕方がないとはいえ、一番面白い部分が抜けることになっています。
ともあれ、難題に取り組んだ森田監督には素直に敬意を表したいsと思います。
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
あらかじめ他人からは共感されない物語。 追悼 森田芳光
( かなりネタバレ )
1909年( 後から思えば明治が終わる直前の42年 )に夏目漱石によって書かれた原作を、1985年( 後から思えば昭和が終わる直前の60年 )に映画化した本作。
日露戦争勝利の後に書かれた原作、バブルに突入しようとしていた時期の映画、いずれも日本の国の勢いが絶頂の時に作られたのは、ある一人のニート( 当時はまだそういう言葉はなく、存在も世間ではさほど認知されてなかったですが・・・ )の物語。
帝大を出て30歳になろうというのに、親の経済力に依存して働きもせず、いや、生活のための労働を蔑むかのような言をうそぶき、読書や思索にふける日々を過ごす男、代助(松田優作)。
父親役に笠智衆の起用、いくつかのシーンでの切り返し、横浜のタマさんご指摘の「小林薫は少し中村伸郎が入っている」セリフ回しなどをみると、明らかに小津作品を意識していると思います。
黒澤明のような劇的な事件による「非日常」を描くのではなく、縁談のような静かなできごとによる「日常」の変化、外見ではわかりにくい心の内側のドラマを描く小津安二郎の世界。
それと対比すると、代助の「日常」とは、読書や思索の「仮想現実」に浸ることであって、家族や世間が過ごす日常の現実とは、すでに乖離しているのです。
そこに起こった変化は、友人・平岡(小林薫)とかつて好意を抱いたその妻・三千代(藤谷美和子)との再会、そして家族から勧められる縁談話。
自意識が強すぎる代助が現実にうまく適応できない様子は、ニートの典型の一つでしょう。
自己愛の強さと、うらはらな自信のなさ。 どこにいても感じる居心地の悪さ。 殻の中に築いた自分だけの世界。 モラトリアムを出て、何か結果(現実)を出すのが怖い。 責任を負うのが怖い。
現実は可能性や理想を捨て去ることになるから。
松田優作は怪演。 女遊びでの踊りのぎこちなさ。 理屈を捨ててバカになれない男の鈍重さ。
未成熟なまま、もはや感情の身体性を喪失している若者を、あの肉体で演じているのですから、疎外感はより強調されます。 おもしろみのない、つまらない令嬢に美保純というキャスティングも同様。
二人きりになっても『家族ゲーム』同様、正面を向いて並列して座る男と女。
コップで飲む代助に、らっぱ飲みする三千代。 そこで心がざわめくのですが、それでもなお踏み出せない。
肩はだけて湯浴びをしても、藤谷美和子はマドンナなのでエロさはないですね。 いや草笛光子も森尾由美も擬似母性の存在で、一方で芸者や娼妓と女遊びはできても、母性を感じる女性にはセックスを伴う身体性のある愛を持てない、抑制してしまう男です。
彼女たちを抑圧し、競争相手である父や兄や平岡たち同性への違和感。
しかし反発や嫌悪感を感じようと、代助自身の内から出てくる男の渇望はどうしようもないですから、迷いと自己嫌悪は避けられない。
。
だから女が覚悟を決めても、エロスの「共犯者』には成りきれず、束縛する夫から奪い取る激しさがない。
『卒業』のダスティン・ホフマンのような燃焼する一瞬がない。
友人も、家族も失い、女さえ奪えなくて、自意識の葛藤が空回りして、孤立していくだけ。
(仮に、『門』のように、奪った女と暮らすようになっても、醒めた「もう一人の自分」がつきまとって、疎外感からは抜け出せないでしょう)
けっこうなご身分の、どっちつかずで煮え切らない男の、独りよがりのもがき、悩み。
不器用で、甘ったれて、ぶざまなこと。
これは、あらかじめ、他人からは共感されない、理解されない物語です。
ただ、これがニートや引きこもりのジレンマであり、現代の一断面なのですね。
2年以上引きこもりをしたことのある、その一人として、ぼくは感じます。
自縄自縛。 自分が縛っている縄は、どうすれば解けるのでしょうか。 それは意外に自分には難しい。
『 家族ゲーム 』と並んで、昨年末急逝した森田芳光監督の代表作の一つ。
1985年度キネマ旬報1位( ちなみに2位は黒澤明『 乱 』、3位は相米慎二『 台風クラブ 』 )
