マーニー

「マーニー」（1964、米国、カラー、130分）。
主演は、ティッピ・ヘドレン。前年の「鳥」（1963）でも出ていたが、これは主演が「鳥」で共演がジェシカ・タンディとともに共演です。それにしても、美しいです。おでこが広いのですが、それを隠さず、むしろ強調して、その上に髪を盛り上げていくフォルムは、モディリアニの絵画の女、古代エジプトの女王「ネフェルティティ」のようです。
共演のショーン・コネリーは、この「マーニー」の公開時、「007」シリーズの第1作「ドクター・ノオ」（1962）、第2作「ロシアより愛をこめて」（1963）、第３作「ゴールド・フィンガー」（1964）を撮影済だったのです。その姿は、「007」そのものの体型、髪型ですが、役柄は全く異なります。
主役の二人、「ティッピ」と「ショーン」が愛し合いますが、二人の真のキャラクターは後半まで全く明らかにされません。黒髪の女「リル・マインウェアリング」役のダイアン・ベイカーにも魅かれました。
Ｎ.Ｙ.の「Ｓ」社では約1万ドルの盗難事件が発生。保険会社の調査員「マーク」（コネリー）は、「あの女」だろうと目星をつける。黒髪の女。
ブロンドの美髪で、乗馬が好きな「マーニー」（ティッピ）は、乗馬を楽しんだあと故郷へ戻り、一人暮らしの母のもとに戻る。花瓶に飾られたグラジオラスの赤い花を
を見たマーニーは卒倒する。彼女を追っていた「マーク」は、一連の盗難事件の犯人が彼女と確信したが、「何故」と思い、闇の渦に吞みこまれていく。
「マーニー」はなぜ「赤」に過敏に反応するのか、なぜ馬を偏愛するのか、なぜ母に近寄る者に対して異常に嫉妬深いのか。
「マーク」は次第に「マーニー」の過去の闇を解放していく。それは恐ろしい犯罪の歴史だったが、彼女が育った家庭の悲惨な闇から始まったものだった。特に彼女の母「バーニス」（ルイーズ・ラサム）からの解放が必至だった。「バーニス」も被害者の一人で、喫緊の治療が必要な女性だった。「マーク」は「マーニー」と命がけで生きていこうと思う……。
バーナード・ハーマンの音楽が、米国時代のヒッチコック作品らしいサスペンスの情調を盛り上げていきます。

昨日投稿した「マーニーの真実」において、完全なるネタバレではないにしろ、チェックを入れずネタバレに触れる内容を書いてしまいました。誠に申し訳ありません。映画ファンとして恥ずべき行為でした。
以後気をつけます。

ヒッチコック作品数あれど、これは後年の作品です。　彼の作品はほとんど観ましたが、これは残念ながら‘ヒッチコック流のサスペンス’ではありません。　何かしら、取ってつけたような演出で、ハラハラ・ドキドキもありません。
脚本はまあまあですが、ショーン・コネリー演ずるマークが、何故いとも簡単にマーニー（ティッピ・ヘドレン）と結婚してしまうのか．．．まるで、その後のストーリーにつなげる為のような感じです。　マーニーは母親のバーニス（ルイーズ・ラサム）との幼少の頃の出来事をマークに話すことによって、問題解決を図るのですが、それもよくある話で、‘ヒッチコック流’の衝撃とは異なります。　Ｓ・コネリーもこの時は既に００７シリーズに主演しており、そのギャップも感じられ、全体的にも「特に何もない映画」です。

　ヒッチコック作品、映画の表現としてみごとなことは理解できるのですが、どこか肌に合わない部分があって、熱烈なファンにはなれません。この「マーニー」を見て理由がわかった。登場人物、とくにヒロインへの思い入れが強すぎて、このひとに感情移入できなければ楽しめないような窮屈さがあるのです。盗癖と虚言癖のあり職場を渡り歩いては盗みをくり返してきた女性が、警察に行くかわりに富豪の社長、かつて生物学者を目指していた、に“捕獲”され、幼い頃のトラウマを突き止めてもらって悪癖から解放され、生まれ変わって二人幸せになる（なりそう）という展開がありきたりで乗れませんでした。ある意味女性の人生をリセットして自分好みに調教する映画ともとれ、そこにも共感できなかった。
　それ以上にティッピ・ヘドレンをとらえるカメラの視線がいやらしいほどの執拗が気になった。しつこさは「めまい」のキム・ノヴァクでも感じたのですが、ショーン・コネリーの目になってマーニーを凝視し追い詰める様子には居心地の悪いものを感じました。撮る側の執着をあまりに感じさせてはまずいのではないのかなあ。
　深層心理を暴いていく映画ですから精神分析の手法があからさまに用いられています。しかもヒロインの症状には男性恐怖がありますから、性的な象徴がいやになるほど盛りだくさん。ふたりきりでいる部屋に雷鳴とともにドカンに大きな木の幹がガラスを破って飛び込んでくるなんて、あまりに露骨。ヒロインが乗馬好きという設定もそう。
　分割画面のようなロングショットの盗みの場面は面白かったです。
　

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マーニー(ティッピー・ヘドレン)は盗癖がある女性でその度に遠くの農場に逃げている。マーニーは勤務先で金髪を黒髪に染め偽名を名乗っていたが、金庫から大金を盗み出し逃げた。その後、また仕事を求めてある会社の面接に行った。社長はマーク(ショーン・コネリー)でマーニーに一目惚れしてしまい採用した。そして、またマーニーは金庫からお金を盗み田舎の農場に逃げた。しかし今回はマークに見抜かれていた。マークはマーニーの正体を調べ上げていたのだ。マークはそんなマーニーでも愛しているので何とか更正させたいと思った。そして、自分と結婚するか刑務所に入るか選択肢を強制する。その後、2人は結婚するがマーニーにとって何もかもが苦痛らしい。それは過去のトラウマに繋がっていたのです。
このティッピー・ヘドレンと言う女優は『鳥』でも思いましたが、我が儘なお嬢様役や冷たい貴婦人などをやらせたらハマり役です。美人ではないが頭の良さそうな存在感のある女優さんです。ショーン・コネリー本当に若いです。『007』の前に撮ったのでしょうか。現在は”燻し銀”の魅力で活躍している素敵な俳優さんです。ヒッチコックの映画には当時の時代背景と共に、有名な若かりし頃の俳優さんたちが見れるので驚きと感激があります。
今回、ヒッチコック氏登場は全然頭になく素通りしてしまいました。。。