クヒオ大佐

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実は堺雅人が苦手でして・・・それはいつも力んで口角の上がった口元は笑んでいて、目元も同様、その力みが不自然で、笑顔が笑顔に見えないというのが何とも苦手なんです。
でも、この役柄はそんな彼の特徴がとてもマッチしていたと拍手ですね。

日本人ってほんとに外人に弱いですよね。
そしてなぜかへりくだって親切にしてしまう。
良いところでもあるのですが、相手が悪いと付け込まれてしまうこともありますよね。
クオヒと名乗る詐欺男は、その辺の相手の心の弱みにうまーく滑り込んでくるのです。
でも、ほんとはろくな英語も喋れない。
だからこの話は、上手い手口で爽快な犯罪を犯すのではなくて、鈍くさく、すぐばれてもおかしくないようなやり方に、哀れさみじめさも、感じられます。

女をだますためについている嘘ではありますが、自分もその虚像に逃げ込んでいる。また、だまされる女の方も騙されることに救われているように見える。そんな心情描写は深くてうまいです。

時代と一詐欺師とを日本人の島国根性と合わせて国際問題を絡めてくるのも面白いし、シュールな映像も上手く出来上がっています。
ただ、始まりの閣僚のシーンとの絡みは最後の空想のシーンまで出てきませんので、観客のほうにとってはしばらくどういう絡みになるのかすこし浮いた気分で待つことになります。


腑抜けども〜の吉田大八、魅力的な作風の興味深い監督です。

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大分前にＴＶドラマでやっていたのを見たことがある。
その時の主演は山崎努さんでかなり口の達者な上手い詐欺師を
演じていたような記憶がある。
本作では優しい笑顔を武器に書籍からの受け売りを饒舌に話す
「やさおとこ」をなよなよと演じる堺雅人の付け焼刃で自転車
操業的な危い行状を赤裸々に描いている。
散々おんなを食い物にした挙句、ネタも尽きたのかどうも覇気が
足らないような気もしたが、逮捕直前の体たらくと見るのが妥当
なんでしょうな。
わざわざ、本篇を第二部と位置付け、シリアスな国際政治の裏舞台
を持ち出し、下賤で出鱈目な結婚詐欺師のトホホな首尾をあくまで
ドツボに嵌った女性目線で切り取った手法は秀逸。
魅力的な女性の献身的な愛を独り占めするには大ぼらを吹かんと
いけない訳ですな。
詐欺師を泳がせながらその上前を撥ねようとしていたホステス役の
中村優子の熱演に痺れます。

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詐欺は絶対許せない犯罪です。
この映画は実在する詐欺師の話を元に作ってあるので
被害者のことを思うと心が痛みますが、
作品的には、面白かったですね。

クヒオ大佐の人物像が魅力的です。
巧妙な詐欺師なのかと思ったら、結構ザツ^^;
うさんくさくて、騙されるのが不思議なくらい。
実際、騙されない人も多いんですが。
そして、バレるとオドオドする小心者。

人は、絶対自分は騙されないと思っていても
タイミングでふっとハマッてしまうこともあるのかも。
長い人生、イヤなことやショックな出来事はおこるし、
淋しい時期もあるわけだから。
わかってても、あえて騙されてる人もいるんだなあ…

騙し方も彼なりの方法があって興味深い。
第一印象をすごく大切にし、効果的な一言を放って
ぐっと惹き付ける。
これはちょっと見習うべきところかもしれない。
第一印象の演出。嘘はいけないけどね。

なぜクヒオ大佐がこんな人になってしまったのかについても
映画では丁寧に描かれています。
幼少期の傷を嘘で塗り替え、記憶を変えて
虚構の人生を生きるようになってしまった…。
でも、幼少期に同情すべき点があったとしても、
まっとうに生きている人もいます。
どう生きるべきか教えてくれる人との出会いがあればよかったのかなあ。
自分が悪いことをしたと思うことも無いまま
一生を終わるのかもしれないと思うと、むなしいですね。

堺雅人の新作ということで期待していたのですが期待外れでした。
完璧な詐欺師ではなく、間抜けなペテン師といったところでしょうか。
それが面白さを引き出すポイントだったと思うんですが、
肝心のポイントが今ひとつ空回りしてましたね。
間抜けさが、うまく笑いに結びついてませんでした。
堺雅人ファンとしては、残念な作品です。

苦労している役なのに尋常じゃないくらい彼女が素敵。
堺雅人はもっとはまり役なものがあると思うけど、かっこいいからよしとします笑
最後がぐだる感じがちょっと好みではなかったけど、楽に見れました。