私見では必ずしも成功作とは思えませんが、レビューを書くに当たっていろいろな発見があり、さまざまな思いの格闘をさせた一本であることはまちがいありません。
その作品の何本かは企画も内容も正直今ひとつに思え、未見の作品も多いですが、印象深い作品が多いのも事実。 日本映画の一時代を確実に築いた監督の一人でした。 改めて作品を観てみたいと思いました。
森田芳光監督のご冥福をお祈りします。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
そして、笠置衆がキレた
羽賀研二が雑巾掛けをするシーンから始まるこの映画、夏目漱石が原作である。
森田芳光が監督し、松田優作、小林薫、藤谷美和子の三角関係を描写している。草笛光子、笠置衆、美保純、イッセー尾形、風間杜夫ら、力のある脇役が固めている。
1985年からの新しい映画の潮流になる・・・映画と銘打たれていたが、さほどのヒットはしなかったように思う。
実際、なかなかDVDにならなかった。ビデオのままの映画であった。松田優作の扮する高等遊民のお世話をするのが書生役である羽賀研二だからであろうか。この頃の本当にさわやかで優しい顔を見ると、今のワル振りには全く想像も付かない。
ごく趣味が合わなければ、予告編でお腹いっぱいになってしまうだろうが、予告編を過ぎても、ご飯を食べたり、仕事をしながら、ゆっくり見て欲しい映画である。
松田優作と小林薫と藤谷美和子の最後の芝居が観られる。「みちよさんの死がいだけを僕に見せるつもりだな。それは酷い。酷い。」と食ってかかる松田優作と「そんな事はあるもんか」と言う小林薫。
僕にとっては、そこを見れただけでも、この映画は何と素晴らしいと思わずにいられないそういう映画です。
そして、笠置衆がキレたー!
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
また見たくなる映像
投稿日:2007/12/12
レビュアー:カナズチ
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
夏目漱石の作品に出てくる住居や屋敷を映像で見るなんてのは、文庫本で小説を読んでた子供のころは考えられないことでした。時代考証の正確さも必要だし、劇として誇張や演出も必要と思いますが、私はここに出てくる町や家の表現が好きです、明かりの表現など含めて。時代を表現した絵の中で役者が演技してる・・・という感じがいいです。思ったより活発で贅沢な当時の雰囲気や、二人が庭で話す夏の夜の雰囲気とか。松田優作の、非日常的な行動を表現する演技がさらに舞台を広くしてると思います。とにかく家や庭の風景が良くて、また見たいと思います。
このレビューは気に入りましたか?
2人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
凛冽たり近代なお生彩あり明治人
投稿日
2007/03/25
レビュアー
横浜のタマ
このことばは「坊ちゃんの時代」関川夏央原作、谷口ジロー画の腰巻のものと記憶していましたが調べてみたられっきとした副題でした。
関川は明治からこの100年日本人は変わっていないといっているのですが本作を観ていてそんなことを思い出し、それにつられて以前読んでまったく忘れていた「坊ちゃんの時代」のこのことばも思い出しました。
そうなんです、明治の世を背景にしながら登場人物皆なまめかしいのです。職業を決めあぐねている長井、リストラされた平岡
株で儲けた長井の兄、内心の恋心に忠実であろうとあっけなく決心する三千代、卑近ともいえる人物たちだからこそいきいきとなまめかしいのでしょう。皆すてきな演技でした。
小林薫は少し中村伸郎が入っているけど立派だったし、藤谷美和子はむかし観た時にはへたくそと思ったのだけどとんでもないたっぷりと情感があってよろしいし、松田優作はいうことない、せりふを話していてせりふなんかじゃないせりふを超えてしまっている本物が伝わってくるのです。あぁ....優作。
長井と三千代の間に置かれたきれいな白百合を勝手に濃厚な香りのカサブランカと決めてその香りにむせながら優作の、ちがうって長井の、いややっぱり優作の告白をよだれを流さんばかりにして聴きました。
森田監督には敬意を表します。が.........
投稿日
2006/09/25
レビュアー
いつも眠たい馬
全体としての感触は悪くないと思います。
あまりケチをつけたくないのですが、どうしても我慢できない点だけ。
原作では嫂と美千代の二人の女性が大変に良いのですが。
まず嫂、草笛光子には失礼だが、もっと若い人でなければなりません。最初に登場したときは、これが嫂、母親じゃないのかと唖然としました。代助と嫂の会話は、原作ではなかなか魅力的で、代助の方が若干じゃれているようにも感じられるものです。それが、草笛光子では。
藤谷美和子、美千代の役には明らかに力量不足です。
原作では「仕様がない、覚悟を決めましょう」というところ、美千代(女性)の凄みが感じられ、後の流れを予感させゾクっとさせられるところですが、あれではただお話の流れに乗っているだけで、ただの不幸せな可愛子ちゃんにしかみえません。
この二人についてはミスキャストとしか思えません。
松田優作は案外と悪くありませんが、代助の怜悧さがあまり感じられないような気がします。
もう一点、映画にするとどうしても単なる恋愛ものになってしまいます、残念です。美千代についてはともかく、代助が何故そういう方向へと進んだかということは描きえてない部分があります。仕方がないとはいえ、一番面白い部分が抜けることになっています。
ともあれ、難題に取り組んだ森田監督には素直に敬意を表したいsと思います。
あらかじめ他人からは共感されない物語。 追悼 森田芳光
投稿日
2012/02/01
レビュアー
ロキュータス
( かなりネタバレ )
1909年( 後から思えば明治が終わる直前の42年 )に夏目漱石によって書かれた原作を、1985年( 後から思えば昭和が終わる直前の60年 )に映画化した本作。
日露戦争勝利の後に書かれた原作、バブルに突入しようとしていた時期の映画、いずれも日本の国の勢いが絶頂の時に作られたのは、ある一人のニート( 当時はまだそういう言葉はなく、存在も世間ではさほど認知されてなかったですが・・・ )の物語。
帝大を出て30歳になろうというのに、親の経済力に依存して働きもせず、いや、生活のための労働を蔑むかのような言をうそぶき、読書や思索にふける日々を過ごす男、代助(松田優作)。
父親役に笠智衆の起用、いくつかのシーンでの切り返し、横浜のタマさんご指摘の「小林薫は少し中村伸郎が入っている」セリフ回しなどをみると、明らかに小津作品を意識していると思います。
黒澤明のような劇的な事件による「非日常」を描くのではなく、縁談のような静かなできごとによる「日常」の変化、外見ではわかりにくい心の内側のドラマを描く小津安二郎の世界。
それと対比すると、代助の「日常」とは、読書や思索の「仮想現実」に浸ることであって、家族や世間が過ごす日常の現実とは、すでに乖離しているのです。
そこに起こった変化は、友人・平岡(小林薫)とかつて好意を抱いたその妻・三千代(藤谷美和子)との再会、そして家族から勧められる縁談話。
自意識が強すぎる代助が現実にうまく適応できない様子は、ニートの典型の一つでしょう。
自己愛の強さと、うらはらな自信のなさ。 どこにいても感じる居心地の悪さ。 殻の中に築いた自分だけの世界。 モラトリアムを出て、何か結果(現実)を出すのが怖い。 責任を負うのが怖い。
現実は可能性や理想を捨て去ることになるから。
松田優作は怪演。 女遊びでの踊りのぎこちなさ。 理屈を捨ててバカになれない男の鈍重さ。
未成熟なまま、もはや感情の身体性を喪失している若者を、あの肉体で演じているのですから、疎外感はより強調されます。 おもしろみのない、つまらない令嬢に美保純というキャスティングも同様。
二人きりになっても『家族ゲーム』同様、正面を向いて並列して座る男と女。
コップで飲む代助に、らっぱ飲みする三千代。 そこで心がざわめくのですが、それでもなお踏み出せない。
肩はだけて湯浴びをしても、藤谷美和子はマドンナなのでエロさはないですね。 いや草笛光子も森尾由美も擬似母性の存在で、一方で芸者や娼妓と女遊びはできても、母性を感じる女性にはセックスを伴う身体性のある愛を持てない、抑制してしまう男です。
彼女たちを抑圧し、競争相手である父や兄や平岡たち同性への違和感。
しかし反発や嫌悪感を感じようと、代助自身の内から出てくる男の渇望はどうしようもないですから、迷いと自己嫌悪は避けられない。
。
だから女が覚悟を決めても、エロスの「共犯者』には成りきれず、束縛する夫から奪い取る激しさがない。
『卒業』のダスティン・ホフマンのような燃焼する一瞬がない。
友人も、家族も失い、女さえ奪えなくて、自意識の葛藤が空回りして、孤立していくだけ。
(仮に、『門』のように、奪った女と暮らすようになっても、醒めた「もう一人の自分」がつきまとって、疎外感からは抜け出せないでしょう)
けっこうなご身分の、どっちつかずで煮え切らない男の、独りよがりのもがき、悩み。
不器用で、甘ったれて、ぶざまなこと。
これは、あらかじめ、他人からは共感されない、理解されない物語です。
ただ、これがニートや引きこもりのジレンマであり、現代の一断面なのですね。
2年以上引きこもりをしたことのある、その一人として、ぼくは感じます。
自縄自縛。 自分が縛っている縄は、どうすれば解けるのでしょうか。 それは意外に自分には難しい。
『 家族ゲーム 』と並んで、昨年末急逝した森田芳光監督の代表作の一つ。
1985年度キネマ旬報1位( ちなみに2位は黒澤明『 乱 』、3位は相米慎二『 台風クラブ 』 )
私見では必ずしも成功作とは思えませんが、レビューを書くに当たっていろいろな発見があり、さまざまな思いの格闘をさせた一本であることはまちがいありません。
その作品の何本かは企画も内容も正直今ひとつに思え、未見の作品も多いですが、印象深い作品が多いのも事実。 日本映画の一時代を確実に築いた監督の一人でした。 改めて作品を観てみたいと思いました。
森田芳光監督のご冥福をお祈りします。
そして、笠置衆がキレた
投稿日
2008/07/23
レビュアー
アレックス(猫)
羽賀研二が雑巾掛けをするシーンから始まるこの映画、夏目漱石が原作である。
森田芳光が監督し、松田優作、小林薫、藤谷美和子の三角関係を描写している。草笛光子、笠置衆、美保純、イッセー尾形、風間杜夫ら、力のある脇役が固めている。
1985年からの新しい映画の潮流になる・・・映画と銘打たれていたが、さほどのヒットはしなかったように思う。
実際、なかなかDVDにならなかった。ビデオのままの映画であった。松田優作の扮する高等遊民のお世話をするのが書生役である羽賀研二だからであろうか。この頃の本当にさわやかで優しい顔を見ると、今のワル振りには全く想像も付かない。
ごく趣味が合わなければ、予告編でお腹いっぱいになってしまうだろうが、予告編を過ぎても、ご飯を食べたり、仕事をしながら、ゆっくり見て欲しい映画である。
松田優作と小林薫と藤谷美和子の最後の芝居が観られる。「みちよさんの死がいだけを僕に見せるつもりだな。それは酷い。酷い。」と食ってかかる松田優作と「そんな事はあるもんか」と言う小林薫。
僕にとっては、そこを見れただけでも、この映画は何と素晴らしいと思わずにいられないそういう映画です。
そして、笠置衆がキレたー!
また見たくなる映像
投稿日
2007/12/12
レビュアー
カナズチ
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
夏目漱石の作品に出てくる住居や屋敷を映像で見るなんてのは、文庫本で小説を読んでた子供のころは考えられないことでした。時代考証の正確さも必要だし、劇として誇張や演出も必要と思いますが、私はここに出てくる町や家の表現が好きです、明かりの表現など含めて。時代を表現した絵の中で役者が演技してる・・・という感じがいいです。思ったより活発で贅沢な当時の雰囲気や、二人が庭で話す夏の夜の雰囲気とか。松田優作の、非日常的な行動を表現する演技がさらに舞台を広くしてると思います。とにかく家や庭の風景が良くて、また見たいと思います。
新規登録で
「定額レンタル4」月額1,026円(税込)を
14日間無料お試し!※
- ※本キャンペーンの無料お試しの対象者は、次の@ABのいずれかに該当する方に限ります。
- @「TSUTAYA DISCAS」の定額プラン(定額プランの種類は問いません。以下同じ)の利用開始時に「無料お試し」を利用したことがない方
- A2022年10月2日以前に「TSUTAYA DISCAS」の定額プランの利用を終了された方であって、2022年10月3日以降、「TSUTAYA DISCAS」の定額プランを利用していない方
- B上記@Aのほか、当社が不定期で実施する期間限定キャンペーンにおいて、キャンペーン開始時に、当社が定める参加条件を満たした方
- 無料お試し期間中(14日間)、新作はレンタル対象外です。(但し、上記Bの対象者に限り、新作もレンタル対象となる場合があります)
- 無料お試し期間終了後、登録プラン料金で自動更新となります。
ご利用の流れ
@ 会員登録
申し込みフォームへ記入したら登録完了!
A 作品をレンタル
借りたい作品をリストアップするだけ!
発送可能な商品を自宅にお届けします。
B ポストに返却
商品をポストに投函すればOK!
各プランはこちら
-
- 宅配レンタル 定額8プラン

-
- 「新作・準新作」が定額で月8枚レンタルできる!※1借り放題付き※2
- 新規登録する
-
- 宅配レンタル 定額4プラン

-
- 新規登録する
-
- 都度課金 プラン

-
- 新規登録する
※1 無料お試し期間中の「新作」レンタルは対象外です。
※2 借り放題はDVD「旧作」、CD「新作・準新作・旧作」が対象です。
それから